ドライバーのみならず、14本の流れを考慮した1本
連載14回目は東京都町田市にお店を構える「ゴルフスタジオ ワイズファクトリー」の山下博由さんがオススメの1本をご紹介。山下さんは以前は会社経営や、ゴルフを始める前はサーフィンやスキーを嗜むアクティブな一面を持つ人物。33歳からゴルフをはじめ、その10年後の43歳からゴルフ工房を開業した。現在は競技ゴルファーやゴルフ部のフィッティングを請け負うほか、中学生時代の話だが、のちに全米女子アマを制したゴルファーのドライバーも組んでいたこともある、確かな技術の持ち主。かくいう自身も関東ミッドアマ2年連続決勝進出経験がある実力者だ。
「33歳からゴルフをはじめ、1年間必死に練習したのですが100前後が精いっぱいでした。当時下田にあるショップでクラブを組み立てて頂いた所、スコアが急激に縮まって、そこで道具の重要性という部分を実感しました。中身があっていないと、自分の思った通りに動かせない。振れないんです」とクラブの重要性について語る。
「ゴルフクラブはとても重要で、とても上手な方でもクラブをわかっていない方がたくさんいます。道具自体を知らずに漠然と打つのと、道具を理解していることではクラブの使い方が変わってくる」と理屈を大事にしつつ、プレイヤーの感覚をさらに引き出せるフィッティングを信条としている。
「ヨネックス『E-ZONE GT タイプS』とフジクラ『スピーダー NX ブラック(5X)』がおすすめのセッティング」というが、この組み合わせは山下さんが実際に使用していたもの。「『スピーダー NX ブラック』は今どきの浅いトップからテンポよく振り切れるスウィングタイプに合うシャフトだと思います。50Xにしている分、軽さでヘッドスピードを出して硬さで安定感を出せるので、1発の飛びでなくフェアウェイに置けるようなイメージで作っています。また岩井明愛、千怜姉妹が使用するヨネックス『E-ZONE タイプS』はヘッドスピード43前後のゴルファーに合いやすく、シャローな形状で直進性が高い。ヘッドとシャフトのどちらも持ち球がフック系のゴルファーがまっすぐに打ち出せるような想定で作りました」という。なお、工房にはフジクラのシャフトは全種類取り扱いがあるそうなので、フィッティングの際には重量やフレックス違いでも試せることも強みだろう。
●ヘッド/ヨネックス E‐ZONE GT タイプS(10.5度)
ドライバーは、新構造ストライクスピード・カーボン(StrikeSpeed Carbon)を採用。素早いしなり戻りと高い復元力を生む先進カーボン「2G-Namd Speed」をソール部に複合したことで、オフセンターヒットでも高初速で飛ばせることが特徴。ソール部は従来よりもカーボン複合エリアを10%拡大し、2G-Namd Speedを複合したカーボンクラウンとの相乗効果で、シリーズ最高の“飛び”を実現するカーボンコンポジットドライバーになっている。また、ドライバーはヨネックス契約プロの岩井明愛・岩井千怜の要望を取り入れてデザインした、ターコイズブルーとマゼンタの岩井姉妹使用カラーモデルもラインナップしている。価格(税込)/9万6800円(オリジナルシャフト付)
●シャフト/フジクラ スピーダー NX ブラック(50X)
スピーダー NXシリーズに搭載している「VARIABLE TORQUE COREテクノロジー」。先端から中間のねじり剛性を高めることで、ヘッド挙動の安定とインパクト時のブレを抑制し、これまでの先調子系シャフトにはない操作性、安定性を生んでいる。低スピン化した最新ヘッドとボールにマッチする先中調子のシャフト。価格(税込)/4万4000円
この連載初の大手メーカーのヘッドを試打
ここからは堀越プロの試打結果とインプレッションをお届けしよう。
「本連載は“チョイス特選工房”からの推薦クラブの試打と聞いていたので、大手メーカーのヨネックスのヘッドがきたのは少し驚きました。とはいえ、推薦クラブは地クラブ(カスタムクラブ)だけという縛りを設けていないので、こういうのがあるのも面白いですね。また、ヨネックスは自社シャフトの出来がいいので、カスタムで使用しているゴルファーはそう多くない。そういったことを考えるとこの組み合わせは興味がありますね。ヘッドはややフックフェースなので、オートマチックにつかまってくれる安心感があります。やや後方にストレッチしたヘッドなので、重心深度は深そうで、球が上がりやすく、オフセンターヒットにも強そうですね。シャフトは5Xなので、いわゆる“軽硬”。またXという響きはアマチュアゴルファーにとって垂涎ものなので、心をくすぐります。硬いので変な挙動はなく、スウィング軌道の安定性を感じます。5Xなので、HS42m/sくらいで打っていこうと思います」と堀越プロ。
試打者/ほりこし・よしかず。試打経験から裏打ちされた豊富な知識と試打技量から大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。キング・オブ・試打。クレアゴルフフィールド所属
HS42m/sで試打してみると「思っていたとおり打ち出し角が16度を超えているので、球が高いです。球の高さはもちろんロフト角が重要なのですが、重心深度もかなり関係してきます。深度が深いとヘッド後方が垂れてアッパー軌道になりやすいからです」とは堀越プロの解説。「重心深度が深いということは、ヘッドの返りも緩やかなので、開いたら開きっぱなしのイマドキのヘッドです。芯から外れても打感はそれほど変わらず、ボール初速もそれほど落ちないので、ミスヒットがミスに感じないヘッドといえます。また、『スピーダー NX ブラック』は先中調子なので、先が少し動くのですが、フレックスXのおかげでつかまり過ぎを抑えているのも、絶妙だと思います。ややフックフェースで適度なつかまりがあるヘッドにつかまり過ぎない50g台のXシャフトは、HS41~42m/sで左が嫌いな上級者に合うスペックだと思います」(堀越)
なお、ヘッドスピード42m/s前後で5球を打っての平均は下記のとおり。
ボール初速●60.0m/s
打ち出し角●16.8度
スピン量●2266rpm
キャリー●224.8Y
総飛距離●244.3Y
総評
ヨネックス『E-ZONE GT タイプS』は女子プロの岩井明愛、千怜姉妹が使用するモデル。「女子のトッププロが使用するのも納得できる綺麗な顔で、ややフックフェースなのでオートマチックにつかまってくれますし、顔からくる構えたときの安心感は大きいです。先中調子の『スピーダー NX ブラック』はつかまり過ぎを抑える軽硬仕様なので、ヘッドスピードがそれほど速くない上級者が叩きにいきやすい組み合わせといえるでしょう。打ち出し角は高いですが、スピンは抑えられているので、変な吹け上がりもなく、しっかりキャリーが稼げるだけでなく、ランの期待もできる万能ドライバーです。オフセンターヒットにも強いので、ヘッドスピードが41~42m/sくらいのゴルファーであれば、上級者だけでなくビギナーも使いこなせる組み合わせだと思います。そして、ビギナーから中上級者へと進むなかで、クラブを交換する必要がないので、長く使えるドライバーだと思います」(堀越)
ゴルフスタジオ ワイズファクトリー
練習はしているけどなかなか上達しないというゴルファーは、クラブ選びに難あり。自身のスウィングタイプに合ったクラブをこの工房で探してみてはいかがだろう。
住所/東京都町田市金森東3-14-27 シティーハイム21 1F
営業時間/11時~18時(定休日:不定休)
電話番号/042-706-9802
※フィッティングは予約制なので公式HPを要確認
※駐車場に限りがあるため来店前に電話確認を
THANKS/クレアゴルフフィールド