林 由寿プロ
1973年、千葉県出身。林由郎を祖父に持つ3代目。ジャンボや青木にも教えた由郎のワザを令和に伝える。直近15年間で3000回以上のラウンドレッスンの経験から、レベルを問わず上達させるティーチング界の鉄人
上からの軌道はソールが抜けない
GD アプローチを苦手にしているゴルファーは、どんな打ち方になっているんでしょうか?
林 そうですね。もっとも多く見かけるのが、手先だけでちょこんと打って、手前の芝を噛んでしまうケースですね。
ポイント!ザックリ軌道は上から軌道だ
ザックリ軌道は、ソールが滑りやすい“横から軌道”ではなく、ヘッドがリーディングエッジから入る“上から軌道”。そのため、軌道の最下点が少しでも右にズレると、ソールが抜けず、たちまちザックリになってしまう。
GD 大きく振らなくてもいいので、つい手先だけで打ってしまうんですね。手のフィーリングを出そうとし過ぎて、そうなってしまうこともありそう。
林 手先で打つと、ヘッド軌道が“V字”になって、インパクトが“点”になるので、ほんのわずかに手前を噛むだけでザックリになってしまいます。それと、手打ちでは軌道そのものが安定しないので、ヘッドの最下点もズレやすいんです。
GD あとは、どんな打ち方が考えられますか?
林 ボールの行方が気になって、顔が上がったり、体が左に突っ込んだり。この打ち方も、ヘッドの最下点がズレやすいですね。
GD 顔が上がるとヘッドが落ちる、というアレですね。
林 柔らかくヒットしようとして、インパクトで左ひじを抜いて、ミスしてしまうケースもあります。どの打ち方も、体のターンがおろそかで、“上から軌道”になって、エッジが引っかかってしまうんです。
ザックリの原因1「手先の感覚出しすぎ系」
体の回転を止めて、手先の感覚で打つと、“上から軌道”になり、最下点が少しでもズレるとソールが抜けない。
ザックリの原因2「球の行方が気になる系」
ボールの行方が気になり、体が左に突っ込んで顔が上がる。顔が上がると、ヘッドは手前に落ちやすくなる。
ザックリの原因3「ひじひきあわせ打ち系」
柔らかくヒットしようとして左ひじを抜くと、ヘッドの最下点がズレやすい。ダフリだけでなく、トップも出る。
本当はこう打ちたい!「ザックリしない軌道は振り子のイメージ」
「“横から軌道”は、腕とクラブを振り子のように使って振るイメージです。テークバックもフォローも胸をきちんとターンさせるのがポイント。これで、スウィングアークが大きくなり、ヘッド軌道が安定するため、最下点もズレにくくなります」(林)
アプローチだって、腕とクラブの振り子運動
GD アプローチが苦手なゴルファーは、ヘッドを上から打ち込んでいるということでしたが、どうすればいいのでしょうか?
林 短い距離を打つアプローチといえどもスウィングですから、腕とクラブを振り子のように振っていく必要があるんです。
GD 振り子運動?
林 そうです。ボールを打ちにいく動きをいったん忘れて、腕とクラブを振り子のように振る感覚ですね。そうすると、エッジが引っかかる“上から軌道”は、ドリンクを入れたカートバッグでもOK!イン・トゥ・インでは上手く振れないソールが抜ける“横から軌道”に自然になっていきます。
練習法 「ドリンクを入れたカートバッグでもOK!」
「「アプローチが苦手なゴルファーの共通点は、手先を使って“上から軌道”になっていることです。水を入れたバケツなどを振ると、手先を使わず、ちゃんと振り子に振る感覚を思い出すことができます。ドリンクやボールを入れたカートバッグにスポーツタオルをつなげても、バケツを振ったときと同じ効果があります」(林)
GD なるほど。
林 そのためには、まず、どうやっても振り子にしか振れない重たいものを振って、振り子に動く感覚を体に思い出させることです。カートに積んである水バケツを振ると、振り子の軌道やリズムがわかりやすいですよ。このとき、腕の力だけで振ってはいけません。テークバックもフォローも、胸の面がちゃんとバケツのほうに向くように振ることが重要です。
GD 手先ではなく、体を使って振れ、ってことですね。
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ザックリの原因がお分かりいただけたかと思います。11月7日12時30分公開予定の「後編」ではザックリを治す不思議な方法を紹介します!
PHOTO/Yasuo Masuda
THANKS/季美の森GC
※週刊ゴルフダイジェスト11月12日号「リストウェイトでザックリ癖が治るんです」より一部抜粋