ツアー解説でおなじみの佐藤信人プロ。今回はPGAの下部ツアーで2連勝したハリー・ヒッグスについて語ってもらった。
画像: 「ハリー・ヒッグスはフェードヒッターの飛ばし屋。個性派、ジョエル・ダーメンとも仲が良い。ツアーでも人気者の2人のようなキャラクターはとても必要ですよね」と佐藤プロ(PHOTO/Getty Images)

「ハリー・ヒッグスはフェードヒッターの飛ばし屋。個性派、ジョエル・ダーメンとも仲が良い。ツアーでも人気者の2人のようなキャラクターはとても必要ですよね」と佐藤プロ(PHOTO/Getty Images)

5月にコーンフェリーツアーで2連勝したハリー・ヒッグス。

PGAツアーのホームページのプロフィールには、「道で誰とでも気さくに話すので、待ち合わせ時間に大体遅れる」と紹介されています。

胸のボタンを1つも留めず、いつも開襟シャツスタイル。スポーツバーでビールを大量に飲んでは大騒ぎしそうなキャラクターですね。

今回、彼を紹介しようと思ったのは、後述する記憶に残る優勝インタビューを残したからです。ニュージャージー州生まれ、カンザス州育ちの32歳。サザンメソジスト大学出身でブライソン・デシャンボーの先輩に当たります。19年にコーンフェリーツアーで初優勝すると、ランク5位で念願のPGAに昇格。

その後、昨年までPGAで戦いますが、今年はシード落ちでコーンフェリーを主戦場としています。今年の1勝目は全米プロの裏の地元カンザス州のアドベントヘルス選手権。3連続予選落ちで迎えた試合でした。

残り80ヤードのラフから思い切り打ったボールがイメージより15ヤード手前に落ち、オーバースピンで転がって入り、プレーオフに持ち込んでの逆転優勝ということで話題を集めました。

優勝インタビューでは、「勝つのは本当に難しくて、でもこんな勝ち方もあるんだからゴルフってクレージーなゲームだぜ」と話します。実はその2週間前に結婚、「あと2〜3週間頑張って気持ちよくハネムーンに行きたい」と、ヒッグスらしいコメントを残しました。 

ボクが感動したのはこれではなく、2連勝となった翌週のヴィジットノックスビルでの優勝インタビューでした。同週のPGAはコロニアルでのチャールズ・シュワブチャレンジ。今年1月、ソニーオープンで7年ぶりの復活優勝を果たしたグレイソン・マレーが、2日目を終えて棄権、その後、ホテルで自殺を図りました。 

本来であればコーンフェリー2連続優勝で大騒ぎするところだったでしょうが、ヒッグスはこんな優勝のコメントをしたのです。

「優勝して皆さんから祝福されて……ゴルフの結果がいいことは嬉しいですが、大した意味はありません。昨夜ベッドの中でこんなことを考えていました。自分でももちろんやろうと思いますが、皆さん、自分の好きな人に毎日何か良い言葉を掛けましょう。そして誰か知らない人にも良い言葉を掛けてみましょう。この世界はだんだん難しくなってきています。その掛けるひと声で誰か救われる人がいるかもしれません」

また、こうも話しました。

「すべてのショットで次の4つを意識して、守っている。①どういうショットを打つのか②それに見合ったリハーサル③ポジティブに迷わず実行④どんな結果であっても受け入れる」と。とかく悩みだすと技術的な面に目を向けがちですが、「当たり前のことを当たり前にやる」。

ゴルファーみんなに大切なことですよね。当たり前のことを当たり前に言えるヒッグスだから、また強くなるに違いない。

来シーズン、PGAに戻るのはほぼ確定。全米オープン予選会も突破し自身初出場しました。今後に大注目です。

※週刊ゴルフダイジェスト2024年7月2日号「さとうの目」より

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