9月6日に発売されたばかりのグラファイトデザイン「TOUR AD GC」を検証してもらった。果たしてどんなシャフトなのだろうか?
みんなのゴルフダイジェストをご覧の皆様お久しぶりです。クラブナビゲーターの吉田です。
毎年各社から発売される新製品シャフトですが、今回はグラファイトデザイン社からは9月6日に発売された「TOUR AD GC」を検証したいと思います。すでに試合で投入しているプロゴルファーも多く、売れ行きも好調なTOUR AD GC。実際に打ってみたいと思います。
グラファイトデザインのTOUR ADといえば、国内ツアープロが多く使用しているシャフトですが、長年同社のシャフトを使用しているプロに加え、GCのテスト結果により他のブランドからチェンジしたプロも多くいます。
新製品のGCは新しいテクノロジーを導入して作られ、同社のポジショニングマップの中心に位置するシャフトです。ちなみに、GCとは「ゲームチェンジャー」という意味があるそうです。グラファイトデザイン社が流れを変えるために作った“新基準の中調子シャフト”の意味があるのでしょう。
シャフトの外観はホワイトベースで、手元側はカッパーゴールドを採用。全体的に落ち着いたトーンの上品な印象だから、プロ・アスリートが使用するTOUR ADシャフトラインナップの中でもハードさを感じさせない雰囲気です。
今回は60グラム台のS、SR。そして、50グラムと40グラム台の全フレックスを用意し、検証していきたいと思います。
グラファイトデザイン「TOUR AD GC6」を試打
まずはGC6の60グラム台を打ってみました。
TOUR ADといえば60グラム台がシャフト作りの中心です。ポジショニングマップも60グラムのSフレックスを基準に作られています。
ちなみに、私のヘッドスピードは42m/s前後。6Sはややオーバースペックですが、試してみたいと思います。
まずクラブをワッグルしたときは、流石TOUR ADプロ・アスリートゴルファー向けらしく、しっかりとした手元側の剛性感でした。実際に打ってみると意外と振りやすく、ハードさを感じずに打ててしまえるシャフトの印象です。
6Sは剛性感を感じるスペックですが、ホワイトのシャフトカラーもあって不思議とスペックよりもやさしく感じます。実際にテストクラブ(テーラーメイド「ステレス2」45.5インチ、以下同)のシャフト振動数は271CPMと数字だけみるとかなりのハードスペックですが、手元側から先端までねじれないフィーリングでシャフト全体の硬さに差が少なくスムーズに振れます。
シャフト自体が仕事をする感じはありませんので、ダウンスウィングの切り返しでシャフトの手元側にしっかりとテンションをかけられる人にはスムーズに動くように感じるシャフトです。
一方で、切り返し時にシャフトに負荷をかけられず早くほどいてしまうと硬く感じ、うまく切り返しできない方もいると思います。
6Sは先端部分の剛性は高いのですが、先端やや上の部分が適度に動くぶんインパクトでボールをとらえてくれますが、当り負けるような心配は一切ありません。叩きにいってもボールが吹け上がるようなこともありませんでした。
弾道は基本、ストレートフェード。フェード弾道でもバックスピン量は多くないようです。振れば振るほどボールが前に行ってくれる、強い弾道が印象的でした。
自然と切り返ししてくれる「TOUR AD GC6(SR)」
6SRは中調子の王道設計といった感じのしなり方で気持ち良く振れるシャフトです。6Sに比べて手元側の剛性は下げてあります。そのぶん、切り返しのタイミングが取りやすく、元調子系シャフトの間の取りやすさを持っています。自然な切り返しを求める方に良いですね。
シャフト先端部分の動きは少ないのですが、しっかりとボールを押し込んでくれるので、インパクトは厚くボールにしっかりとスウィングパワーを伝えてくれます。
プロ・アスリートゴルファー向けのTOUR ADブランドらしく、極端にロースピン設計のシャフトではありません。ボールにしっかりとインパクトエネルギーを伝えてくれることで、ボールに推進力があり吹け上がりを感じさせない強い弾道が特長です。
プレイヤーのインパクトパワーをあますことなくボールに伝えてくれる気持ちの良いシャフトですね。60グラム台のシャフトのイメージ通り球質が重く、強い安定感のある中弾道を生み出す、ツアー基準のバランスの良い中調子シャフトです。
スペック | 振動数 |
---|---|
6S | 271CPM |
6SR | 258CPM |
左右のブレが少なく安定感のある「TOUR AD GC5S」
続いて50グラム台はどうでしょうか。
5Sから打ってみましたが、6Sと比べて重量が軽いぶんスッキリとした印象です。手元側にしっかりとした剛性を感じるからか、楽に切り返せる印象ではありません。60グラム台同様、シャフトのどこかが潰れる感じはなくスムーズに振れますが、手元部分の剛性が高いからか、切り返し時にしっかりとテンションをかけられず硬く感じます。
練習場での弾道は高さの抑えられた中弾道のストレートから、ややフェードです。左右のブレはありません。
プロ・アスリートゴルファーモデルの中心ポジショニングシャフトらしく、シャフトで弾道が高くなるとか、ボールがつかまるということはありません。あくまでもプレーヤーの意図するイメージで動いてくれますし、シャフト重量が軽いのでシャフトコントロールしやすく、ドローやフェードの打ち分けもしやすいでしょう。
60グラム台同様、先端部分の適度な剛性があるので当り負けることもなくインパクトエネルギーがしっかりとボールに伝わり、振れば振るほどボールは前に伸びて行きます。着弾してからのランも期待できそうな勢いのあるボールですね。とにかく左右のブレのない安定した弾道が印象的でした。
TOUR AD GC 「5R1と5R2」の違い
5R1は5Sと比べてなめらかなシャフト挙動になり、ずいぶんと印象が異なります。手元側の剛性は落としてありますので、シャフト振動数は1フレックス以上低い15CPM差があります。切り返しのタイミングが取りやすく、シャフト真ん中のやや先の剛性が落としてあるぶんボールをとらえやすいです。シャフト挙動はスムーズで、グラファイトデザインの王道の中調子シャフトらしさを感じられます。
弾道はストレートからややフェード。1フレックス軟らかくてもGCらしい弾道に大きな変化はありません。中弾道のフェードボールです。
5R2はR1と比べて10CPM低くなります。手元側から先端部分にかけてすべての剛性を落としてあるイメージです。フレックスも軟らかくなるのでシャフト自体のしなり量が多くなりますが、シャフトコントロールのしやすさがありますので自分のイメージでボールをとらえやすいと思います。ヘッドスピードは速くないけれど先が走るタイプのシャフトだとコントロールしにくいと感じる方にオススメです。
50グラム台はどのフレックスも分かりやすく仕上がっていますね。ただ新基準の中調子シャフトとして位置付けされているGC。できれば5R1はSR、5R2はRの表記にしたほうがシャフト性能的にもユーザーに分かりやすくなったのでは? と思いました。
スペック | 振動数 |
---|---|
5S | 260CPM |
5R1 | 246CPM |
5R2 | 238CPM |
グラファイトデザイン「TOUR AD GC4」を試打
最後に40グラム台。
まずは4S。Sフレックスでもシャフトの硬さは感じにくく素直なシャフト挙動は、中調子設計のGCらしさを感じます。私のヘッドスピードだと(4Sで49グラム)の軽量シャフトのメリットを十分に感じられます。シャフト自体に走り感はありませんが、スウィングでフィニッシュまでスムーズに振り抜ける爽快さがあります。
手元側にしっかりさを感じますが、シャフト全体の剛性感は高過ぎることなく、一体感のあるシャフト挙動で非常に扱いやすいイメージです。
扱いやすさがありながら当り負けを防ぐ適度な先端剛性で、GCの持つ弾道特性である”ブレない中弾道”を他の重量帯と同じく生み出しているは流石ですね。
TOUR AD GC 「4Sと4R1と4R2」の違い
続いて、4R1は4Sと比較すると数値にもフィーリングにも1フレックス以上差がある印象ですが、切り返しもスムーズで上質なしなりを生み出すしっとりしたフィーリングが印象的です。
シャフトコントロールもしやすいので、イメージ通りのヘッドコントロールが可能です。クラブを操作していきたいベテランプレーヤーに使いやすいと思います。軽量シャフトですが、インパクトも厚く、弾道も落ち際までボールが吹け上がることなく伸びてくれます。
4R2はシャフトのしなり量が大きいので4R1よりもさらに楽にボールをとらえやすく感じる、つかまりの良いスペックです。
走り系シャフトの特徴でもあるシャフト先端の走りでボールをつかまえるのではなく、自身でボールをつかまえたいローヘッドスピードのプレーヤーに良いスペックです。
GCの40グラム台は「軽量シャフトに対して振りやすいけれど実際コースで使うと球質が軽く、ボールが吹き上がり飛距離が出ないイメージがある」という方に積極的に試して欲しいと思います。他にあまりないフィーリングの軽量シャフトです。軽量シャフトに対してのイメージが変わるでしょう。
スペック | 振動数 |
---|---|
4S | 240CPM |
4R1 | 226CPM |
4R2 | 214CPM |
是非試打会等で試して頂きたいと思います。