小さいリアルロフトがコブラの真骨頂
GD 今回はコブラの最新作『ダークスピードX』ドライバーを前作の『エアロジェット』ドライバーと比較しながら分析していただきます。今作はどのような特徴がありますか?
松尾 「クラブの長さ」と「リアルロフト角」、「ライ角」の3つに特徴があると感じました。またコブラのドライバーが貫いている設計ポイントも見えてきました。
GD まずクラブの長さからお願いします。
松尾 はい。クラブの長さが前作の45.25インチから45.13インチと約1/8インチとわずかな差ではありますが短くなっています。この変化がクラブの慣性モーメントにも表れていて、前作が293万g・㎠、今作が291万g・㎠と小さくなっています。
GD そのわずかな短尺化によってクラブ全体のバランスが軽くなり、前作よりも今作のほうが振りやすくなったと言えそうですね。続いてリアルロフト角についてお願いします。
松尾 コブラのドライバー全般に言える特徴のひとつが、立ち気味の設定になっているリアルロフト角です。今作は10.5度表示でありながらリアルロフトが9.0度と1.5度も立っています。このような設定は他のメーカーのドライバーではなかなか見かけません。ここまで徹底して立ったロフト設定をしているのは、「低打ち出し」と「ボール初速アップ」の狙いがあるからだと推察できます。加えてフェース側とヘッド後端に搭載されているウェイトを入れ替えると、打ち出し角を高くすることができるので、自分が求める弾道を見つけていくことができます。
GD ロフトを立てることでスピン量を減らし、強く低く速い打球で飛距離を稼ぐドライバーなんですね。ライ角についてはいかがですか?
松尾 前作の『エアロジェット』が58.0度とフラットなライ角設定で、アドレスでヘッドのトウ側が立ち上がらないので、球のつかまりイメージが消されています。一方、今回の『ダークスピードX』は60.0度、これは日本のアベレージモデルに多く見られるアップライトな設定です。フェース角と合わせて考えると、オープンフェースながらもエアロジェットと逆の「アドレスでつかまるイメージを出したい」狙いで設計されたと思います。
GD 逃げ感のある顔がベースにありながらも、アドレスでボールをつかまえる感覚をイメージさせやすくするためのアップライト設定なんですね。では『ダークスピードX』ドライバーはどんなゴルファーにおすすめでしょうか?
松尾 「ダークスピードシリーズ」の中では標準モデルの立ち位置となりますが、立っているリアルロフト角から考えると、普段から高い弾道でスピンが多くて悩んでいるゴルファーにいいでしょう。またヘッドの慣性モーメントが小さいことから、芯を外したときのミスヒットに強い設計ではありません。スイートスポットに安定してミートできる腕前が必要だと思います。