この日、6時30分のトップスタート予定だった福住修(専修大)。初日を終え、3アンダーで5位タイ。2日目もいいスコアで回ろうと、いつものルーティンで5時には会場入り。そして、軽く朝食を取り、練習場へ。そのときは小雨が舞っていたが、気にするほどではなかったという。最終調整のパッティンググリーンにいるときに、にわかに霧が出始める。そして、6時30分のスタート10分前にスタートホールである10番ティーイングエリアに着くと「濃霧の影響で30分スタートを遅らせる」との通達が。結果的に、30分刻みで10時まで計7回、その後、1時間刻みで計3回の10度のディレイ通達を受けることになる。
スタート時間がなかなか決まらず、調整が難しいなか、13時にスタートした福住は、4バーディ4ボギーのイーブンパーで耐え、無事に18ホールを完走。ラウンド後に話を聞くと、「トップスタートであたふた(スタート10分前にはティーイングエリアにいなければならず、打席練習やコンディションルームでストレッチしたくても、数分とはいえ移動が必要なので、それもできなかった状態)しましたが、トップスタートだから18ホール回れたと思います。今日は朝3時50分起きで、いまが18時過ぎ。今日のスタート時間が僕と比べて約1時間遅く、まだ数ホール残っている(中野)麟太朗たちは明日の早朝から残りをラウンド。それと比べれば、ホテルに帰って爆睡できるので、ちょっと安心しています。まだ全員が終わったわけではないですが、2日目終わった段階でトップと4打差の5位タイは悪くないです。ゆっくり寝て、コンディション整えて、明日以降に備えます!」と笑顔で応えてくれた。
福住の話に上がった、初日2位タイでスタートした中野麟太朗。トップスタートが7時30分以降と決まった7時過ぎ、50ヤード先もわからない濃霧のなか打席練習場でナショナルチームのガレスコーチとトラックマンを使用してショットの調整。同じ時間に打席練習場にいた海外の選手は、ボールを追えない濃霧に向かって調整していたところを見ると、これも国内開催のアドバンテージかもしれない。
スタート時間がズレこむ中、一緒にスタートを待っていた午前組の福住たちと談笑や、軽食をとって時間をつぶしていたが、霧が少しでも晴れると打席練習場やパッティンググリーンでひとり黙々と調整。サスペンデッド後の囲み取材で中野自身は「ショットの調子がイマイチで、13番のチップインバーディ、15番の難しいバーディパットを含め、今日の3アンダーはラッキーでした」と話すが、この時間を無駄にしない姿勢が功を奏したのかもしれない。
中野自身がラウンドを振り返ると、「生命線ともいえるアイアンの精度はイマイチでしたが、ティーショットやパッティングは初日に続き、悪くない」とのことだったが、今日のハイライトは先に挙げた「13番のチップイン」「15番の難しいバーディパット」でもなく、単独トップに立った3番ホールのバンカーからのセカンドショットではないか。
風が吹き始め、辺りも暗くなり始めた3番のティーイングエリア。中野は初日イーグルを獲ったホール。オナーは世界アマランク4位のウェニー・ディン。正確なショットと、キャディをする父がラインを読むパッティングが武器の彼が今日初めてドライバーで手を離し、ボールは左ラフへ。それを見た中野はいつも通りジョン・ラームに似ているトップからドライバーを振り抜くも、ディンよりも盛大に両手を離し、ドライバーが地面に叩きつけられる。ボールは300ヤード地点にある右バンカーへ。「残りはピンが奥だったので281ヤード。届かないと思ったんですが、少しでもグリーンに近づけたくて3Wで打ちました。案の定、グリーンには届きませんでしたが、260ヤードくらい行ってくれて良かったです」と話す1打はティーショットのミスを帳消しにするスーパーショット。その後、左ラフに入れたディンのセカンドショットは水を含んだラフに食われ思ったほど飛距離が出ず、3オンの2パットのパー。対する中野は約20ヤードのアプローチをしっかり寄せ、薄暗くグリーンのラインが読みづらいなかしっかりバーディを決めた。
その直後の4番(パー3)では「ティーショットが良くて、バーディチャンスには付けたんですが、暗くてグリーンが読めなかったんで」と悔やまれる2パットのパー。そして、5番ホールのティーイングエリア前でディンとディフェンディングチャンピオンのジャスパー・スタッブスと話し合い、競技終了を選択。時を同じく、サスペンデッドを知らせるホーンが鳴り響いた。
2日目のラウンドがサスペンデッドになった選手たちは本日、6時30分から再開予定。前述のように中野麟太朗は5番ティーショットからスタート。2日連続で朝早くのスタートになるが「今年立てた3つも目標のひとつ」という本大会の優勝を目指す。