「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけてきたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回は人気が再燃しつつある長尺パターのメリットについて教えてもらった。
画像: 22歳のA・バティア(左)、27歳のW・ザラトリスも長尺パターを使う(Photo/Blue Sky Photos)

22歳のA・バティア(左)、27歳のW・ザラトリスも長尺パターを使う(Photo/Blue Sky Photos)

支点を作りやすく、ヘッドが前に出る

み:シニアツアーで相変わらず使用率の高い長尺パターですが、最近はウィル・ザラトリスやアクシャイ・バティアなどUSPGAツアーの若手選手にも使われています。

宮城:深く前傾しなくてもいい長尺パターは、腰を傷めているシニア選手にはうってつけです。PGAツアーでもパッティングに悩んでいる選手が多いのかもしれません。

み:そもそも長尺パターにはどんなアドバンテージがありますか?

宮城:ひとつめは支点を作りやすいことです。ふつうのパターはストローク中にグリップが両脇の幅で動きますが、長尺は動きません。アンカリングは禁止されましたが、空中で支点を作ることはできます。

み:支点があるとどんなメリットが?

宮城:振り子と同じように右に動いたヘッドが同じ軌道で左に動こうとするのでヘッドが前に出ます。さらに、シャフトが太くて長くて重い上に、バランスを出すためにヘッドもとんでもなく重く作られているので、インパクトの効率が高く、ボールの転がりがよくなります。しっかり打てなくなった人にはとても楽です。ただし、マスターズや全米オープンなど極端に速いグリーンだとボールが転がりすぎてしまいます。

み:ヘッドがオートマチックに前に出てくれるわけですね。

宮城:大きなメリットがもうひとつあります。それはボールの近くに立てることです。通常の長さのパターだと、ストレートをイメージしても、どうしてもイントゥインの軌道になりますが、長尺ならクラブをアップライトに使えるのでヘッドを真っすぐに動かしやすくなります。ラインに対してストレートにヘッドを出せるので、あとは右手で距離感を出すコツさえつかめばとてつもない武器になります。

み:長尺パターを試してみたいのですが、最近は長尺パター自体少なくなっていて、この前発売されたオデッセイの「2ボールTENブルームスティック」もあっという間に売り切れてしまいました。

宮城:シャフトメーカーが長尺用のシャフトを作らなくなり、供給がストップしていることもあり、中古市場でも奪い合いになっています。いまの若い人たちは40〜50代の人ほど長尺に対する抵抗がないので、どこかのメーカーが作れば市場が膨らむ可能性はあると思います。過去に長尺をヒットさせたオデッセイなんかがどんどん作ると面白いのですが。

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