同じ飛び系でも『P790』はやっぱりアスリートモデル
アイアンを比較するとき最初にチェックしたいのがロフト角になる。『P790』の7番は30.5度、PWは45度。『Qi アイアン』は7番28度、PW43度のため、同じテーラーメイドの飛び系でも『Qi アイアン』のほうがより飛び系の設計となっていることがわかる。
アドレス時の顔を比べると、『P790』は精悍な雰囲気がありシャープさを感じる。『Qi アイアン』は全体的に丸みがあり、トップブレードの厚さもある。ソール幅も『P790』よりも『Qi アイアン』のほうが広くなっているため、同じ中空構造の飛び系ではあるが、『Qi アイアン』のほうが見た目の形状からしても、やさしさを感じる。
ヘッドデータを比べてみると、『P790』と『Qi アイアン』の違いがより鮮明に見えてきた。「リアルロフト、重心深度、重心距離を比べると性能の違いがわかる」と松尾氏は言う。
リアルロフト(7番)は、『P790』が30.5度、『Qi アイアン』が28.2度。重心深度は『P790』が4.3ミリ、『Qi アイアン』が5.1ミリ。重心距離は『P790』が40.4ミリ、『Qi アイアン』が42.9ミリとなっている。
ロフトは飛距離に、重心深度と重心距離は芯を外したミスヒット時のヘッドのブレに対する強さに関係するため、『Qi アイアン』のほうが、飛距離性能だけでなくやさしさも兼ね備えていることがわかる。
しかし、アイアンは「やさしくて飛べばいい」というものではない。構えやすさ、操作性、スウィングの精度、高い球が打てる、打てないなどの要素が加味される。
基本的には、ロフトが立っていれば飛距離は稼げる。とはいえ、飛距離がほしいのに球を抑える技術がなければ、ストロングロフトのアイアンを使用しても、クラブの特性を生かした飛距離を得ることはできない。また、打球を上げることを苦手としたら、球を止めるだけの高さが得られなくなる。
重心距離と重心深度でいえば大きくなるほどヘッドが返りづらくなる。その分、操作性という意味では性能は劣るが、オートマチックに打球を真っすぐ飛ばしたい人には利点となる。
『Qi アイアン』は『P790』よりも飛距離性能が高く、『P790』 は『Qi アイアン』よりも操作性が高い。ミスヒットによる飛距離ロスの度合いを比べれば『Qi アイアン』が勝る性能を持っていることがヘッドデータから読み取ることができる。
『P790』と『Qi アイアン』、どっちにしようかと迷ったら、やさしさ重視なら『Qi アイアン』。飛距離も操作性もある程度ほしいと思ったら『P790』という選択になるだろう。飛距離に関してはリアルロフトが2.3度立っている『Qi アイアン』の方が5ヤードほど飛ぶ可能性を持っている。