こんにちは。SPORTSBOX AI・3Dスタッフコーチの北野達郎です。今回はパリオリンピックで、見事金メダルに輝いたリディア・コーのスウィングをスポーツボックスAIで分析してみましょう。
なお、リディア・コーのスウィングデータは下記の2点が特徴的でした。
①トップで胸と骨盤の回転量が多い
②ダウンスウィングで胸が開かず、右に残っている
それでは早速見てみましょう!
右足つま先を開くとトップの回転量は増える
まずアドレスでの右足つま先の向きに注目すると、つま先をハの字に開いています。右足つま先を開くと、バックスウィングで体は深く回りやすくなります。スポーツボックスのデータ項目「CHEST TURN」は胸の左右の回転、「PELVIS TURN」は骨盤の左右の回転をそれぞれ表しますが、コーはトップで胸がマイナス110度(右)、骨盤はマイナス54度(右)と、いずれも非常に深く回転しています。
スポーツボックスAIが独自に統計を取ったLPGAツアーレンジ(範囲)では、トップで胸の回転がマイナス88.8度〜マイナス100.4度(右)、骨盤がマイナス39.1度〜マイナス48.9度(右)ですので、コーのトップはLPGAツアーレンジと比較すると非常に回転が深いです。トップが深くなるとダウンスウィングはインサイドからクラブを下ろしやすくなります。普段バックスウィングで体の回転が浅く、クラブがアウトサイドから下りてしまうゴルファーは、コーのように右足つま先をハの字に開いてアドレスをしてみるのをお勧めします。
胸が開かないダウンスウィングは「胸と骨盤の左右差」がカギ
トップの深い体の回転に関連するもう1つの特徴は、ダウンスウィングで胸を開かない点です。P6(ダウンスウィングでクラブが地面と平行)のポジションで、胸の回転はマイナス6度(右)を向いています。LPGAツアーレンジのマイナス3.2度(右)〜プラス7.6度(左)と比べると、コーはダウンスウィングで胸を開かずにクラブを下ろすタイプとわかります。
それでは、コーのように胸が早く開かずにクラブを下ろすポイントは何か? それは「胸と骨盤の左右差」です。「SWAY GAP」は、胸と骨盤の左右差(マイナスは胸が骨盤より右、プラスは胸が骨盤より左)を表しますが、写真左のアマチュアの例と写真右のコーの3Dアバターを比較すると、コーは胸が骨盤より右に残っているのに対して、アマチュアは胸のほうが骨盤より左に突っ込んでいるのが分かります。こうなると胸が早く開いてしまいますので、クラブがアウトサイドから下りやすくなります。この胸と骨盤の左右差を作るには、あらかじめアドレスから左右差を作っておくと効果的です。
今回ご紹介しましたコーの2つの特徴「右足つま先を開く」、「胸と骨盤の左右差がある」の2点は、いずれもアドレスの段階から修正が可能です。多くのアマチュアゴルファーは、スウィングの修正に取り組む際に、スウィングの動きの部分から修正しがちですが、アドレスから修正すると案外スムーズに動きも変化します。今回のコーのスウィングを参考にして、アウトサイドイン軌道の修正に取り組みたい方は、まずはアドレスのポジション取りから是非、参考にしてみて下さい。
今回は、リディア・コーのスウィングを分析させて頂きました。この金メダルで、オリンピックスラム(リオ銀、東京銅、パリ金)とともに、殿堂入りの資格も手にしたリディア・コー。来週、セントアンドリュースで行われるAIG全英女子オープンでどんなプレーを見せてくれるのか? 今シーズン最後のメジャーに注目です!