首位に並んだのは世界ランク15位以内のエリートゴルファー。4位に元世界ナンバー1のジョン・
ラームがつけており実力者が順当に大会を引っ張っている。
しかし日本、アメリカ、イングランド(オリンピックではイギリス)、スペインはゴルフ人気が高い、いわばゴルフ先進国。この中からゴールドメダリストが誕生してもグローバルな観点ではインパクトが低い。
国際ゴルフ連盟の事務局長アントリー・スキャンロン氏は大会前こんなことを語っている。「我々にとって五輪での成功は男女で6つの異なる国からメダリストを輩出することです。それがゴルフというゲームの多様性を示すからです」
つまり今週の男子競技では3つのメダルのうち少なくとも1つをより小さなゴルフ発展途上国の選手が獲得することを主催者は期待しているのだ。
ゴルフ大国にとって五輪のメダルがゴルフへの関心度を高める道具にはならない。しかしゴルフ後進国にとっては大きな起爆剤になる。

パリ五輪2日目のホアキン・ニーマン(チリ代表)。現在はLIVゴルフで活躍中。今年のマスターズと全米プロには特別招待で出場した(PHOTO/Getty Images)
10位タイにつけるチリのホアキン・ニーマンはいう。
「チリではゴルフのトーナメントで優勝するよりも金メダルのほうに意味がある。PGAツアーやLIVゴルフのことを国民の98パーセントは知らないしフォローもしていない。でもおそらく100パーセントの人が、オリンピックが何であるかを知っている」

地元の大声援に応えるマチュー・パボン(フランス代表)。24年のファーマーズインシュランスでフランス人として初のPGAツアー優勝を遂げた(PHOTO/Getty Images)
同じ理由で地元のマシュー・パボンは「フランスではメジャーより五輪でメダルを獲ることのほうが国民の注目を集めるのです」といっている。

主要ツアーでの優勝はないが堅実なプレーで上位フィニッシュが多いデンマーク代表のトーマス・デトリー(PHOTO/Getty Images)
フランスのお隣ベルギー代表のトーマス・デトリーは2日目のベストスコア63をマークし5位タイに浮上すると「ベルギーのゴルフ人口は多くありません。だからメダルを持ち帰れたらゴルフの発展に貢献することができます。そのためにここに来たのです」と語っている。
五輪の意義は国によって違う。すでにゴルフ人気が高い日本だが、だからこそ日の丸を背負った選手のメダルを期待している。日本人であるアイデンティティを誇りに改めて日本選手にエールを贈りたい。