見た目からも溢れる球の上げやすさ!
ここからは実測データをもとに凄腕シングルでもある松尾氏にクラブ分析と試打レポートをしてもらいます。試打および計測ヘッドは7番、シャフトは「FT50i」でフレックスSです。掲載数値はすべて実測値となります。
クラブ全体が軽量化されているおかげで、クラブ長さが長い設定でも気にならない
クラブ長さは37.38インチと通常の6番アイアンの様に長い設定です。しかしクラブ重さが352.6グラムと「非常に軽く」、スウィングウェイトがC7.0と「非常に小さい値」からクラブの振りやすさの目安となるクラブ慣性モーメントが254万g・㎠と「非常に小さく」なっています。計測数値のみから推察するとドライバーのヘッドスピードが35m/sくらいのゴルファーにとって、タイミング良く振りやすくなっています。
ヘッド形状は全体的にオーソドックスで、一般的なプロモデルのヘッドと比べると、ひと回り大きい顔です。しかしアドレスではボテっとしていない「精悍な顔つき」が新しい『PC-3』の特徴です。

左が前作、右が今作だ。今作のほうが全体的にシャープな顔つきに仕上がっている
実際に試打したところ、最近のアイアンの中ではフェース面が大きく、高さもあることからアドレスでは数値以上にロフトがついて見えるので、球が上がりやすそうなやさしさが出ています。
試打シャフトがカーボン素材特有の軟らかめの設定でヘッドスピードが35~37m/sくらいのゴルファーでも十分扱えそうです。
クラブが全体的にとても軽く、グリップの太さが細めの設定からパワーに自信がないゴルファーでも気持ちよく振りやすくなっています。
フェース面の素材に超高強度の新素材を採用(#5~#7)していることから打感はかなり硬く、球の弾きがよかったです。その割にはポケットキャビティ内の振動吸収材でインパクト音は低く抑えられています。
ソールのバウンス角が1.8度と小さい設定から考えると、ターフをほとんど取らない横から“サッと払う“スウィングのゴルファーに向いています。
フェースが長い設計からヘッドのネック軸回りの慣性モーメントが大きくなっており、ダウンスウィングでヘッドの返りが遅くなっていますが、62.8度と超アップライトなライ角で適度に球がつかまるように調整されています。
クラブ長さが長い設定ではあるものの、軽量設計で振り切りやすくなっている点から、他のロフト角が30度設定の通常のアイアンよりも、高い弾道が打ちやすかったです。
他のヘッドスピードが遅めのシニアゴルファーに打ってもらいましたが、総じて「とても振りやすく感じた」と言う人が多かったです。特に普段からカーボンシャフトのアイアンを使っているゴルファーがタイミング良く振れていました。
※週刊ゴルフダイジェスト2024年7月9日号「ヘッドデータは嘘つかない!」より