イングランドのロイヤルリバプールGCで開催されたシーズンメジャー最終戦、第151回全英オープンは2日目からトップを守ったブライアン・ハーマンがジョン・ラームやジェイソン・デイら2位グループに6打差をつけ圧勝を飾った。ツアー2勝目(17年ウェルズファーゴ)から6年が経過。新メジャーチャンピオンは何度も感謝の言葉を口にした。

決戦前夜、土曜の夜は午後11時30分にベッドに入った。緊張している割にはよく眠れた。ところが目を覚まし外を見ると雨。「まるでアルマゲドンクラスだ」と嫌な予感がよぎった。

「もともと雨は苦手なタイプ。上手くプレーしたことがない。でも今日は雨のなかいいショットが打てた。誇りに思う」。危なげなかった。5打のリードを守り、2番でボギーが先行したが6番以降4バーディ(1ボギー)をマークし他の追随を許さなかった。

画像: 2023年の全英オープンを制したブライアン・ハーマン(写真/2023年の全英オープン 撮影/姉崎正)

2023年の全英オープンを制したブライアン・ハーマン(写真/2023年の全英オープン 撮影/姉崎正)

表彰式で普通は心境を吐露するものだが彼は自分の思いより周囲の人々への感謝を伝えた。

「妻と家族に感謝します。早く帰ってこの喜びを分かち合いたい。このコースでは自分のゴルフが試されました。素晴らしいコンディションを整えてくれたコース関係者に感謝します。そしてこの大会を主催してくたR&A。グリーンは最高でした。最後にファンの皆さん、ありがとうございました。会場に来られなくても故郷で応援してくれた大勢の方々に心からお礼をいいたい」

表彰式にはちょっとした不満もあった。ローアマに輝いたクリスト・ランプレッチは2メートル3センチの長身。170センチと小柄なハーマンとの差は30センチ以上。「長身の連中に囲まれて自分の小ささが身にしみた」と苦笑い。

「タフな1週間だったけれどこうしてクラレットジャグを手にすると月まで飛んでいけそうな気がする」

趣味はハンティング。しかも猟銃ではなく弓矢で射止めるボー&アロースタイル。ゴルフは左利きだが弓は右で打つ。自宅のあるジョージア州セントサイモンズアイランドにはハンティングを楽しむための40エーカーの土地もある。

「数週間前、新しいトラクターを買ったんです。クボタの150馬力。オレンジ色の可愛いヤツです。オーダーしただけでまだ見ていないけれど、もう自宅に届いているはず。帰ったら数週間は携帯も見ずにトラクターで草刈りに専念します。今からそれがすごく楽しみ」

メジャー優勝のご褒美に草刈りをするチャンピオン。そんな話はじめて聞いた。するとハーマンはこういってニヤリと笑った。

「僕にはいろんな顔があるんです。剥いたら他の顔が出てくる玉ねぎみたいにね」

トラクターの値段は「妻には内緒」。14年に結婚したケリーさんにプロポーズしたのもハンティングの最中。奥様のズボンのポケットに指輪をこっそり入れハンティングの模様をビデオ撮影。指輪に驚く妻の姿を映したビデオはハーマン家の家宝だ。

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