「(親との関係性は)冷め切ってますが感謝しています」(久常)
GD 環境が大事とのことでしたが、ジュニアにとっての良い環境とはどういうものだと感じますか?
久常 難しいですね。住んでいる場所や家庭の状況もそれぞれ違うので正解はないと思いますが、自分の場合はゴルフが上手くなれる環境があったことと、1つ上に三田真弘くんという身近な目標というかライバルがいたことが大きかったですね。
GD 当然親からの期待も大きかったと思いますが、どういう関係性だったんですか?
久常 冷め切ってますよ(笑)。でも、感謝はしています。自分で言うのも変ですが(ゴルフを)がんばってきたのは自分ですけど、その環境を与えてくれたのは親ですから。父親の熱量がずっと冷めずにいてくれたのはありがたかったと思っています。
GD 過保護ではなかった?
久常 そうですね。過保護というか過干渉ではないというか、ヨーロッパに行くときも特に相談しなかったですし(笑)。親が過干渉にならなかったのは、途中から結果が出ていたからだと思います。結果が出ないとゴルフは楽しくないですし、ゴルフをやらされている感は全くなかったですね。好きだから、上手くなりたいって思い続けられるんだと思います。

弾道計測器を使って練習はするが、データだけにとらわれてゴルフはしていないと語る久常。試合中もフォローが乱れ体全体でボールを運び打つシーンを見かけるが、ツアーを撮影するカメラマンは「ボールに意志を込めて打っている感じがする。ある意味タイガー・ウッズに似てるかも(笑)」と語っていた
「僕、ゴルフが好きなんですよ(笑)」
GD 高い確率で来季はPGAツアーになりそうですが、欧州への未練はないんですか?
久常 今回は勝って行けるので複数年シードがあるのが大きいですね。それがなければどっちつかずになっていたかも。
GD なるほど。ちなみに日本ツアーへの未練は?
久常 そりゃスケジュール的に出られる試合は出たいですよ。美味しいご飯も食べたいですしね(笑)。でも世界各国でゴルフをすることは夢でしたから。川村昌弘さんが目標でしたし、知らない景色を見たい気持ちが強いんです。
GD それはゴルフでのさらなる上のレベルという意味?
久常 いえ、観光的な景色です。ゴルフでは特に……。
GD 以前、ゴルフは仕事だと話していましたもんね!
久常 今年はがんばって稼ぐことができたので、税金もいっぱい納めなきゃですよ。日本の経済を回せるようにがんばってきます(笑)。
GD 移動はもちろんビジネスクラスですよね?
久常 確かにそれくらいの余裕はできましたけど、3分の1とかの金額で行けちゃうなら全然エコノミーでいいんです!

旅人ゴルファー川村昌弘が目標だと語る久常。川村と同じく世界を股に掛けた挑戦が続く
「ヨーロッパに行くとき親に相談はしなかったです」と語る久常。常に自分で考え、良いときも悪いときも自分自身が責任を取る。21歳とは思えないほど自立しているし、自律している。フィールドが地球の21歳は前進し続ける強さがあった。
※久常涼のセルフスウィングの解説など、インタビュー全文は現在発売中の週刊ゴルフダイジェスト2023年11月28日号に掲載中です(PHOTO/ARAKISHIN TEXT/Masato Ideshima)