ゴルフクラブは会員権を購入すれば誰でもメンバーになれるというわけではない。会員になるには面接やメンバーからの紹介など、事前の段階で“適格性”を求められることになる。では、適格性とは何を指すのだろう。

先日、元外国籍であることを理由にクラブへの入会を断られたことに対し、精神的な苦痛を受けたとして、岐阜県の愛岐カントリークラブに対し330万円の損害賠償を求めた男性の控訴審判決で、名古屋高裁は請求を棄却した一審の判決を変更、77万円の支払いを命じた。

画像: 岐阜県可児市にある愛岐カントリークラブ。結社の自由なのか、それとも差別にあたるのか

岐阜県可児市にある愛岐カントリークラブ。結社の自由なのか、それとも差別にあたるのか

もともとゴルフクラブは同好の士の集まりといった意味合いが強く、その前提で考えれば公共性の低い“私人”としての団体に該当し、憲法21条が認める「結社の自由」により、自由に入会条件を決めることができる。4月に行われた一審はこの原則論に則り、男性の請求を棄却したが、この判決に対し男性は、「人種差別である」と控訴、冒頭の判決となったわけだ。

ゴルフクラブへの加入をめぐっては、これまでも同様の出来事が何度もあったが、従来の判例は基本的に、クラブの自由裁量で入会の可否を決すべきという結論に至ったケースがほとんど。では、なぜ今回の判決に至ったのか。

国内外のゴルフ事情に詳しい弁護士は、「一般的な判例で考えると、私的自治の原則に則り、自由裁量であるべき」としつつ、「今回の判決は、今までの司法判断とはちょっと違った流れを感じる」という。

海外のケースでも近年、女性会員を認めていなかった名門クラブが、女性会員を受け入れるように変わった事例が見受けられる。しかし、これはクラブが社会性を加味して自ら方針を変更したにすぎない。

先日、イギリスで後頭部に入れ墨をした男性が入会を拒否されたという事例を既報したが、「プライベートクラブとして、入会を拒否した理由を明らかにする義務はない」とクラブ側は語っている。性別や国籍、嗜好など多様性がうたわれる現代、今回の判決は、今後どんな影響を与えるのだろうか。

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