その昔、プロゴルファーを目指すには、ゴルフ場での研修生を経てプロテストを受験するのが王道だったが…。

現在、プロゴルファーへの道筋は、高校卒業前後にプロテスト合格を目指すか、大学に進学してゴルフ部に在籍しながらプロを目指すルートが大部分を占める。先日も日大4年生の杉浦悠太選手がダンロップフェニックスで史上7人目のアマチュア優勝を果たした後、プロ転向を宣言したばかり。

しかし、これには授業料免除などの“特待生”ならいざ知らず、一般家庭にとっては経済的な負担も大きい。そういった資金や練習環境の不足からプロを目指す機会に恵まれない若手ゴルファーのプロ入り支援とキャディ不足を同時に補うため、新たな研修生制度をスタートさせたのが、神奈川県にある箱根CCだ。

画像: 箱根CCは箱根仙石原の大自然に位置するメンバーシップクラブ。フルバックのチャンピオンティーでは18ホール、7154ヤードある

箱根CCは箱根仙石原の大自然に位置するメンバーシップクラブ。フルバックのチャンピオンティーでは18ホール、7154ヤードある

これらの原資になったのは、会員たちが資金提供した育英基金。年間1~2名を4年間受け入れる計画で、高等学校ゴルフ連盟などを通じて男女生徒に呼びかける予定だ。研修生には、コース隣接の男女寮(来季には女子寮を増築予定)を無償で提供。週休2日制で、土日祝日を含めキャディ業務に従事してもらう。

研修中でも日給8000円以上のキャディ報酬が支払われ、月5万円(年間60万円)の補助金が支給される。基本的には4年間研修生としてキャディを務めてもらい、プロ入り後も試合に出場する際は便宜を図る制度を目指す。新研修生制度を発足させる経緯について、箱根CC総支配人の金澤仁史氏は、「大学というより、高校卒業生に焦点を当てています。キャディ不足を補う策でもあるのですが、プロ入りを目指す若い人たちには、ツアープロだけでなくレッスンプロへの道もあり、どちらへ進むか選択する時間としてもいいのでは。練習環境は充実していると思います」

練習場は250ヤード近くの距離があり、アプローチ練習をする場所も広い。キャディ業務は2時頃には終わり、その後ラウンドしてもハーフは軽く回れる。シーズンオフには空いているスタート時間枠内でラウンドすることも自由だという。

同CCは、外輪山に囲まれた国立公園内にあり、950平方メートルと広大な土地を有する18ホール。設計は、古の名手として名高い赤星四郎。2002年の日本女子オープン、シニアツアーのノジマチャンピオンカップが毎年開催されている名コース。

研修生が上達するには、この上ない練習環境といえる。また同CCでは地元私立小学校の正規の体育授業として年9回施設を提供。コーチは会員らがボランティアで行う。月1回会員の子弟向けにもレッスン教室を開催するなど、ジュニア育成に熱心だ。

また生物多様性保全への取り組みを推進しているとして、「いきもの共生事業所」のトライアル認証を受けている。後進の育成や環境など、ゴルフ界発展のためのさまざまな手を打っているゴルフ場といえそうだ。

※週刊ゴルフダイジェスト2023年12月12日号より

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