
ABEMAツアーなどで実況、ラウンドリポーターを担当する萩原(撮影/大澤進二)
はぎわら・なのか。名門日本大学ゴルフ部に所属して腕を磨き、ベストスコアは75。学生時代から週刊ゴルフダイジェストなどに登場。大学卒業後はライムライト所属のフリーアナウンサーとして活動中。
ABEMAツアー最終戦!
今年の5月20日、2018年からコロナ禍を挟んで7年続いていた国内男子下部ツアーの特別スポンサー「ABEMA」が今季限りで契約終了するという電撃ニュースが男子プロゴルフ界を襲った。もちろん、下部ツアーは来年以降も続くが、ABEMAツアーは今大会が正真正銘の最終戦。そして、最終戦にふさわしく優勝賞金は360万円と、全12試合の中で最高額となる。
上位選手の賞金加算はもちろんあるが、単純計算で考えれば賞金ランク32位の梅山知宏選手が現在144万4029円なので、優勝すれば360万円が加算され504万4029円で、504万2206円でトップを走る内藤寛太郎選手を追い抜くため、賞金王になる可能性もゼロではない。また、20位の野澤竜次選手が239万1927円なので、現在、賞金0円の選手ですら優勝すれば、来季リランキングまでのレギュラーツアーの出場権を手にすることが可能になる。
なお、上位20位までにレギュラーツアーのシード獲得者がいれば権利が繰り下がることになっているので、現在、坂本雄介が36位、大岩龍一が39位、下家秀琉が60位、原敏之(はら・さとし)で圏内は4人。なので、24位まで繰り下がることを想定すると、24位の田中章太郎が192万2150円なので、一発逆転も可能だ。
目下、賞金ランク1位を走る! 内藤寛太郎(ABEMAツアー賞金ランク1位)
最終戦にもっともアドバンテージを持つ選手に注目! それは賞金ランク1位の内藤寛太郎(ひろたろう)選手。

ABEMAツアー賞金ランク1位の内藤寛太郎選手(撮影/有原裕晶、写真は横浜ミナト Championship ~Fujiki Centennial~)
今季ABEMAツアー開幕戦の「Novil Cup」では5人のプレーオフを経験。そして第5戦「ジャパンクリエイトチャレンジ in 福岡雷山」では初日から首位を守り抜いての完全優勝は、11年ぶりの下部ツアー優勝となった。優勝した「ジャパンクリエイトチャレンジ in 福岡雷山」を含め、第2戦の「i Golf Shaper Challenge in 筑紫ヶ丘」、第6戦の「LANDIC CHALLENGE 11」の福岡で実施の3大会は今年、賞金増額をしているので、そこで勝てたのはかなり大きい!
内藤選手に自身の強みをと聞くと、少し考えて「、、、わからない」と笑いながら答える。数値から紐解こうと、スタッツを見るとイーグル率が3位(3.250)と高く、2オンの精度、そしてパッティングのうまさが伺える。
レギュラーツアーの「長嶋茂雄INVITATIONALセガサミーカップ」でもともと悩んでいた腰が悪化して欠場すると、続くABEMAツアーの「南秋田カントリークラブみちのくチャレンジ」も欠場。その間、3週間、クラブを握らなかったという。
賞金王は「自分の状態的にそんな余裕はない」というものの、「でも(この位置にいるし)やっぱり獲りたいよ」と内藤選手らしく、控えめに話していた。
現在、賞金ランク2位(448万710円)の大嶋宝(大嶋4兄弟3男)とは56万1496円差、賞金ランク3位(422万3973円)の大嶋港(大嶋4兄弟4男)とは81万8233円差。このまま逃げ切り賞金王を獲れるか注目!
初日は10時26分に1番Hから大嶋港プロ、下家秀琉プロ、小鯛竜也プロとの組み合わせ。
来季のレギュラーツアー参戦を決められるか!? 野澤竜次(ABEMAツアー賞金ランク20位)
大切なことなので、何度も記載するが、ABEMAツアーの賞金ランクで上位20位までに入ると、来年度リランキングまでのレギュラーツアー出場優先権が与えられる。もちろん、20位までにレギュラーツアーのシード獲得者がいれば権利が繰り下がることになるが、選手は皆、とりあえず、この20位を目指すことになる。そして、その20位にいまいるのが野澤竜次選手だ。

安定感のあるアイアンショットが武器の野澤竜次
内藤選手の欄でも触れた、開幕戦の「Novil Cup」で5人のプレーオフをした一人で、第9戦「PGMチャレンジ」では最終日最終組を経験。今年はABEMAツアーの全試合に出場し、予選落ちは第2戦の「i Golf Shaper Challenge in 筑紫ヶ丘」のみ。1年を通して順調そうに見えたが賞金ランクは20位といま一つ。「(予選通過はしているものの)毎試合、最終結果が20位前後で、なかなか順位が上がらない」と話す。
自身の強みはアイアンショットと話すように、パーオン率は73.148%で7位タイとスタッツも秀逸。最終戦は試合2日前に欠場者が相次ぎ、QTランクが降りてきて出場できることになったという運もある。
ちなみに歌がかなり上手く、歌手を目指そうかと思った時期もあったという。十八番(おはこ)は関将太プロとのデュエットでKinKi Kidsの「愛のかたまり」。以前はインスタライブで弾き語りをしており、美声を披露していた。また再開を希望!
初日は9時42分に1番Hからスタート。内山遥人プロ、古川龍之介プロ、黒川逸輝プロと同組予定。
ディフェンディングチャンピオン伊藤有志(ABEMAツアー賞金ランク64位)
昨年、この大会には主催者推薦で出場し、最終日に逆転優勝した伊藤有志選手。加算された360万円で、ABEMAツアー賞金ランクは92位から6位にジャンプアップ! その資格で今季リランキングまで、レギュラーツアーに出場。予選通過が4試合と厳しい闘いになったが、それは「約3年ぶりにコンスタントにツアーに出場できて、連戦で体重が落ちてしまった」からと言う。話を聞いてみても「調子はさほど良くない」というが、コースとの相性は抜群で、プロアマの今日も結果は上々。

ディフェンディングチャンピオンの伊藤有志(撮影/姉崎正、写真は東建ホームメイトカップ)
「強みはドライバーが曲がらないこと」といい、レギュラーツアーでもフェアウェイキープ率は60.686%で34位と悪くない位置にいる。
攻略方法を知るディフェンディングチャンピオンは「取手国際はパッティングが鍵。伸ばし合いの展開が予想されるだけにパッティングがどれだけ入るかが大事」と話す。伊藤の言葉どおり、21年の亀代順哉選手は16アンダー、22年大堀裕次郎選手は18アンダー、そして自身は14アンダーと、3日間でこれほどのスコアが出るのは、伸ばし合いの結果だろう。
レギュラーツアーメインに戦ってきただけに、現在、ABEMAツアー賞金ランクは64位。昨年のような劇的勝利なるか、注目したい。
初日は8時58分に1番Hからスタート。中里光之介プロ、塩見好輝プロ、寺西飛香留プロと同組予定。
ルーキーが久々にABEMAの舞台へ岡田晃平(ABEMAツアー賞金ランク146位)
今年の4月に東北福祉大を卒業したツアールーキーの岡田晃平選手。2022年、2023年にナショナルチームに選出されたエリート。高校は明徳義塾、大学は東北福祉と松山英樹と同じルートを歩んでいる。

杉浦悠太と同い年のツアールーキー、岡田晃平(撮影/岡沢裕行、写真は24年ANAオープンにて)
ルーキーながら、昨年末のファイナルQTで9位に入る活躍を見せ、レギュラーツアーが主戦場。賞金額の高い国内メジャー「BMW 日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」で4位タイを含む、トップ10が2度あり、現在、1321万7828円で賞金ランク49位と、シード権に王手をかけている。
先週の日本オープン出場の資格がなく、次戦は11月中旬の「三井住友VISA太平洋マスターズ」までレギュラーツアーがないだけに、出場資格のあるABEMAツアーで試合勘を鈍らせないイメージか。
強みを聞くと「ガッツです!気合いです!」と意外にも元気いっぱいの岡田選手。見た目から受けるクールなイメージとのギャップが印象的だ。
日本プロで棄権した原因のヘルニアの影響もあり、最近は思うような球が打てていないといい、持ち球はフェードだが、最近は強めのドローが出てしまいスウィングも以前とは異なっているという。
ツアールーキーで連戦が初めてだが、「いろんなところに行けるのが楽しい」という。1年目でシードを取り来年の活躍にも期待。
初日は8時47分に1番Hからスタート。木下康平プロ、木村太一プロ、香川友プロと同組予定。
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笑っても泣いてもABEMAツアーはこれが最後。「ABEMAから世界へ」を体現した久常涼選手や、杉浦悠太選手のアマチュア優勝など、この7年間いろんなドラマが生まれました。
私、萩原菜乃花も2018年から携わり、最終戦実況を務めます。有終の美を飾るのはどの選手なのか、明日から3日間、ABEMAでお楽しみください。朝9時から完全生中継です!
※2024年10月15日20時53分、一部加筆修正しました。