フィッティングとカスタムの違い。プロはみんなカスタム
GD クラブを選ぶ場合、カスタムにするか、既製品にするかという考えがありますが、多くの人は既製品を使用しています。カスタムの方法がわからないという理由で、仕方なく既製品を使っているという人も多いはずです。今日は、そんな悩めるゴルファーにカスタムの道筋を立ててもらおうかなと思います。
長谷部 そうですねえ。好きなブランド、メーカーのものから選ぶことはもちろん否定しないんですけど、ゴルフクラブを「つるし」、いわゆるプロパー品で買うのがいいのか、カスタムで選ぶのがいいのかって言ったら、間違いなくカスタムで選ぶほうが僕はいいと思います。
なぜならプロゴルファーのクラブはカスタムで、クラブの長さも、シャフトの硬さも、1人1人、同じスペックのものを使っている選手はいません。ベストなパフォーマンスを出すためのクラブ選びとなると、オーダースーツが簡単に選べるようになったのと同じように、もっとゴルフクラブも簡単に、長さ、バランス、グリップ……せめてその辺のところを合わせるだけでも、違った結果になると思います。
ドライバーに関して言えば、カチャカチャの仕組みが一般化されてシャフトが割と簡易的に替えられるようになり、すごく前進したと思います。ただそうは言っても、フェアウェイウッド、ユーティリティまで考えた時の飛距離の階段となると、人によっては打てる番手が限定されるので、総合的にその人が目指すゴルフに対してアドバイスをしてくれる人が必要になってくると思います。
GD 最近はフィッティングを推奨していますが、カスタムとフィッティングって、似ているようで実は違うような気がします。
長谷部 カリスマフィッターと呼ばれる方やフィッターを肩書きにされている方の中には私がこれから言う範疇を越えた対応をされていたり、プロのクラブも組立している場合もあると思いますが、一般論としてのフィッティングはあくまでもその時のその方のスウィングに合わせた、ある程度絞られた中でのスペック選びというのがフィッティングだと思います。
「このドライバー使いたいんですけど、自分に合うスペックはどれですか?」というケースもそうですが、その中で合うスペックが見つからなかったら、「今人気のクラブはこれですよ」と第2、第3の提案があるんだと思います。
そういうものがまったくなく、「今一番いいものなんですか?」って要望されるお客様がいらっしゃるので、そういった時は、性能差のあるドライバーを選んでお勧めすることもあると思います。でも、いずれにしても限られた範囲の中での調整だったり選択に過ぎません。
GD カスタムは?
長谷部 ドライバーで250ヤード飛ばすことを目標に立てたとしたら、 どんなヘッド形状で、どんな重量で、どんな長さでまで考えて落とし込むのがカスタムだと思うので、 もっと多岐にわたる選択肢を用意しておいて、それに合うスペックを決めていくのがカスタムだと思います。
軽くすればヘッドスピードは上がりますし、重くすれば方向性が安定するみたいなところを含めて、スペックをどんどん決めていく。これが大体プロがやっているクラブの選び方になります。
GD カスタムにも2種類あって、メーカーがあらかじめ用意しているメーカーカスタムと、まったくゼロベースから考えるオーダーカスタムがあります。
長谷部 メーカーが決めているカスタムの中からスペックを探すのが店頭では多いですよね。その中では合わない場合は、シャフトをオーダーする形になって、在庫ではないものをカスタムで作ることになります。また、限定ヘッドで限られた数量やスペックから対応することもありますね。
GD カスタムと言うと、「地クラブ」のイメージがあって、工房でオーダーするとなると選択肢が狭まるような気がします。
長谷部 工房系にも色々ブランドがあって、1つ1つのメーカーが個性を持って作っているものなので、重心位置の考え方も、ヘッド形状の考え方もまったく違うものがたくさんあります。その中で気に入ったものが見つかれば、それはラッキーですし、工房によっては大手ブランドの専用ヘッドも扱っているので、選択肢はかなり広がると思います。
ただ、量販店ではそういった相談に乗ってくれる店員さんも少ないですし、クラフトマンもクラブを組み立てることができたとしても、カスタムの細かいゴルファーのニーズにまで応えられるほど経験がない方もいらっしゃるので、やっぱり工房系のベテランのオヤジさんに聞くのが割と安心なのかなって気はします。