ついに初日を迎えたZOZOチャンピオンシップ。国内で唯一観られるPGAの大会とあってか、初日から多くのギャラリーで賑わった。この日も、国内で開催された同大会を欠かすことなく見てきた"ZOZOウォッチャー"の小島慶太プロが現地入り。大会の様子をレポートしてもらおう。

優勝候補筆頭!?

みなさんはマックス・グレイサーマンという選手をご存知でしょうか。アメリカ出身の29歳で世界ランキング49位、優勝はまだないものの7月の3Mオープンと8月のウィンダム チャンピオンシップで2位という好成績を残していて、いつ勝ってもおかしくない選手の1人だと思っています。しかし、ぼくが彼に注目したのはその成績からではなく、22、23日の練習時間の長さから。両日とも3〜4時間はレンジで球を打っている姿がありました。"勝ちに来てるな"と感じたので初日は彼を追ってみることにしました。

画像: マックス・グレイサーマン

マックス・グレイサーマン

マックス・グレイサーマン
1995年5月31日生まれ、29歳、ニュージーランド出身
2017年 プロ転向
2023年 コーンフェリートップ30にランクインしてPGAツアーへ
2024年 トップ10入り4回、トップ5入り3回

ドライビングディスタンス:18位(312.2y)
パッティング:5位(0.625)
平均スコア:19位(69.42)

8時45分スタートのマックスを18ホール追いかけると決めたので、まずは練習場で彼を探しました。2日間彼の練習を見て、"練習の鬼"のイメージがあったので早めにレンジに着くも見当たらず。姿を現したのはスタート38分前の8時7分。約8分でサクッとアプローチ、バンカーの練習を終えるとショットの練習へ。『GCクワッドMAX』を置いてボールスピードと距離をチェックしている様子でした。8時33分にレンジを離れ、約26分のかるーいアップを終えてティーグラウンドへ。

画像: ターゲットを定めない"ランダム練習"が特徴

ターゲットを定めない"ランダム練習"が特徴

今日は、8時45分に1番ホールからスタート。小木曽喬、C.T.パンとのペアリング。1番2番と連続バーディでスタートを切りました。4番ではティーショットを右へ曲げてボギーとするも、5番ですぐにバウンスバック。8番も4mのパッティングを決めて3バーディで迎えた9番ホール。ティーショットは右のラフ、残り220ヤード。しかもライがかなり沈んでしまっている状態。そこから砲台グリーンに向けて打ったアイアンショットがピン奥にナイスオン。花道をつかって乗せていくのを想定していたところ、まさかの高弾道でグリーンに着弾。沈んだライから止められる高さの弾道を打てるパワーと技術に鳥肌が立つのを感じました。

画像: 前半は3アンダーとまずまずの成績

前半は3アンダーとまずまずの成績

後半スタート頃になると、やや強めの風が出てきました。12番まで順調にパーを重ね、13番ショートでは4mのスライスラインを決めると今日5つ目のバーディ(4アンダー)。15番のティーショットを打ったあとには残りホールを数える様子が見られ、6アンダーで上がりたいのかな、という印象を受けました。

画像: 15番、ティーショットをバンカーに入れるもパーセーブ

15番、ティーショットをバンカーに入れるもパーセーブ

16番のパー3では4mほどの下り、ややスライスラインを沈めて5アンダー。この時点での単独トップに立ちました。17、18番ではどちらも左の林に打ち込みピンチを迎えるも、得意のパターを軸としたクレバーなマネジメントを活かしてパーとバーディ。トータル6アンダーで初日を終えました。

画像: 17番に続いて18番でも左の林へ

17番に続いて18番でも左の林へ

18ホール帯同して感じたのは、総合力が非常に高い選手だということ。たとえば、2段グリーンの下の段から上の段に向かって打つ場面。どうしてもオーバーしてしまう人が多い状況なのですが、彼は必ずカップの手前でボールを止められるスピードでパッティングを組み立てていました。ドライバーのクラブスピードもトラックマンの計測値で54.2m/sを記録するほど速く(※)、11番ホールでは、同組のC.T.パンを43ヤードオーバードライブしていました。※練習日、トラックマンの関係者に見せてもらったデータによる

画像: 18番ホールはピンそばに3打目を落として余裕のバーディ

18番ホールはピンそばに3打目を落として余裕のバーディ

ホールアウト後に本人を直撃すると「今日はかなりいいプレーができた。そんなにストレスもなく、ずっと安定したプレーができました」と今日の結果に満足気。たしかにルーティンからスウィングのリズムまで常に一定で、再現性の高いゴルフを展開していたのが印象的。

画像: 密着したマックス・グレイサーマンはトータル6アンダーで初日を終えた

密着したマックス・グレイサーマンはトータル6アンダーで初日を終えた

また、昨日までの練習を見ていて、スウィングの特徴から“利き手は左、利き目は右なのでは?”と思うところがあったので尋ねると「その通り。もともと左利きだけど、ゴルフはずっと右でプレーしています。野球は右だったのを左に変えたんだけどね。利き目は、わかんないけど多分右だと思うよ」とのこと。自分の身体的な特徴をよく理解したうえでゴルフを作り上げてきた選手だということが分かりました。

ちなみに強みは「パッティング。自分のことをオールラウンダーだと思うし、全体的に調子もいいけど、一つ挙げるとするならパッティングだね」。

画像: おぼつかない英語での取材にもしっかりと対応してくれた

おぼつかない英語での取材にもしっかりと対応してくれた

クレバーで安定したゴルフを見せ、6アンダーというスコアでフィニッシュしたマックス・グレイサーマンだが、実はショートパットを数回外し、3つあるパー5は1つしかバーディを獲れていない。まだまだスコアを伸ばせそうな気配しかない彼は、優勝候補筆頭と言ってもいいのではないでしょうか。

日本国内ではまだ知名度がないのか、密着したメディアはぼくたちのみでしたが、「明日も今日と同じように、いつもと同じように朝を迎えるだけ」と達観していた彼はブレイク間近な印象。残り3日、是非彼にも注目を!

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