ゴルフダイジェストアワードのクラブ・オブ・ザ・イヤー「ドライバー部門」で大賞を獲得した『トリプルダイヤモンド』モデルをはじめとするキャロウェイ『パラダイム』シリーズは、ヘッドのボディ全周にカーボンを採用した「360度カーボンシャーシ」を特徴とし、日米男女ツアーで20勝という圧倒的な結果を残した。その後継モデルが、今回紹介する『パラダイム Ai スモーク』である。すでにPGAツアーから漏れ聞こえてくる評価は高いものがあるが、真の実力はいかなるものか? クラブ設計家の松尾好員氏と検証してみた。
画像: 【試打クラブスペック】ロフト角●10.5度 ライ角●58度 体積●460cc 価格(税込)●9万6800円※すべてメーカー公表値

【試打クラブスペック】ロフト角●10.5度 ライ角●58度 体積●460cc 価格(税込)●9万6800円※すべてメーカー公表値

さらに進化した6代目AIフェースの実力

2本の柱をフェースの裏側に立てた「ジェイルブレイク」は、近年のキャロウェイドライバーにはなくてはならないテクノロジーとして深く浸透してきた。ジェイルブレイクがはじめて搭載された『GBB エピック』が登場する前年、PRGRが「ギリギリ」を謳い、ドライバーに再び初速を回帰させていた。世界のゴルフ規則を統括する公的機関のひとつであるR&Aは『RS‐F(2016)』に不適合の裁定を下したが、PRGRによってそれまでの「弾道の安定こそが飛距離アップにつながる」という考えに、「初速アップ」という開発のテーマが加わることになった。

「ルールは破らない。常識を破る」をスローガンに、「禁断の飛び、いよいよ解禁です!」と登場したのが、『GBB エピック』だった。ヘッドのクラウンとソールを2本の柱でつなぐことで、インパクト時のヘッドのたわみが抑えられ、初速アップが可能になるというものだった。

2008年に施行された高反発ルールは、反発係数「COR0.830が上限」と定められた。各メーカーはこの「COR0.830」にどれだけ近づくことができるかを競うようになった。高反発ルール施行から約10年が経ち、多くのメーカーが上限に達するテクノロジーに挑むこととなった。

『GBB エピック』は、ヘッドのたわみを抑えることで初速アップが可能だと考えた製品だが、一方でヘッドをたわませることで、初速アップが可能になるという逆の考えを持つメーカーもある。これに関してはいまだ結論に至っていないが、各メーカーが目指したのは、高初速エリアの拡大だった。

画像: 左が『GBB エピックスター』、右が『GBB エピック サブゼロ』。「ジェイルブレイク」を初搭載したモデルだ

左が『GBB エピックスター』、右が『GBB エピック サブゼロ』。「ジェイルブレイク」を初搭載したモデルだ

フェース面をトランポリンだとイメージすればわかると思うが、最も反発が得られるのは中央部分。その周辺は、中央部から離れれば離れるほど反発力は小さくなる。中央部の反発を上限値に保ったまま、どれだけ周辺部を上限値に近い状態に出来るかの競い合いになった。

テーラーメイドは『M5/M6』で反発係数を超えたものを作り、フェース下部の2つの穴からレジン素材を注入し、ルールの上限値まで戻す手法をとった。ブリヂストンは「サスペンションコア」という突起をフェースの裏側に当てることで、中央部の反発を抑え、周辺の反発をアップさせた。

富士山のような円錐形をイメージするとわかりやすい。5合目部分を輪切りにしたら、山頂部よりも面積は大きくなる。五合目をルールの上限「0.830」に設定し、五合目から上の上限を超えた部分の反発を抑えることで、高反発エリアが広がると考えたわけだ。

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