産学官が連携して地域中学校のゴルフ部創設を目指している兵庫県川西市の取り組みについて。

兵庫県川西市では、ゴルフ練習場やテニスコート、フットサルコートなど11の複合施設を持つ「多田ハイグリーン」を経営する野原興産(株)と川西市教育委員会、大阪大学体育会ゴルフ部の3者が連携。川西市内の市立中学7校にゴルフ部創設を目指し活動している。

画像: 川西市内の市立中学校が生徒がゴルフ体験。ボランティアで練習をサポートするのは地元の大阪大学ゴルフ部の大学生たち

川西市内の市立中学校が生徒がゴルフ体験。ボランティアで練習をサポートするのは地元の大阪大学ゴルフ部の大学生たち

具体的な取り組みとして、多田ハイグリーンの練習場で「中学生ゴルフ体験会」を10月初めから11月末まで実施中。同体験会は同市立中学校の1~3年生を対象として、121打席のうち16打席を格安料金で提供。

指導するのは、大阪大学ゴルフ部の大学生で、ボランティアでスウィングの基礎を教える。参加費用は4回分の料金1000円とスポーツ保険800円(ともに税込み)のみ。ゴルフパートナーより中古の用具を提供してもらって利用している。

同体験会では1カ月単位で参加者を入れ代えて2回行い、参加者は月・水・金から好きな曜日を選んで週に1回、計4回のゴルフ練習ができる。なお11月分は、今も参加者に枠があるとのこと。

この取り組みを提案した野原興産の代表取締役・野原和憲氏は、「ゴルフにはまだ娯楽のイメージがありますが、川西市には国内でも歴史ある鳴尾ゴルフ倶楽部はじめ、5カ所のゴルフ場があり、ゴルフ文化は市民のなかに根付いていると感じます。今回の体験会は、何より子どもたちがゴルフの楽しさを感じてもらえればと。中学校ではゴルフ部創設、高校では体育での授業、大学ではゴルフ部への支援につながればと思っています」と経緯を説明する。ちなみに、野原氏の曾祖父は鳴尾GCが現在の地へ移転してきたとき労のあった人だという。

話を戻して、これらの背景には、スポーツ庁および文化庁が運動部の活動場所や指導者を外部委託する「部活動の地域移行」の改革を進めていることもあり、それを川西市がゴルフ部活動実現として引き受けた形だ。

画像: 中学生のゴルフ体験会の会場となったゴルフ練習場、多田ハイグリーン。16打席を格安料金で体験専用打席とした

中学生のゴルフ体験会の会場となったゴルフ練習場、多田ハイグリーン。16打席を格安料金で体験専用打席とした

同体験会開催にあたり、“官との連携”が重要だとも野原氏。「近隣へ当社からチラシを配ったときはほぼ無反応でした。単なる練習場への誘客かと思われたのでしょう。ところが市の教育委員会から各中学校の保護者宛てに案内状を出したところ、『子どもにぜひゴルフを習わせたい』との要望が多く、びっくりしました」

少子化や教員の働き方改革などで学校の部活動は縮小している。今回の体験会がきっかけとなり、来春、ゴルフ部新創設の可能性が高まっているという。ゴルフ人口拡大という点からも嬉しい話だ。

※週刊ゴルフダイジェスト2023年11月14日号より(11月7日10時30分、本文一部加筆修整しました)

This article is a sponsored article by
''.