こんにちは。SPORTSBOX AI・3Dスタッフコーチの北野 達郎です。今回は全米シニアオープンで、優勝したリチャード・ブランドに次ぐ2位に入った藤田 寛之選手のドライバーショットをスポーツボックスAIで分析しました。
藤田選手のスウィングを分析すると、
1.手首とクラブの角度を早めに作るアーリーコック
2.左ひじの角度が安定している
この2点が特徴的でした。今回は、この2点を中心にヤング〜シニアの方まで参考にして頂きたい藤田選手のポイントをご紹介していきます。それでは早速スウィングを見てみましょう。
手首とクラブの角度を早めに作るアーリーコックと、左右対称のスウィング
まず、藤田選手の最初の特徴である手首のアーリーコックに注目しましょう。スポーツボックスAIのデータ項目「LEAD WRIST ANGLE」は、左手首の縦コックの角度を表しますが、藤田選手はP3(テークバックで腕が地面と平行の位置)で101°と早めに手首をコックするタイプと分かります。この早めに手首をコックする動きは「アーリーコック」と呼ばれ、例えばロブショットやバンカーショットなど、コンパクトなスウィングでクラブをたくさん動かすショットでよく用いられます。
このアーリーコックの傾向はフォロースルー(P9・フォローで腕が地面と平行の位置)も同じで、角度は105°とP3とほぼ変わりません。レッスンでは「スウィング作りの基本の1つ」として、ハーフスウィングのトップとフィニッシュで、腕とクラブが90°の「L字」になるようにすると良いと言われます。これは少ない体のエネルギーでクラブをたくさん動かす事で、効率良くクラブスピードを出せる事や、手首を早い段階でコックしたまま振る事で、スウィング軌道が安定しますので、方向性が高まる事が挙げられます。まるでハーフスウィングの延長のような手首の角度の安定感は、藤田選手の曲がらないショットの秘訣の1つです。
トップ〜フォローまで左肘の角度が変わらない
続いて左ひじの角度に注目してみましょう。データ項目「LEAD ELBOW FLEXION」は、左ひじの屈曲角度を表しますが、トップが165°フォロースルー(P8・クラブが地面と平行)で161°と、手首の角度と同じく左ひじも適度に伸びて安定しています。
藤田選手のスウィングからアマチュアの方に参考にしていただきたい点は、「左ひじは伸びて、手首か曲がる」点です。初心者の方に多いエラーはこの真逆で、「左ひじが曲がって手首があまり曲がっていない」傾向の方が多いです。画像③のアバターをご覧いただくと分かりますが、左ひじの屈曲角度の割にはクラブがあまり動いておらず、藤田選手と比べる手首をあまり使えていないのが分かります。
手首の使い方を覚えるには、アイアンをティーアップしてハーフスウィングの練習が効果的
それでは、藤田選手のように小さな動きでクラブを効率良く動かすスウィングを覚えるのにお勧めの練習をご紹介します。それは「アイアンをティーアップしてハーフスウィングでボールを打つ練習」です。この練習のポイントは、「ティーアップを高くして、アドレスでも手首を立ててボールと同じ高さにヘッドを浮かせておく事」です。アイアンで高いティーアップからクリーンにボールを打つには、手首の角度が安定しないと上手く打てません。手首の角度がほどけると、ヘッドがボールの下をくぐってティーを打ち、テンプラのミスになります。
最初はP3〜P9のハーフスウィングから始めるのがお勧めです。その方がインパクトの精度も高まりますし、小さな動きでクラブが効率良く動くスウィングを覚えられるでしょう。また、この練習方法は藤田選手自身のYoutubeでも紹介されていますので、是非ご覧になってみて下さい。
今回は、藤田 寛之選手のドライバースウィングを分析させて頂きました。最後はリチャード・ブランドとのプレーオフの末に敗れはしたものの、今大会の藤田選手は紛れもなく「主役」でした。並み居る海外の強豪をリードし、メジャータイトルにあと一歩まで迫った藤田選手に心から拍手を送りたいと思います!