うまい人の“朝の時間割”はいつも同じ
うまい人はスタート前の時間をどのように過ごすのだろう。そんな疑問とともに試合会場で“朝の時間割”を調査していくと、多くの選手が同じルーティンで行動していることがわかった。渋滞やコースの場所によって到着時間はまちまちだが、選手たちは決まってスタート1時間前から行動を始め、さらに順番や内容にも共通点が多い。
聞き込みの結果一番多かったのは……
練習場へ行くのはスタートの40分前(うまい人の時間割参考例)
7:00 練習グリーンでロングパット
7:20 練習場で球打ち
7:40 練習グリーンでショートパット
7:50 体がほぐれた状態で1番ティーへ
8:00 スタート
「1時間前に練習グリーンで主に長い距離の転がりを見て、20分くらいしたら練習場へ行きます。試合だと練習できるのは24球に限られることが多いので、球打ちは20分ほど。そこからスタート10分前まで再び練習グリーンというのが流れですね」
とは関東ミッドアマ優勝経験を持ち、日本ミッドアマでは最高2位タイの戦績を持つ高野隆さん。「有休をすべて試合に充てている」という筋金入りの競技ゴルファーは、スタート前のルーティンを変えないという。
高野さんによれば「内容それぞれに理由があり、多くの選手は似たような動きをするはず」とのこと。どんな理由があるのかをさらに調べてみた。
高野さん試合時の時間割
1時間前 到着後まずはロングパット20分
40分前 練習場で24球を20分ほどで打つ
20分前 練習グリーンで長短のパットを10分
10分前 スタートホールへ。攻めのルートをイメージ
「私は少し変わっていて……」と言う高野さんは、試合のときは必ず到着前に道中の練習場で1時間ほどウォーミングアップとして球を打つ。「スタート前の1時間に関しては、いつも同じ動きです」
コースへ入ったらまずは「転がりのチェック」
競技アマたちに共通する“だいたいの時間割”はわかった。ではそれぞれのシーンで選手たちは何をしているのだろう。
「クラブハウスを出たら、まずは練習グリーンへ行きます。これは主に、この日のグリーンのスピードや切れ具合を確認し、自分の感覚と合っているか、どの程度ズレがあるかをチェックする作業なので、ロングパットが主。時間は到着時刻にもよりますが、だいたい40分前に練習場へ行けるようにしています」
とは小誌連載「企業ゴルフ選士」でも登場経験のある柴山俊博さん。「先輩の受け売りです」と笑うが、今やこのルーティンは欠かせないものだという。
ほかの選手たちも、示し合わせたかのように1回目の練習グリーンではロングパットを中心に20分前後という回答が多かったが、その理由は「練習場で球を打つ時間を基準にしている」から。
球数を限定されることが多い公式戦では、だいたい練習場で球を打つ時間は20分ほど。朝一番にロングパットをする理由は、スタート10分前に集合するための時間を合わせつつ、この日のグリーンの状態を確かめるという意図があるのだ。
多くの選手たちが60分前から20分間行っていたのが“朝イチ練習グリーンでのパッティング”
株式会社 明治 柴山俊博さん(50歳・HC5.6)
「その日の転がりを確認するため球打ち前に20分」
「私の場合、練習場へ行く時間から逆算して朝の練習グリーンでロングパットをやります。今日は8時半スタートなので7時50分くらいから練習するとなると、その前に済ませておきたいですね」
プレデンシャル生命保険金井さん(60歳・HC 1.5)
「必ず10歩を2往復。感覚とのズレを確認する欠かせない作業です」
「私はエイムポイントをやっているので、自分が測ったスピードや曲がりと実際の転がりが合っているかを確認します」。やり方は10歩の距離から3球を使って2往復するだけ。上りと下り、フックとスライスを打ち分けられるので効率的
株式会社 明治 山口祐輔さん
15~20分ほど長めの距離で当日の感覚をチェックします
みずほ銀行 渡辺圭介さん
朝は15分ほどロングパットでグリーンの状況を確認する
GDO 細谷祐生さん
先に球打ちをすると体が冷えるので、練習グリーンで時間を調整
三井住友銀行 高野 隆さん
20分と区切って、まず長い距離。合ってきたら距離を縮めます
朝一番に練習グリーンへ立つ選手は多かったが、そのほとんどは球の転がりを止まるまで観察し、スピードや切れ方など、グリーンの状況把握に努めているように見えた。後編ではレンジでのルーティンをご紹介しよう。
PHOTO/Takanori Miki
THANKS/筑波カントリークラブ
※選手の方々にはボランティアでご協力いただきました。
週刊ゴルフダイジェスト11月5日号「うまい人のルーティン」より一部抜粋