レイチェルと呼ばれ、派手なルックスが注目されることが多かった臼井麗香が、ついに優勝を手にした。臼井にショートゲームを教える大本研太郎コーチによると「実は臼井選手は、陰の努力を見せないストイックにゴルフに取り組むタイプで、彼女が意識するポイントは、すべてのゴルファーが上達するヒントになると思います」と言う。2024年5月28日号の週刊ゴルフダイジェストでは、彼女の「パター」「アプローチ」「スウィング」「メンタリティ」「タテの距離感」5つに着目した特集を組んでいるので、みんゴルではそのうち「パター」と「アプローチ」を紹介する。
画像: 臼井麗華

臼井麗華

うすい・れいか。1998年生まれ。栃木県出身。 3歳からダンスやバレエを習 い、宝塚歌劇団に憧れていた。9歳からゴルフを始め、 2018年プロ転向。2021-22 年に初シード、今シーズン アクサレディスで初優勝を遂げた。自身のアパレルブランド「Chell classy」もプロデュース。

アクサレディス最終日が雨で中止となったとはいえ、初日65、2日目66 のビッグスコアを並べ、2日間トータル13アンダーという堂々の勝ちっぷりだった。

画像: 大本研太郎

大本研太郎

おおもと・けんたろう。1974年生まれ。宮城県出身。

ショートゲームを中心に、スウィング理論からメンタル、フィジカルまで教える理論派。2018年PGAティーチングプロアワード最優秀賞受賞。現在、女子プロの東浩子、藤田さいき、臼井麗香、永嶋花音などを指導中。 GPC恵比寿主宰。

【パター】狭いスタンスにはワケがある

GD 臼井プロは優勝したアクサレディスで、2日間で14個のバーディを奪っています。

大本 もともとパットが得意ですからね。臼井プロの特徴は、体の前傾が浅いことです。

GD 立ち気味ということ?

大本 そうです。ボールを近くから見ると過緊張が起こって、筋肉がスムーズに動かなくなるんです。

GD えっ、そうなんですか!

大本 小さくかがむ選手にパット巧者はいませんよ。

GD なるほど。

大本 それと、わきを締めるように上腕を外旋すると、肩甲骨を使って正確にストロークできます。逆に、ひじを張るように上腕を内旋させると、腕だけを動かしやすくなってしまいます。やってみるとわかりますが、スタンスを狭くすると腕を外旋させやすく、スタンスを広げると腕は内旋しやすくなります。それで、臼井プロは自然とスタンスが狭くなっていったわけです。

画像: 臼井プロの5mパッティングストローク

臼井プロの5mパッティングストローク

臼井プロのポイント① ちょっと立ち気味でアドレスする

「ゴルファーの体は、ボール近くに顔を持っていくほど過緊張が起こって、筋肉がスムーズに動かなくなります。そのため、目と地面を離して立ち気味で構えると、ストロークがスムーズになるんです」(大本・以下同)

画像: (左)腰高アドレスは手がよく動く。(右)小さくかがむとスムーズに動かない。

(左)腰高アドレスは手がよく動く。(右)小さくかがむとスムーズに動かない。

臼井プロのポイント② 上腕を外旋させてストロークする

「スタンスを狭くすると、上腕を外旋しやすくなり、肩甲骨を使って正確にストロークしやすくなります。スタンスを広げると上腕が内旋して、ひじを張りやすくなり、腕だけのストロークになりがちです」

画像: (左)狭スタンス&腕を外旋で体幹を使って正確にストロークできる。(右)広スタンス&腕を内旋だと腕だけで振りがちで軸もブレやすい。

(左)狭スタンス&腕を外旋で体幹を使って正確にストロークできる。(右)広スタンス&腕を内旋だと腕だけで振りがちで軸もブレやすい。

臼井プロのポイント③ 左手を下にしたクロスハンドグリップ

「クロスハンドのメリットは右肩が前に出にくいため、スクエアに構えてスクエアに打ちやすくなることです。ただし、右手の感覚を殺すので、右手のフィーリングで距離感を作りたい人には不向きです」

画像: (左)クロスハンドグリップ:右肩が出ない。(右)順手グリップ:右肩が出やすい

(左)クロスハンドグリップ:右肩が出ない。(右)順手グリップ:右肩が出やすい

【アプローチ】アプローチの基本は1ヤード刻みのキャリー

GD 臼井プロのアプローチのポイントは何ですか?

大本 アプローチは狙った地点にいかに正確にボールを落とせるかがもっとも重要です。もし、ピッチ&ランでキャリー5ヤードから10ヤードを完全カバーできたら、アプローチの8割はピンに寄せられます。

GD ということは、臼井プロはアプローチのキャリーの距離感を磨いたんですか?

大本 もともと距離感に優れた選手なので、キャリー5ヤードから10ヤードまでを1ヤード刻みで正確に出せるようにしていました。

GD 1ヤード刻みですか!

大本 アマチュアの場合、そこまでシビアに鍛え上げる必要はないかもしれませんが、自分なりの打ち方で、落とし所にボールを落とす練習を繰り返していけば、寄せワンの確率は確実にアップします。

画像: ボール位置は右で、ヘッドを上から入れます。

ボール位置は右で、ヘッドを上から入れます。

臼井プロのポイント① ボールを右側に置いてスピンを入れる

「ボールを右めに置いて、やや上からヘッドを入れて少しスピンを入れています。打ち方としてはやや高度ですが、ライが悪くても打ち方を変えずに対応でき、グリーンのスピードが速いツアーでは距離感を出しやすいんです」(大本・以下同)

画像: ピッチ&ランのキャリーを1ヤード刻みでコントロール。

ピッチ&ランのキャリーを1ヤード刻みでコントロール。

臼井プロがやっている練習法 ピッチ&ランのキャリーを1ヤード刻みでコントロール

「キャリー5ヤードから、6、7、8、9、10ヤードと、1ヤード刻みでキャリーを出す練習です。グリーン上の落とし所をコントロールできれば、アプローチの8割くらいはカバーできます。アマチュアなら、2ヤード刻みのキャリーがおすすめです」

画像: キャリー5ヤード(上)とキャリー10ヤード(下)のアプローチショット。

キャリー5ヤード(上)とキャリー10ヤード(下)のアプローチショット。

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臼井麗香のショットやメンタリティについては、2024年5月28日号の「週刊ゴルフダイジェスト」とMyゴルフダイジェストにて掲載中!

PHOTO/Hiroaki Arihara、Shinji Osawa、Tadashi Anezaki
THANKS/アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI 2024、 富士フイルム・スタジオアリス女子オープン、 アコーディア・ゴルフ技術研究所

※週刊ゴルフダイジェスト2024年5月28日号「レイチェル、これで勝ちました! 臼井麗香5つの開眼」より一部抜粋

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