レッスンプロを育成(指導)するレッスンプロの先生が教える「ゴルフの教科書(基本)」。フルスウィングしたときに気持ちよく振れるように「ハーフスウィング」からレッスン中。今回は「ダウンスウィングのきっかけ」を解説する。【レッスンプロの先生とレッスンプロの教科書から学ぶゴルフの基本㉙】
画像: 左サイドへ体重を乗せるきっかけ作りの基本とは?

左サイドへ体重を乗せるきっかけ作りの基本とは?

クラブを下ろしていくときの上半身と下半身の動かし方

GD  前回(28回)はインパクトの入り口を覚えることがどんなに大切かという説明とそれをマスターするために有効なドリルを紹介していただきました。その中でインパクトの入り口を作る動き(ダウンスウィング)では、まず先に左足に体重を乗せるという説明がありましたが、自分としてはまず左足に体重を乗せるときのやり方というか、きっかけが分かりません。今回はアマチュアなら誰しも知りたい左への体重移動の考え方や方法、もっと大きく言えば、インパクトの入り口から出口にかけての考え方、体の動き、練習方法を知りたいです。

画像: 胸に両手を当てて、体の動きを覚える体幹(ボディ)ターンドリル

胸に両手を当てて、体の動きを覚える体幹(ボディ)ターンドリル

原田  体幹(ボディ)ターンを意識してください。体幹ターンで左足に体重が乗れば腰は自然と回りますよ。

GD よく腰を切るとか、お腹をターゲット方向に向けるとか、右足を蹴るとか、いろいろ左サイドへ体重を乗せる方法の説明が聞かれますが、そうではないのですね?

原田 体幹ターンドリルで左へ体重を乗せていくとき、腰を回そうとか切ろうとする人は多いです。でもね、腰から回したり、切ろうとしたら絶対にいけません。腰から回したら右肩が前へ出てしまいます。スウィングが崩れてしまいます。まず先に左への体重移動を行って、それから腰が回るんです。

腰は回すのではなく、回る

画像: 腰は回すのではなく、回る

腰は回すのではなく、回る

GD 腰は回すのではなく、回るのですね?

原田 そうです。左に体重が乗れば、腰は自然に回ります。だってクラブを振りにいくじゃないですか。振りにいくってことは左に振っていくので、左足に体重が乗ったら腰は自然に回ります。

GD 体重が左足に乗るのと腰が回るのは同時のようなイメージがありますが?

体重移動が先

画像: 「左への体重移動が先ですよ。先ほども言ったように、腰から先に回そうとする人は多いですが、そうすると腰が引けてしまうので、正しい動きができません」(原田プロ)

「左への体重移動が先ですよ。先ほども言ったように、腰から先に回そうとする人は多いですが、そうすると腰が引けてしまうので、正しい動きができません」(原田プロ)

原田 それは違います。左への体重移動が先ですよ。先ほども言ったように、腰から先に回そうとする人は多いですが、そうすると腰が引けてしまうので、正しい動きができません。

GD 右足を蹴るとか押し込むことで体重を左サイドへ移動させるという人もいますが、それもダメですか?

原田 ダメですね。スウィングは左サイドのリードで行うものです。例えば、鉛筆にリボンの端をテープで張り付け、鉛筆を回転させてリボンを巻き付けようとするとき、リボンが自分から鉛筆に巻き付こうとして動いたとしたらどうでしょう?

GD リボンがたわんじゃったり、引っ張る動きに緩みが生じてしまい、うまく巻き取ることができないと思います。

原田 スウィングもそれと同じです。この場合は鉛筆が左サイド、リボンが右足です。これが何を示しているか。右足を蹴ったら体がうまく回転ができなくなるってことです。

GD つまり左サイド主導のワンモーターで引っ張ると正しい体の回転ができるのに、足の蹴りという、もうひとつのモーターが動くと正しい回転を阻害するということですね。

原田 そう、そう。右足を蹴るというのは私の中では良くないことです。フィニッシュで結果的に左足一本で立って右足の裏が後ろを向いてつま先で立つという形ができたとしても、蹴ったらこの形ができたわけではないんです。正しくは左サイドのリードで右足が左足に寄ってくるってことです。右足の動きは受動的なんです。

GD 受動的ということは、インパクトの入り口を作ってしまえば、自然と右足の動きはついてくるということですか?

原田 そうです。

GD 右足を使えば、ボールが飛ぶと思っているゴルファーは多いと思いますが、それは間違っているんですね?

原田 それが効果的なケースもなくはないですが、基本的には右足を能動的に使うと左サイドが死んじゃうんですよ。

体重が左足に乗っていると腰は自然に回る

画像: 体重が左足に乗っていると腰は自然に回る

体重が左足に乗っていると腰は自然に回る

GD 左へ体重を乗せていくとき、腰を切ったり、回したり、右足を蹴ったりするのがダメなのは分かりました。でも、まだ自分は左へ体重を乗せていくときのイメージがはっきり描けません。右軸を作ったら左サイドへ体重を乗せていけば腰が自然に回るとのことですが、その左サイドへ体重を乗せていくという動きのきっかけは何ですか?そこが知りたいんです。

原田 では、ここで改めて体重を左サイドに乗せていくときの動きを説明します。右軸を作ったとき、腰は左足よりも内側にあるんですが、体重を左足に乗せると、腰が左足の上まで動きます。これをスライドするといいます。

GD そのスライドが完了したときは、左サイドの足、腰の外側のラインが左足から垂直に立った線に接する感じですね?

原田 そうです。その形は既に体重が左足に乗っているので、そこから腰は自然に回ります。そうなれば、インパクトの出口までスムーズに動くことができます。インパクトの出口はここで改めて説明しますが、体がターゲット方向に正対し、グリップエンドとおへそが向かい合う形です。左足に体重の全部が乗って右足は裏側が後ろを向いてつま先でチョコンと立っています。構えときの背骨の角度も維持してください。

構えたときに背骨を右に傾けるのがポイント

画像: 構えたときに背骨を右に傾けると、切り返しで左に体重が乗り、腰が回りやすくなる

構えたときに背骨を右に傾けると、切り返しで左に体重が乗り、腰が回りやすくなる

GD この連載で 構えたときに背骨を右に傾けると、切り返しで左に体重が乗るという説明がありました。左足に体重を乗せていくとき、背骨を右に傾けておくことも大事なんですよね?

原田 もちろんです。背骨が右に傾いていると腰が左に出るんです。つまりスライドするんです。それが体重の移動ですよ。繰り返しますが、その体重移動ができてから腰は回るんです。

GD 背骨の右への傾きはアドレス時よりももっと傾けるのですか?

原田 そうです。続きは次回説明しましょう。

●原田伝一 全日本ゴルフスクールプロ指導者連盟理事長)

はらだ・でんいち。1955年、横浜市出身。80〜82年、US・NGFインストラクターセミナー参加。ゴルフ指導者について研究を積む。83年、NGF日本ゴルフ財団チーフインストラクター就任。2010年、一般社団法人 全日本ゴルフスクールプロ指導者連盟理事長に就任。数多くのレッスンプロを世に送り出している。

撮影協力/都留グリーンゴルフ、梅里カントリークラブ

左サイドへクラブが振りやすくなる体の使い方

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