松山英樹の21年マスターズ優勝をサポートした目澤秀憲に、レッスン技術に造詣が深いライターDが、最新スウィング理論について話を聞いていく連載「みんなのスウィング3.0」。今回は、「ホフマンの不調の原因」について考えた。
画像: ホフマンは腰痛の影響で腰が回りにくくなり、左へのミスが増えたことで、本人も無自覚のうちにグリップが20度もウィークになっていたという。グリップを元に戻したところ、体がそれに反応し、以前のような鋭い回転が戻った

ホフマンは腰痛の影響で腰が回りにくくなり、左へのミスが増えたことで、本人も無自覚のうちにグリップが20度もウィークになっていたという。グリップを元に戻したところ、体がそれに反応し、以前のような鋭い回転が戻った

ホフマンは腰痛を嫌がって、無意識にグリップをウィークにしていた!?

D ゴルファーには「腰痛持ち」が多い印象ですが、そもそも、スウィングの負荷が原因で腰痛を発症するケースも多いと思います。

目澤 体のどこかに可動域の問題がある人の場合は、腰に過度に負担がかかる振り方になってしまうことがあるので、そうすると腰痛になりやすいですね。

D どういうスウィングだと腰に負荷がかかりやすいですか?

目澤 たとえば、テークバックで右に回転するときに、股関節がきちんと動かないとか、胸椎が回転しにくい、腕が上がりにくいといった問題があると、脳はそれでも体を「回さなきゃ」と思ってしまうので、別の動きで補おうとします。具体的には、腰を前に突き出す感じで背中を反らせるとか、左のサイドベンド(わき腹を縮めて上体を横に倒す動き)を強くするといったことですね。どちらも腰に強く負荷がかかる動きで、TPIでは、これを「フェイクターン」と呼んでいます。

D フェイクターンは、プロでも起こりますか?

目澤 もちろん起こりますし、プレーヤー自身が気付いていないことも多いです。

D だからこそコーチの存在が必要だし、現代だと、定期的にスウィングを3D解析することも大事ですね。

目澤 スウィングの3Dデータを記録しておくと、不調になったときに、いいときのデータと見比べて、どこに問題があるのかをすぐに見つけることができるんです。最近だと、チャーリー・ホフマンがそれで「プチ復活」しましたよね。

D 数年前から腰痛があって、昨シーズンは出場試合の半分以上で予選落ちでしたが、今年、フェニックスオープンでプレーオフの末、2位になっていますね。

目澤 ホフマンは今シーズンに入る前、何年かぶりにスウィングのデータを取ったみたいなんですけど、そうしたらいいときに比べて、左手のグリップが20度もウィークになっているのがわかったんです。おそらく腰痛の影響だと思いますが、腰がうまく回らなくて、代わりに前に出るようになっていたらしくて、そうなると左手がストロングだと左に引っかけやすくなるんです。超フックグリップのダスティン・ジョンソンはインパクトで腰が思い切り開いているじゃないですか。逆にいえば、腰が止まると左にしか飛ばなくなるということで、ホフマンもそれを嫌がって、無意識にグリップをウィークにしてきたんだと思います。

D ということは、ホフマンはもっと腰を回すようにスウィングを修正したということですか?

目澤 いえ、実はグリップを元に戻しただけなんです。そうしたら、それに反応して勝手に腰が回るようになったんですね。データ上も腰が前に出なくなって、インパクトからフォローにかけて左腰がしっかり後ろに引かれるようになったみたいです。

D どこか1カ所に反応して、別の場所の動きが変わるということは、よくあることなんですか?

目澤 もちろんありますし、その反応をスウィングの修正に利用するやり方もあるんですよ。

※週刊ゴルフダイジェスト2024年3月19日号「みんなのスウィング3.0 Vol14」より

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