「アイアンでもっとスピンを!」、ツアー選手の声から生まれた『Z-STAR♦』
近年、クラブもボールもスピンを減らすことを求めて開発が進められてきたが、これは取りも直さず飛距離アップのため。ドライバーなどはそれで大きな恩恵を受けるプレーヤーは多いが、アイアンとなると逆にスピンが不十分になるケースも出てくる。そういった声を反映して作られたのが『Z-STAR♦』。現行の2代目『Z-STAR♦』は、ブルックス・ケプカをはじめ、桂川有人、蟬川泰果ら、グローバルで活躍する選手たちが使用しているが、よりシビアなコースセッティングで武器になることを証明している。
『Z-STAR♦』はストロングロフトのアイアンでもしっかりスピンが入る
「『Z-STAR♦』は本当によくできたボールだと思います」と言うのは、今回試打を担当した関浩太郎コーチ。
「スリクソンのツアーボールは、3タイプあるために選ぶのが難しいという声もありますが、私の感覚では『Z-STAR♦』が幅広いゴルファーをカバーし、それよりもより飛距離を出したければ『Z-STAR XV』、逆にコントロール性能やソフトフィールを重視する人は『Z-STAR』、という選び方でと思います。ボールに限らずですが、ギアって何か特化した性能を持たせることは(メーカー的に)やりやすいと思うんです。とにかく飛ばす、スライスを防ぐ、高く上げる……など。でもここに相反する性能も持たせるとなると難しくなる。でも『Z-STAR♦』は、ロングショットで飛距離も出るけど、アイアンのスピンも入る、というある意味相反する性能を兼ね備えている。私が非常によくできたボールと感じるのはこの点です」(関コーチ)
すでに、3つのボールの性能差を知っている関コーチだが、改めて試打をしてもらい、打球データの面からもその違いを見ていくことにしよう。
アイアンでの高いスピン性能を謳う『Z-STAR♦』、その性能を見るためにアイアンでテスト。使用クラブは『スリクソン ZX4 MkⅡ』の7番。ロフトは28.5度とストロング系のモデルだ。
試打結果を見ていただこう。3タイプとも十二分な飛距離だが、注目はスピン量。メーカーの謳い文句通り、『Z-STAR♦』はアイアンでのスピン量が多いことが分かった。
(※データはナイスショット3球の平均、SKY TRAK使用)
【Z-STAR♦】
●ヘッドスピード・・・40.5m/s
●ボール初速・・・51.9m/s
●打ち出し角・・・19.0度
●スピン量・・・5304rpm
●キャリー・・・170.3Y
●総飛距離・・・181.6Y
【Z-STAR XV】
●ヘッドスピード・・・40.5m/s
●ボール初速・・・52.7m/s
●打ち出し角・・・18.3度
●スピン量・・・4985rpm
●キャリー・・・176.7Y
●総飛距離・・・188.2Y
【Z-STAR】
●ヘッドスピード・・・40.4m/s
●ボール初速・・・51.3m/s
●打ち出し角・・・17.4度
●スピン量・・・4747rpm
●キャリー・・・169.0Y
●総飛距離・・・181.2Y
「『Z-STAR♦』は、ボール表面の軟らかさを感じます。コアも気持ちよくつぶれてフェースに乗るんですが、そのあとの反発力が高くて飛距離も出る。そして何より、設計意図通り、スピンがしっかり入りますね。ストロング系アイアンでも十分なスピンが入るので、硬く速いグリーンも攻めていけます。でも意外だったのが、その反面サイドスピンは入りにくく曲がりが少ないこと。通常バックスピンとサイドスピンは比例関係になりやすいんですが、『Z-STAR♦』は非常に直進性が高い。真っすぐ飛ぶので、結果的に飛距離の誤差も少ない。高いスピン性能と相まって、確実に ターゲットに止められる、そんなボールですね」
「『Z-STAR XV』は、『Z-STAR♦』と比べると、弾く感じが強いですね。インパクト後の爆発感というか、明らかに初速が速いです。いかにも飛んでいる感じがして気分が高揚します。こういう感覚って、特にアマチュアゴルファーにとってはゴルフを楽しむ要素として大事だと思います。新たな発見としては、ボールの“つかまり感”が強いこと。スピン量がやや少ないので右にふけるような球が出づらくドローになりやすい。スライスで飛距離をロスしている人にも合いますね」
「『Z-STAR』は、フェースに乗る時間が一番長いので、狙った方向にボールを確実に打ち出していける安心感が強いです。この性能は重要で、例えばフェードを狙った時に確実に左に打ち出せれば、仮にそこから右に曲がらなかったとしてもそこまで大きなミスにはなりませんが、打ち出しが思い通りいかないとミスが大きくなるからです。そして打ち出し角も低いですね。上級者は、コースでは3割ぐらいは高さを抑えたショットを打つので、それがしやすいのも特長です。ちょっとしたスウィングの違いが如実に反映されるボールですね」
アイアンの試打を通じ、関コーチは改めてスピンの大切さを実感したようだ。
「今は弾道計測器でショットの内容が明らかになりますが、プロたちは入射角を変化させることで、アイアンのスピン量を調整します。グリーン面が硬い状況ならしっかりスピンをかけ、グリーン面の受けが強い、またはソフトな状況なら、スピンを抑えて戻りすぎを防ぐなど。そういう面では、アイアンでしっかりスピンが入ることが前提条件として備わっていることが大事。『Z-STAR♦』の人気が高まっているのはこういったニーズがあるからでしょう。アマチュアはそこまで打ち分けられないよ、と言うかもしれませんが、誰もが“最高の一打”を放つ時はありますよね。その時にしっかりスピンが入って、ピンそばにビタッと止まるかどうか。ツアーレベルのスピン性能を有しているからこそ、最高の一打が最高の結果をもたらすのです」
【参考】ドライバーでもテスト。『Z-STAR XV』だけがズバ抜けて飛ぶ、というわけではない!?
気になるドライバーでの性能も見てみよう。『Z-STAR XV』の飛距離性能が頭一つ抜けるのではと予測したが、飛距離的にはどのボールも高い性能を発揮した。
【Z-STAR♦】
●ヘッドスピード・・・43.7m/s
●ボール初速・・・63.3m/s
●打ち出し角・・・15.0度
●スピン量・・・2551rpm
●キャリー・・・252.9Y
●総飛距離・・・272.5Y
【Z-STAR XV】
●ヘッドスピード・・・43.5m/s
●ボール初速・・・63.5m/s
●打ち出し角・・・17.0度
●スピン量・・・2196rpm
●キャリー・・・253.2Y
●総飛距離・・・274.5Y
【Z-STAR】
●ヘッドスピード・・・43.4m/s
●ボール初速・・・62.9m/s
●打ち出し角・・・14.0度
●スピン量・・・2738rpm
●キャリー・・・254.6Y
●総飛距離・・・272.1Y
「正直、ここまでドライバーの飛距離が僅差になるとは思いませんでした。スウィングの条件にもよりますが、私の43m/sぐらいのヘッドスピードだと、『Z-STAR』の2700~2800回転ぐらいのスピン量が飛距離的にマッチする感じがあります。ただ、ドライバーに関しては、どれも飛ぶ。しっかりした打感が好きなら『Z-STAR XV』、ドライバーでも食いつき感が欲しければ『Z-STAR』、その中間なら『Z-STAR ♦』というふうに分けられます」
最後に関コーチから、ボール選びのアドバイス。
「私はパター3年、ウェッジ2年、ボール1年、とよく言うんです。その期間、同じモデルを使い続けないと本当の“距離感”は身につかない、ということです。バッグの中に、何種類ものボールが入っている人は多いと思いますが、それは今すぐやめたほうがいい。気に入ったボールが見つかるまでは、もちろんいろいろ試すべきですが、コレと決めたら1年は使い続けてほしい。買う時も1ダースとかではなく、一度に4、5ダース買ってしまう。そうすれば浮気心も抑えられますから」
100打つ人なら100回、80で回る人なら80回、マイショット使うのがボール。その選びを疎かにしてはいけない。そしてボールに何を求めるかをしっかり考えることが大切だろう。
アイアンのストロングロフト化が進む中では、不足しがちなキャリーやスピンをボールで補う、という発想はアリだ。その点で『Z-STAR♦』という選択は、最新のゴルフ事情に非常にマッチしているように思う。気になる人は、一度手に取ってその性能を味わってほしい。
PHOTO/Takanori Miki THANKS/SEKI GOLF CLUB MEGURO
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