父の日に、9バーディを奪い逆転優勝を飾った岩井明愛
父の日に感謝の気持ちを伝える逆転Vだった。
最終日18番、岩井明愛はカップの左1.5メートルのバーディパットを強気に決めると、右の拳を突き上げ、左手で持ったパターも空高く突き上げた。3打差となった最終組の竹田が18番で入れれば岩井明愛に並ぶ第2打をグリーン手前に外した瞬間に優勝が決定。祝福に来た双子の妹・千怜と抱き合って喜びを爆発させた。
「本当に今年2勝目ができたのが良かったと思います。同じ組の(小祝)さくらさんがスコアを伸ばしていたので、それがあったから自分も最後まで気を抜かずにいけました。心の中では緊張していましたし、落とせない状況だったので、1打1打すごい大事に打ってました」
前半はもどかしい展開だった。1番で3メートルを入れてバーディ発進したが、2番でアプローチを寄せ切れずボギーをたたいた。エンジンがかかってきたのは7番から。1.5メートルを決めてバーディを奪うと、ここから10番までどとうの4連続バーディとし、一気に優勝争いに浮上した。
逆転優勝への流れを引き寄せたのは16番だった。グリーン右手前バンカーから20ヤードを見事なチップインバーディ。このミラクルショットで首位に並ぶと、17番もバーディを奪い、単独首位へ。そして迎えた18番は2オン狙いの第2打がグリーン左バンカーにつかまったが、ここから1・5メートルに寄せて、優勝をもぎ取った。
「今日はパターが1番良かったかなと思います。やっぱりカップまで届くような、オーバーするようなパットが増えてきたので、それがよかったです」
「父にはいい意味で守られている」(明愛)
この日が父の日ということで、姉妹でイメージカラーの青色をあしらったウェアを着てプレーした。手首にはやはりイメージカラーの黄色いリストバンド。妹の千怜が5月のRKB×三井松島レディスで母の日優勝をしたのに続き、姉も父の日にW記念日Vを達成。父・雄士さんへの感謝の思いを届けた。
「すごいですね。千怜が母の日で勝って、父の日に……。今年まさか優勝できると思わなくて、スタート前はやっぱり父の日なので、プレーしつつも思い出に残るショットが打てたらいいなと思っていたけど、優勝できて最高の父の日のプレゼントになったかなと思います」
優勝記者会見では父の存在感の大きさに触れた。
「守ってくれるような感じがしますね。言い方が分からないですけど、自分たちがプレーしやすいように、周りから守ってくれているという気がします。大体、父がいるとあまり人が寄ってこない。いい意味でですよ(笑)。なので、いい意味で守られている」
次戦は海外メジャーのKPMG全米女子プロ選手権(20日開幕、ワシントン州サハリーCC)に参戦する。狙うは初のメジャータイトル。この日の優勝が大きな弾みになるのは間違いない。
「いい流れのままいける思うけど、(今週)優勝したからそのままいけるというものじゃないので、自分のスウィングの調子を確認しながやっていきたい。(優勝への意欲は)あります。あります。千怜もいますし、楽しみが倍になりましたね」
全米女子プロ選手権には、国内ツアー組では岩井姉妹のほか、山下美夢有、竹田麗央、小祝さくら、鈴木愛が出場権を持っている。全米女子オープンでは笹生優花、渋野日向子がワンツーフィニッシュを決めて、日本選手の躍進が著しい。岩井明愛の戴冠にも十分にチャンスがある。海の向こうからの朗報が待ち遠しい