「私のゴルフ人生で、今がいちばん調子がいい」
2023年、ステップ・アップ・ツアー20試合に出場した村田理沙。自身の中で最も試合数が多かったという彼女に昨季を振り返りつつ、今シーズンに向けた目標や課題を聞いた。
「ステップ・アップ・ツアーは、ほとんどの試合に出場できました。プロ生活8年目となりますが今までシード権を獲得したことはなく、ずっとQTから挑戦しています。昨季のQT15位は自分のなかで最もいい順位なんです。
目標はずっと変わらず、ツアー初優勝とシード権獲得です。私のなかではシード権って相当すごいものなんです。仲のいい(岸部)桃子ちゃんは、技術的にもマネジメント的にも上手いです。それでもシードを取るまで10年以上かかっています。一方でツアールーキーがいきなり初優勝したり、シードを取ったりすることもあります。ツアーは年間を通して安定した成績を出さなければなりません。もっと上手くならないと、もっと強くならないとシード権は取れない、そう実感しています。
私はゴルフ人生のなかで、今がいちばん調子がいいんです。技術的に上がっていますし、体のコントロールもできています。
飛距離も落ちてはいませんし、ショット全体が安定してきた感じがあります。フィジカルについても反応が鈍いということがなく、自分が思うように動けています。
アスリートのピークって人それぞれ違うと思うんです。だから、私は今なのかなって最近思っています」
来季に向けトレーニングを開始した村田は現在、アメリカで合宿中だ。
「2017年からアメリカ人のコーチに習っていて、オフはアメリカで練習しています。アメリカの教え方は基本、アバウトなんですけど、いい意味で自由さがあります。だから自分の感覚を優先できます。コーチにも『最後は自分の感覚だからボクは教えられないよ』っていつも言われています。今年の課題はドライバー。私、ドライバーが下手なんです。もっと飛距離と正確性を高めたいです」
「若い世代の勢いはすごいけれど桃子さんたちを見ていると私もやれるんだって思います」
昨季のツアーは年間女王の山下美夢有、岩井姉妹、櫻井心那など、若手の活躍が目立ったが、青木瀬令奈、穴井詩、菊地絵理香など、ベテラン勢も奮闘した。今年29歳を迎える村田は、年齢や世代についてどう考えているのか?
「昔から上田桃子さんに憧れていました。桃子さんは何年も第一線で活躍しています。年齢を重ねると体調が悪くなることは多くなるし、モチベーションの維持だって難しくなったりと、いろんな問題が出てくると思うんです。そのなかで優勝争いをしたり、シード権を取るのは本当にとんでもないことです。
私ももうすぐ30歳になりますが、桃子さんや穴井さんを見ていると、まだまだぜんぜん戦えるんだって思えるんです。私なんか、まだまだ若いよって。ジムのトレーナーに『もう28歳になりました』と言ったら、女性アスリートは30歳を過ぎてからがいちばん脂が乗ってよくなっていくよって言われたんです。体や気持ちが安定してくるんだそうです。その言葉は今でも心に残っています。
若い世代は勢いがすごいです。怖いもの知らずで、攻め方も強気です。岩井千怜ちゃんが同じ場所から3回池に入れたのに逃げなかったんです。私なら1回入れたら逃げますよ。スコアを考えれば、もう1回打つ決断はできないと思います。その強さや勢いは本当にすごいです。
若い子たちには自分にはわからない強さがありますが、若い子たちにも上の世代の強さや上手さはわからないはずです。実際、青木さんや穴井さんは優勝していますし、先輩ができるのなら私でもやれるんだって思っています。ゴルフは他のスポーツと違って体力的な問題は少ないです。だから年齢のことは考えていません。いつまでゴルフを続けたい、というのもなく、フィジカルやモチベーションが続く限り、ツアーでプレーしていきたいです」
村田はQTランク15位の資格でレギュラーツアーに挑むが、シード選手ではないため、油断もできない。
「女子ツアーは試合数が多く、リランキングは当然だと思っています。QTランクの選手にとっては厳しいものですけど、前半戦でいかに結果を残せるか、1試合1試合、集中していきたいです。
レギュラーツアーはそれほど出ていませんが、限られた試合数のなかで結果を出す難しさは、よくわかっています。自分の得意なクラブはショートアイアンです。オフに練習するドライバーの飛距離&正確性が上がれば、もっと上位で戦えると考えています。
私の武器はコースマネジメントですので、いかにセカンドをいい位置から打てるかがカギなんです。そのためにもドライバーを振りまくり、強化していきます。そして初優勝&シード権獲得を目指します!」
※「週刊ゴルフダイジェスト」2024年2月13日号「村田理沙インタビュー」より
PHOTO/Osamu Hoshikawa