ツアー解説でおなじみの佐藤信人プロ。今回は、来季PGAツアーの出場権を獲得した大西魁斗について語ってもらった。
画像: 「魁人くんの平均飛距離は302.6Y。コーンフェリーの今年の平均が306.2Yで、FWキープ率平均が60.74%。日本ツアーだとそれぞれ5位、34位に相当します。飛ぶだけでなく、ドライバー上手がこんなにいる世界です」と佐藤プロ(撮影/姉崎正)

「魁人くんの平均飛距離は302.6Y。コーンフェリーの今年の平均が306.2Yで、FWキープ率平均が60.74%。日本ツアーだとそれぞれ5位、34位に相当します。飛ぶだけでなく、ドライバー上手がこんなにいる世界です」と佐藤プロ(撮影/姉崎正)

コーンフェリーツアーでランク25位となり、30位以内に与えられる来季のPGAツアーへの昇格を決めた大西魁斗くん。

チャン・キムやイム・ソンジェなど日本ツアー出身者にこのケースはありますが、欧州ツアーからのいわゆる久常(涼)ルートに加え、PGAツアーへの道筋を開きました。

10月のACNチャンピオンシップに参戦していた小平智が「アメリカで心が折れた。来シーズンは日本で頑張ろうと思います」と、PGAからの一時撤退を表明しました。どんなに成績が悪くてもネガティブな発言をしない智にしては珍しい発言です。

アメリカで7年、2018年にはRBCヘリテージでも優勝した智も、ここ数年、PGAで思うような成績が残せずにいたなかでの弱気な発言だと思ったのですが、実はコーンフェリーツアーが苦しかったのだと、胸の内を明かしてくれました。

そこで魁斗くんに電話し、その辺のことを聞いてみました。

特にシーズン初めのバハマ、パナマ、アルゼンチン、コロンビアといった南米シリーズは、想像を超えるつらさだそうです。高級リゾート地で開催されるPGAとは違い、コーンフェリーは凸凹で泥まみれになるような道もあり、携帯電話がつながらない場所もあり、夜は出歩くことができずにホテルに缶詰め状態という。

魁斗くんいわく「(治安の悪さから)リュックを前にして歩くのが基本で、とにかく来季は南米に行きたくないという思いで必死に戦いました」。

日本から見ていると賞金も恵まれているように思いますが、経費もかかるし、ホスピタリティも万全とは言えない。何よりチャン・キムが言うように「飛ばしてナンボ」のコーンフェリーは、平均ドライビングディスタンスは306.2Y。選手にも、コースセッティングにも心が砕けることは少なくないそうです。

「特に小平さんはPGAツアーから来たからこそ、相当きつかったのではないでしょうか」と魁斗くん。いずれにせよ同ツアーで30位以内に入り、PGAに昇格するのは、ボクらが日本で想像する以上に厳しいことは間違いありません。

さて、その大西魁斗くんは南カリフォルニア大卒の26歳。同大卒業後の21年にプロ転向、翌22年にはフジサンケイクラシックで日本ツアー初優勝を飾り、翌年にはコーンフェリーツアーのQスクールで12位となり参戦しました。

今年、彼がコーンフェリーツアーに出場できたのは、昨年の同ツアーで100位に滑り込んだから。昨年107位で迎えた最終戦で、最終日67を出してギリギリ100位に滑り込み、その結果が今回のPGAツアー昇格です。1ポイント差で101位になったアルゼンチンの選手はQスクールで失敗した後、3部ツアーに回り、そちらでも結果を出せずカードを失いました。ただ、そのときの心境を聞くと「ひざのケガもあり、先のことはあまり考えていませんでした」。

結果につながるのはやはり無欲かもしれません。6月にはUNCヘルス選手権で初優勝。ちなみに下部ツアーでの日本人の優勝は、今田竜二選手以来2人目。

来季、夢舞台でも無欲で挑んでほしいですね。

※週刊ゴルフダイジェスト2024年11月12日号「さとうの目」より

大西魁斗って、どんなプロ?

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