「ニチレイレディス」で今季2勝目を飾った岩井明愛。伸ばし合いの展開になった最終日を64と爆発したスウィングをみんなのゴルフダイジェスト特派記者でプロゴルファーの中村修が解説した。

最終日に64と爆発し逆転で今季2勝目を飾った

「ニチレイレディス」の2日目を終えた夜から雨が降り、最終日はグリーンが止まるコンディションに変わったことで朝から伸ばし合いの展開になっていました。首位の竹田麗央選手から3打差の5位タイで出た岩井明愛選手は、中盤で4連続バーディと上がりの3連続バーディを決め、9バーディ1ボギーの64と最終ホールの最後のパットまで白熱したプレーでギャラリーを沸かせました。

画像: 「ニチレイレディス」で今季2勝目を飾った岩井明愛(写真/大澤進二)

「ニチレイレディス」で今季2勝目を飾った岩井明愛(写真/大澤進二)

最終日のコンディションの変化を読み取り、小さいグリーンを攻めバーディを重ねた小祝さくら、佐久間朱莉の両選手は65でプレーし2位タイ。川﨑春花、山下美夢有の両選手も65でプレーし、5位タイ、66でプレーした河本結選手は7位タイで終えました。

グリーンのコンディションに敏感に反応し、ピンを攻めた

グリーンが止まるコンディションになると積極的にピンを攻め、かつバーディパットをしっかり決め続け、ビッグスコアを求められるのが現在の女子ツアーのレベルになっていますが、プレッシャーのかかる最終日であってもそれは変わりません。むしろプレッシャーの中で持てるパフォーマンスを存分に発揮できる選手が優勝を争い、勝者と敗者がまさに紙一重の戦いになっていることが現れた大会だったと思います。

岩井明愛選手の初日は1アンダーの26位タイでスタートし、2日目に4アンダーを積み重ねトータル5アンダーとし最終日に8つスコアを伸ばし優勝を手にしましたが、初日から調子が良かった訳ではありませんでした。

優勝会見では「特にバックスウィングにかけて、ちょっと気持ち悪いのがたくさんあった」といい「打つ前に自分の良い位置があるんですけど、そこを1回通すというか、テークバックからダウンスウィングにかけてを、打つ前にやると印象が良かったのでやってました」と答えました。最終日の朝の練習を遠目に見ていたのですが、確かにクラブの通り道を意識した素振りから打つように練習していたので、このコメントを聞いて納得しました。

「リゾートトラストレディス」で優勝した際の【勝者のスウィング】では、流れるようなスウィングとフルショット、コントロールショットの違いを解説しましたが、ここではフェース面の使い方にフォーカスしてみましょう。

フェースをターンさせながらクラブを動かすオーソドックスなスウィング

まずテークバックではフェースを閉じたままシャットフェースには上げていません。アドレスで構えた手元を開く、閉じるといったねじる動きが入らずに上げていきます。

画像: 画像A アドレスで構えた手元を開く、閉じるといったねじる動きを入れずにテークバックする(写真/岡沢裕行)

画像A アドレスで構えた手元を開く、閉じるといったねじる動きを入れずにテークバックする(写真/岡沢裕行)

トップでのフェース面が空を向くほどのシャットフェースではなくほぼスクエアです。そこから左に重心を移動しながら体をターンさせクラブが体に巻き付くようにダウンスウィングに入ると、テークバックの画像Aの右とダウンスウィングの画像Bの右とほぼ同じ向きになっていることが見て取れます。

画像: 画像B トップでのフェース向きはスクエア。ダウンスウィングでもフェース面の向きはテークバックとほぼ同じ(写真/岡沢裕行)

画像B トップでのフェース向きはスクエア。ダウンスウィングでもフェース面の向きはテークバックとほぼ同じ(写真/岡沢裕行)

つまりフェース面はまだボールに向いていません。ここからインパクト、フォローにかけてフェースをターンさせながらクラブヘッドは体を中心に大きく動いていきます。ゴルフの長い歴史の中で培われたとてもオーソドックスなスウィングだといえます。

画像: 画像C ダウンスウィングからフォローにかけてフェースをターンさせながらクラブヘッドを大きく動かす(写真/岡沢裕行)

画像C ダウンスウィングからフォローにかけてフェースをターンさせながらクラブヘッドを大きく動かす(写真/岡沢裕行)

活躍する選手によって流行りが生まれるのもゴルフの面白さではありますが、岩井明愛選手のフェースを開閉しながら打つオーソドックスなスウィングは多くのゴルファーの参考になるはずです。ただしフェースがターンするタイミングによって弾道を打ち分けることもできるスウィングですが、フェースターンのタイミング次第になるスウィングともいえるので、自分なりの感覚や調整法を持つことも重要になるでしょう。

3日間であっても4日間競技であっても、最終日に向けてショットもパットも調子を上げて行ける選手が最終的には上位に残ります。その調整力と優勝争いの中で自分のパフォーマンスを発揮できる強さを持つ岩井明愛は今週「全米女子プロゴルフ選手権」に妹・千怜選手とともに出場します。海外メジャーでの活躍に注目していきましょう。

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