こんにちは。SPORTSBOX AI 3Dスタッフコーチの北野達郎です。PGAツアーのレギュラーシーズンは、スコッティ・シェフラーが初の年間王者に輝きました。そこで今回はPGAツアープロに学ぶ「右手のグリップとスウィングの関連性」についてです。この理論は、世界ゴルフティーチャーズの殿堂入りをしているアメリカ人のコーチ、マイク・アダムスと、イギリス人のコーチ、テリー・ロールズの「バイオスウィングダイナミクス」がベースとなりますが、従来よりもデータを用いた診断が可能になり、より特徴の違いが明確になりました。それでは早速解説させて頂きます。
PGAツアープロも右手のグリップは三者三様
まず、「バイオスウィングダイナミクス」とは、ゴルファーの身体的特徴をさまざまな計測をもとにタイプ別に分類して、それぞれのタイプに合うスウィングを提唱する理論です。今回のテーマである「右手のグリップ」では、まずクラブを上からカバーするように握るウィークグリップを「オントップ」、次にクラブを横から握手するように握るスクエアグリップを「サイドオン」、そしてクラブを下から包み込むように握るストロンググリップを「アンダー」と言います。
他にもウィークとスクエアの中間のグリップを「サイドカバー」、スクエアとストロングの中間のグリップを「サイドアンダー」と言いますが、今回は「オントップ」、「サイドオン」、「アンダー」の3タイプについて解説します。
右手グリップのタイプで、バックスウィングの手とクラブの位置関係が変わる
続いて右手グリップのタイプ別に異なるバックスウィングの特徴をお伝えします。まずウィークグリップの「オントップ」は、P2(テークバックでシャフトが地面と平行のポジション)で右ひじが背中側に動くのが特徴で、バックスウィングで手よりもクラブヘッドはややアウトサイドに上がります。
これに対してストロンググリップのアンダーは、右ひじが胸の正面から外れずに腕を右に回転させながらテークバックするので、P2で手よりもヘッドはインサイドに上がります。そしてスクエアグリップのサイドオンはその中間で、P2で手とクラブヘッドが重なるテークバックになります。この特徴が分かると、右手グリップのタイプごとに合うテークバックの動きやクラブ軌道を形成するのに役立ちますので、是非チェックしてみて下さい。
トップの胸と骨盤の左右差にも違いが現れる
そして、右手グリップごとの特徴は、正面から見たトップの動きにも違いが現れます。「SWAY GAP」は、胸と骨盤の左右差を表します。(マイナス(-)は胸が骨盤より右、プラス(+)は胸が骨盤より左)
まずオントップは、トップで胸と骨盤の左右差が最も小さく、胸と骨盤がその場で積み重なるように上がるのが特徴です。以前タイガー・ウッズも取り入れていた「スタックアンドチルト」がこのタイプです。
続いてアンダーは、3タイプの中で最も頭と胸が右に動くので、胸と骨盤の左右差は最も大きくなります。そしてサイドオンがその中間となります。また、この違いはダウンスウィングのクラブ軌道にも特徴が現れます。まずオントップは胸と骨盤の左右差が小さいぶん、ダウンスウィングは最もスティープ(鋭角)な軌道で下りるのが特徴です。
続いてアンダーは胸と骨盤の左右差が大きいぶん、ダウンスウィングは最もシャロー(鈍角)な軌道で下りるのが特徴で、そしてサイドオンがその中間です。もちろん中にはブルックス・ケプカのようにアンダーでありながら、スティープなスウィングをする選手もいますが、まずは右手グリップのタイプが違うだけでも、スウィングや球筋への影響もかなりあることを参考にして頂ければ幸いです。
今回は、右手グリップとスウィングの関連性について解説させて頂きました。今シーズンのPGAツアーのレギュラーシーズンは終了しましたが、今月はプレジデンツカップ、10月にはフォールシリーズでZOZO CHAMPIONSHIPも日本で開催されます。引き続き世界のトッププロの熱い戦いに注目しましょう!