“河川敷ゴルフ場発祥の地”と称される新東京都民Gの経営母体が、紆余曲折を経て交代した。

新たな経営母体は遊戯界大手のマルハングループで、太平洋クラブも同グループに属している。まずは東京都民Gの成立から経緯をたどろう。

1955年、東京にはゴルフ場が小金井GCの1カ所しかなかった時代に、荒川河川敷で36ホールを開場。設計は名匠・上田治。経営母体は1948年に京都GC上賀茂Cと舟山Cを、後に茨城GCを開場した安達建設。東京都民Gの建設用地は東京都足立区、北区、埼玉県の3つの自治体にまたがり、国土交通省が監督官庁。

建設中は台風などで被害を受けたが、無事開場した。大御所として知られる林由郎が在籍し、当時弟子であった青木功や金井清一らが修業したコースでもある。その後、近隣の人口増加や打球事故などの理由から18ホールになり、さらには9ホールへと規模が縮小された。

09年には運営していた日東興業が「9ホールでの経営は困難」と撤退を決定。翌10年に足立区の地元業者の運営が決定し、“新"が付いた名称に変更された。しかし19年に台風の影響でゴルフ場が全面冠水し、大量のヘドロが運ばれてきて再開が不可能となったため、閉鎖を余儀なくされた。

画像: 新東京都民G

新東京都民G

しかし、その翌年には医療法人葵会グループの支援で営業再開を決定し、リニューアル時の開場式典には青木功や倉本昌弘が出席し、会員募集も始めた。明るい展望が見えたかのようだったが、前述のように4年後の今年に経営母体が交代となったのである。マルハングループの韓俊社長と、前経営の葵会・新谷幸義理事長は親交があったという。

ただ、新谷氏が当時夢に描いていた「5年後には桜の名所にしたい」との願望は、規制などもあり進んでいなかった。買収した理由を同グループ広報の佐藤将大氏は次のように話す。

「“東京"と名の付くゴルフ場で気軽にプレーできるパブリックコースは、やはり残しておきたいというのがありました。基本的には現状のままで継続しますが、クラブハウスの簡単な改装やコースの傷んだ人工芝などは取り替えています」。

同Gは夜明けからプレーでき、平日(月~金)は到着順でスタート。土日祝はオンラインないし電話で予約を受け付ける。環七通り鹿浜橋の北側にあり、JR王子駅から路線バスで約15分、終点のバス停から徒歩3分と至近。

東京都内の貴重なパブリックコースが、冠水などにより再び閉鎖されることのないよう祈るばかりだ。

※週刊ゴルフダイジェスト11月5日号「バックナイン」より

世界のびっくりパブリックコース

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