結局は浮気をしても同じ性能を求めてしまう
GD 飛ぶと言われるドライバーよりも、安定性の高いやさしいクラブを求めている傾向はあったのかもしれません。
長谷部 『RS(2016)』と『RS5』ではヘッドサイズが違うので見た目の印象もだいぶ違うでしょう。でも振りやすさは残したいから、手元調子のままだと右にスッポ抜けそうなので、ダウンスウィングの途中でも調整しやすい中調子にしているんじゃないかなっていう気はします。
GD ヘッドが鈍感だからこそ、ちょっと操作できる中調子を選んでいる? ヘッドとシフトの関係性はそこにあるってことですね。
長谷部 ここで特徴的なのが、重心距離が38ミリ台ということです。38ミリ台の重心距離のドライバーは、いわゆる日本メーカーに見られる傾向の設計です。外ブラの40ミリ前後の重心距離のものだと、多分球がつかまらなくなるので、現状のスウィングとシャフトでは合わないんでしょうね、とは言えますね。
GD この4本以外にも「ピン」だとか、「キャロウェイ」、「テーラーメイド Mシリーズ」とか、色々打ってきているんですが、上手く打てずにやっぱり違うなってことを繰り返しています。松尾さんの計測数値とコメントを見ると、基本的にはフックフェースで球がつかまりやすく、スイートスポットがヒール寄りにあるものを選んでいる傾向が出ています。
長谷部 そうですね。振りやすさと重心位置はある程度固定されているようです。中調子で重心距離は短めが好きという感じじゃないですかね。
GD その傾向からすると、次選ぶドライバーはどの方向で考えるといい感じですか?
長谷部 外ブラで言うと「ミニドライバー」です。それぐらい操作性が良いか、振りやすい重心距離のものが合うんじゃないかなと。あとはヒール重心を得意とする「ブリヂストン」だったり、「プロギア」、「ヤマハ」、日本のメーカーのヒールがちょっと出っ張っているような形状ですね。
GD 今思いだしましたけど、『R9』の前に使っていたのが『ツアーステージ703』というヒールの出たクラブでした。ドライバーが進化しても、傾向は変わらない?
長谷部 多分アイアンのようにヒールヒットに近い感覚で打てるドライバーがスウィングに合っているのでしょう。
GD 昭和のゴルファーの感じがします。事実、昭和のゴルファーですけど。
長谷部 ホームコースのフェアウェイの広さとか距離とかにもよるので、求められるものが違うんですよね。求められるものが影響してスウィングとクラブが変化していくことはあります。今はフェードで安定してまっすぐ綺麗に飛ばせるものを選んでいるんだろうなと思います。
GD そういう言われると、確かに神奈川県のトリッキーなコースに行っていましたから、距離よりもピンポイントに狙っていくことを求められていた。それがドライバーに出ている?
長谷部 そうですね。最大距離をもちろん求めている中で、操作性は絶対に失いたくないという選び方だと思います。
GD ドライバーの過去を辿っていくと、誰にでも傾向は出るものですか?
長谷部 クラブに関してはエースがあっても必ず浮気をする。浮気をした結果もとに戻ることはあるでしょう。流行りモノに手を出す、みんなが使っていて人気があるから1回は手を出したいということはある。しかし、数カ月使ってみたけど何か違う。
原点じゃないですけど、自分が必要とする性能に戻ることはあると思います。行ったり来たりすることはあったとしても、エースドライバーの傾向は、スウィングが大きく変わらない限りはあまり変わらないと思いますし、新製品の傾向や進化とリンクしているのか、それとも時代の流れについていけてないのか。求めている性能が平均値の上に行くのか下に行くのか、それとも平均値近辺なのか、そういった傾向は変わらないと思います。
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