タイガー・ウッズが約10カ月ぶりに公式競技の会場に現れたのは桑木志帆プロの現地レポートで既報のとおり。では、いまのスウィングはどこまで仕上がっているのかを、タイガー世代のプロコーチでタイガーマニアを自認する横田英治プロに解説してもらった。

スウィングに耐えられる下半身になっている

2023年4月、大会最終日直前に棄権したマスターズ以来となる試合に臨むタイガー。ツアー会場でのスウィング写真は久しぶりに見たという横田プロは「幾度となくタイガーのスウィング解説をしてきましたが、大怪我をしてから第一線で戦うために変えなければいけないと思っていた箇所がほとんど治っている印象です。こんな短期間でここまで仕上げてくるのはさすがタイガーですね」と率直な印象を語ってくれた。

「スウィング全体はもちろんそうなんですが、いちばん見てもらいたいのはアドレスです。22年末のアドレスは、やはり怪我をした足をかばっているので、下半身に負担を欠けないようにそっと立っていて、逆に上半身にかなりの力感があります。ひと言でいえば上半身に頼ったスウィングをするためのアドレスなので、バランスの悪さが目立ちます。それに比べ、今週の練習日のアドレスはリラックス感があり、上半身と下半身のバランスがとてもよく、始動からフィニッシュまで淀みなくスムーズに打てるイメージが浮かびます。このアドレスを見ただけでも、『よくぞ、ここまで戻ってきた』とタイガーフリークとしては感慨深いです。

画像: 横田プロが話すように、22年12月のタイガーの上半身は硬さが見てとれるが、今週のアドレスにはその様子がない(撮影/田邉JJ安啓、中村修)

横田プロが話すように、22年12月のタイガーの上半身は硬さが見てとれるが、今週のアドレスにはその様子がない(撮影/田邉JJ安啓、中村修)

スウィングに目を移せば、22年末のスウィングは足をかばっているので切り返し後でも、頭が上下に動くようなことはなく、再現性は高かったかもしれませんが、悪く言えば沈み込みが小さいので、躍動感がありませんでした。今週は、逆に頭が動くほどの躍動感があるので、下半身をしっかり使えており、それに伴って上半身も使えているので、バランスが良くなっています。

画像: 22年12月は下半身の沈み込みが小さく、上半身と下半身が分離しているようにみえる一方で、今週は一体感がある(撮影/田邉JJ安啓、中村修)

22年12月は下半身の沈み込みが小さく、上半身と下半身が分離しているようにみえる一方で、今週は一体感がある(撮影/田邉JJ安啓、中村修)

そして、フォローの動きを見ても、しっかりと遠心力が使えているので、体の重さでしっかりとボールを捉えて飛距離を出せる、バランスの良いスウィングに戻ってきています」と嬉しそうな横田プロ。

画像: どこまでタイガーのコンディションが整っているのか、注目だ(撮影/田邉JJ安啓、中村修)

どこまでタイガーのコンディションが整っているのか、注目だ(撮影/田邉JJ安啓、中村修)

今週のタイガーはどこまで期待できる?

このスウィングから今週の期待度を聞くと、「怪我をする前まではポジティブなスウィング改造でトッププレーヤーの地位を維持してきましたが、怪我後はネガティブなチェンジを繰り返しているといわざるをえません。そう考えると、怪我の影響なのか、それとも加齢による身体的な衰えなのかはわかりませんが、“しなやかさ”という点でもの足りなく感じるのは事実です。とはいえ、ただ復帰するだけなら、主催大会とはいえ、この大会からではなく、時期の前倒しができたと思います。これは本人に確認するしかないですが、タイガーが思い描く『復帰』というのは自分のなかで優勝を狙える、少なくとも優勝争いができる状態になってからだと思うのです。超人的なアスリートであるタイガーと、そのサポートスタッフが『復帰』を決めたのですから、期待しないわけにはいきません。タイガーがタイガーであるならば、記者会見で語ったようにまずは『優勝争い』をみせてくれると信じたいです」と話してくれた。

画像: タイガーの83勝目はこの大会なのか!?(撮影/中村修)

タイガーの83勝目はこの大会なのか!?(撮影/中村修)

復帰初戦となるジェネシス招待の初日。タイガーは日本時間の16日2時25分から、アウトスタートで仲の良いジャスティン・トーマスとゲーリー・ウッドランドとのペアリング。予選落ちのない昇格試合でタイガーがどこまで戦えるのか、そして、世界中のタイガーファンが待ち望む83勝目はなるのか。注目だ。

This article is a sponsored article by
''.