幡地隆寛
はたじ・たかひろ。1993年生まれ。広島県出身。東北福祉大学4年時の2015年にプロ宣言。188センチ、98キロの体格を生かした豪打が魅力。今年3月、豪亜共催のニュージーランドオープンでプロ初優勝、5月の関西オープンでも優勝。ディライトワークス所属。
週刊GD編集部が注目したポイント
ニュージーランドオープンで逆転優勝した経験が大きかったという幡地は、関西オープンでも、初日17位タイから徐々に順位を上げ、最終日も1打差2位タイから落ち着いたプレーで逆転。2位に3打差をつけて日本ツアー初優勝を遂げた。
2020-21年 | 2024年(7月10日現在) | ||
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ドライビングディスタンス | 313.04Y(1位) | → | 306.64Y(3位) |
パーオン率 | 63.070%(72位) | → | 70.040%(22位) |
平均パット(パーオン時) | 1.8062(83位) | → | 1.7771(40位) |
バーディ率 | 3.490(51位) | → | 4.321(6位) |
平均ストローク | 72.030(69位) | → | 70.809(18位) |
シード権を獲得した2020-21年シーズンと今年を比較すると、ショットとパットのレベルを上げることによって、飛距離のアドバンテージをバーディに結び付けて、スコアアップしていることがわかる。このスタッツと本人の証言から、今年は「8つの変身」があったという。
【ドライバー編】ブルックス・ケプカのスウィングに触発
効率的な飛ばしに目覚める。「地面反力」と「捻転」をプラス
GD スウィングが以前とは変わったと思うんですが、自分でもそう感じていますか?
幡地 コロナ禍で試合がなかったときにギアーズでスウィング計測したんですが、地面反力をまったく使っていないし、体の捻転もしていないことがわかったんです。
GD 腕を振るスピードだけで、あれだけ飛ばしていた?
幡地 もっと安定して効率よく飛ばすために、地面反力の使い方を覚えました。左足の蹴りから始めて、次に右足の蹴り方をマスターしました。
【変身①】 地面反力を使うようになった
「以前は、体をその場で回転させて腕をフルスピードで振る感覚でしたが、切り返しから地面を蹴る動きを取り入れました。最初は左足の蹴りから始めて、いまは両足とも蹴っています。地面反力を使えるようになって、腕力に頼らない安定した飛びになりました」(幡地・以下同)
GD 切り返した瞬間、両足を蹴るスウィングに変わったのはそのためだったんですね。
幡地 それと、去年、ケプカと同じ組になったとき、あれだけ大きな体なのに、両足を強く蹴り込んで、手先を使わずに胸や肩の大きな筋肉で振っているのを見て衝撃を受けました。それで、このオフはケプカのイメージでスウィングを作ってきたんですよ。
GD 地面反力を使うようになって、捻転も深くなって、それがトータルドライビング(※)が5位になった秘密でもあるんですね。
※トータルドライビングとは、ドライビングディスタンスとフェアウェイキープ率をポイント換算して合計した順位。24年日本プロ前のスタッツ
【変身②】 置きにいくフェードを覚えた
「逆球の引っかけが出ない、置きにいくフェードを覚えました。アドレスで、左つま先を少し開いて、左ひじを外側に向けるように少しだけ内旋(右回し)させます。これでフェースの返りが小さくなるので、ミスしても右だけというフェードになるんです」
【アイアン編】右わき締めて右ひじ下向き
右手が出しゃばる悪いクセを修正中
GD 幡地プロはパーオン率も大きく向上していますね。アイアンショットで、自分で進化したなと感じているところはどこですか?
幡地 僕はプレッシャーがかかると利き腕の右手が出てくるクセがあるんです。
GD フェースがかぶる?
幡地 本能的にフェースの向きをスクエアに戻すんですが、ロフトが寝て距離も方向もバラついていました。
【変身③】 右ひじを下に向けてインパクトする
「アイアンで重要なのは、インパクト時のフェース向きとロフトです。ここが安定しなければ、狙ったポイントには打てません。カギを握るのは右腕の使い方です。右わきを締めて、右ひじが少し曲がって下を向いていることが必要。体と右腕が一体化する感覚で動かせれば、ショット精度は格段に上がります」
GD なるほど。
幡地 この春、中島啓太選手が右わきに短いスティックを挟んでいるのを見て、自分でも試してみたんですよ。そうしたら、右手が前に出るクセを封じ込めてくれたんです。
GD 確かに、右わきが締まっていれば、右ひじを外に向けては打てませんね。
幡地 このインパクトが手に入ってから、アイアンの精度が上がりました。いまでは、この練習はスタート前とラウンド後の必須メニューですよ。
【変身④】 ライン出しショットの精度を上げた
正確なアイアンを打つためには、距離を余らせてピンを狙うことが鉄則。たとえば8番アイアンのフルショットでキャリー170ヤードの幡地は、マイナス10ヤード、マイナス20ヤードの距離感を徹底的に磨いたという。距離を抑えていくにつれて構えが小さく、振り幅も小さくなっていく。
PHOTO/Yasuo Masuda、Hiroyuki Okazawa
THANKS/横浜CC、関西オープンゴルフ選手権競技2024
※2024年7月23日号 週刊ゴルフダイジェスト「幡地隆寛優勝の原動力」より一部抜粋
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みんなのゴルフダイジェストでは、幡地の「8つの変身」のうち、4つまで紹介してきました。残りの4つはアプローチ、パッティングについて。続きは2024年7月23日号の「週刊ゴルフダイジェスト」か、下記のMyゴルフダイジェストにてチェックをお願いします!