今のシェフラーは「Hard to beat(負かすのが難しい)」と誰もが口を揃える。「マックス・ホーマに勝って欲しいけれどシェフラーが強すぎてやはり勝つのは彼だろうね」と95年の全米オープンチャンピオン、コーリー・ペイビンが語る。それほどシェフラーはいま手がつけられない存在なのだ。
世界ナンバー1の優勝にパトロンは大声援を贈った。しかしそれ以上にパトロンを湧かせたのはおそらく最終組のひと組前でプレーしたアバーグだろう。
昨年DPワールドツアーのオメガ・ヨーロピアン・マスターズで優勝するとPGAツアー出場11試合目にしてRSMクラシックを制しキャプテン推薦でライダーカップにも出場した。
まだメジャーを1度も経験したことがない若手を起用したルーク・ドナルド主将は「アマチュア時代からの実績は誰もが認めるところ。選んだのは彼のドライバーの素晴らしさ。本当に凄いと思っている」。アバーグはキャプテンの期待に応え初日のチーム戦で勝利し、ヨーロッパチームに勢いをつけた。
今季はすでに4日目がキャンセルされたAT&Tペブルビーチプロアマ(シグネチャーイベント)で単独2位に入ったほか第5のメジャー、プレーヤーズ選手権でも8位とフィールドの厚いビッグイベントでの活躍が目立つ。
そして憧れのマスターズで遂にメジャーデビュー。「オーガスタナショナルでプレーするのが夢でした。最後の数ホールを歩きながら緊張とプレッシャーを感じられて夢が叶ったと思いました。ゴルフを始めたときからこの瞬間を待っていた」と4打差の単独2位に達成感をにじませた。
「今週は調子が良くて思い通りにスウィングができました。この舞台に立つプレーヤーは皆メジャーに勝ちたい、世界ナンバー1になりたい、と思っています。もちろん僕もそのひとり。今回それを実現するための足場を固めることができた気がします」
「自分の将来に期待している」というアバーグのキャリアはまだ始まったばかり。どんな花を咲かせてくれるのか大器の未来が楽しみだ。