「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけてきたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回は「全英スペシャル」としてプロにもてはやされる中空アイアンのメリットついて教えてもらった。
画像: 昨年の一時期、ミズノの「MP20HMB」を入れていたシャウフェレ。今年の全英は「MizunoPro225 」の3Iを使用(Photo/Tadashi Anezaki)

昨年の一時期、ミズノの「MP20HMB」を入れていたシャウフェレ。今年の全英は「MizunoPro225 」の3Iを使用(Photo/Tadashi Anezaki)

中空アイアンは「全英オープン」スペシャル!?

み:今年の「全英オープン」勝者のザンダー・シャウフェレはミズノの中空ヘッドのアイアン「Mizuno Pro225」の3番をバッグに入れていました。思い返すと2002年大会でもアーニー・エルスがフォーティーンの「HI-858」を使って勝っています。宮城さんは当時ツアー担当としてエルスにアプローチした張本人ですよね。

宮城:あのときはゴルフダイジェスト誌の企画絡みで渡したと記憶しています。「HI‐858」はアマチュア向けに作られたモデルでブレードがやたら長かったけれど、アーニーはフェースをシャットに使うタイプなのでうまくはまりました。確か使い始めて2試合目くらいで勝っているはずです。

み:弊社の企画がメジャー優勝に貢献できて光栄です。あれ以来、「全英オープン」スペシャルとして中空アイアンを使うプロが増えた印象です。石川遼もヨネックス時代に宮城さんの設計した「ゼロアイアン」を持ち込みました。なぜ「全英」では中空のロングアイアンがもてはやされるのでしょうか。

宮城:中空アイアンは構造上、高重心になるのでスピンがかかります。「ゼロアイアン」もある程度スピンが入るように設計しました。「全英」で絶対に避けなければいけないのはポットバンカーです。低スピンでぶっ飛んでランが出るクラブだと転がってバンカーにつかまってしまいます。

み:シャウフェレも「全米プロ」で使った「APEX UW」を「Mizuno Pro225」に入れ替えました。

宮城:球を浮かせないことも重要です。日本のコースだと、よく風の下を通すとかいいますが、全英に行くと風の下という概念がなく、低いところでも重くて強い風が吹きます。ボールを低く出して、目線の高さのまま飛ばす必要があります。ウッドやハイブリッドで球を浮かせすぎるとどこに飛んでいくかわかりませんが、ロングアイアンを1本入れておけばお守りになります。

み:ちょっと試してみたい気もしますが、アマチュアには難しいですか?

宮城:ハイブリッドよりも曲がらないのでティーショットのレイアップなんかでは武器になります。球が上がらないので林の中からも完璧に出せます。ただしきれいな球を打とうとしてはいけません。クラブが下から入るとミスになるので、低めのライナーでいいと割り切ってください。ロフトは20度を切るとヘッドスピードがないと球はまったく上がらないし、プロでもてこずるほどです。アイアンが好きであれば、4番くらいなら試してみる価値はあると思います。シャフトはカーボンで先の走るタイプがおすすめです。

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