「長谷部祐とギア問答!」は、国内外大手3メーカーで、誰もが知る有名クラブの企画開発を20年超やってきたスペシャリストの長谷部祐氏に、クラブに関する疑問を投げかけ、今何が起こっているのか?その真相を根掘り葉掘り聞き出すものです。クラブ開発の裏側では、クラブ開発の裏側では、こんなことが考えられているようです……。

ドライバー選びで大事なのは「重心距離」と「重心深度」

GD 『SIM2』も、『ローグST マックス LS』も、数年前のモデルです。次のエースドライバー候補は、どの辺を探っているんですか?

長谷部 体の硬さ、可動域が小さくなっていくことを前提に考えた時に、長尺クラブで軽くして飛ばすという考え方もあります。自分は基本的には「カルカタ理論」なんですね。どんどん軽く硬くして飛ばしたい、一生懸命振って飛ばしたいという思いがあるんですけど、45.5インチを45インチ未満にするかもしれません。

コンパクトに振れるようにして、マックスの飛距離を求めるというよりは、アイアンのようにしっかりコンタクトして飛ばすことを考えるようになるのかなと。 とにかくミスヒットを減らして飛ばす(笑)。

GD ギア問答#37でミニドライバーに触れましたが、『ローグST マックス LS』 と『Xドライブ405』を比べると、『Xドライブ405』はミニドライバーのように見えますが、そっちに行く可能性は?

長谷部 シャフトを長くしたり軽くしたりヘッドも大きくなりましたが、最終的な結論としては、そんなに飛距離が出ないんだったらミニドライバーでもいいかなっていうのは正直思うところなんですよね。

最新の設計は小さいヘッドでも反発性能が高いことは間違いないので、そこに期待している部分はありますけど。 ミニドライバーの安定性を求めることが近々あるかもしれません。

GD 今(現行モデルで)入手可能なミニドライバーっていうと、「テーラーメイド」と「キャロウェイ」ですけど、長谷部さんはどっちを選びそうですか?

長谷部 「キャロウェイ」のほうが重心が浅いので、「キャロウェイ」がいいのかなということは言えるそうですね。ただ、フェース面上のスイートスポットは「キャロウェイ」のほうが高いので、スピンが増えてしまうのかもしれないという心配はあります。

【Xドライブ405】
●ヘッド体積/404㏄
●スイートスポット高さ/35.2ミリ
●重心距離/35.2ミリ
●重心深度/36.7ミリ

【テーラーメイド バーナーミニ】
●ヘッド体積/303㏄
●スイートスポット高さ/25.6ミリ
●重心距離/35.8ミリ
●重心深度/39.1ミリ

【パラダイム Aiスモーク Ti340ミニ】
●ヘッド体積/335㏄
●スイートスポット高さ/31.3ミリ
●重心距離/35.2ミリ
●重心深度/38.7ミリ

GD ヘッド体積はテーラーメイドが303㏄、キャロウェイが335㏄。『Xドライブ405』よりヘッドが小さくても、重心距離は変わらず、重心深度が深くなっているのが今のミニドライバーということですね。

長谷部 おそらくですけど、一旦大きいヘッドを使ったプレーヤーを引き戻す、もしくはそれらの人に合わせることを考えると、重心距離は短くできたとしても、重心の深さはやさしさを担保するというか、慣性モーメントとの大きさをある程度高めておきたいという設計意図が見られます。

あとはフェース面積を小さくして、若干シャロ―にしているのでフェース面の重量を減らしていると思います。

GD 今のミニドライバーは昔の300㏄とは違うんですね。

長谷部 今のはカーボン複合ヘッドでもありますし、昔は反発性能を高めるためにディープフェースの設計を盛んにやっていたわけなんですけど、今のミニドライバーはマックスの飛距離を求めていないという明確なコンセプトを決めてるはずなので、シャローフェースで直ドラもできるぐらいの雰囲気で作っているんだろうと思います。

GD ゴルファーには誰にもドライバー変遷があります。実測データで傾向を分析する機会はなかったと思うんですけど、こういう風に振り返ることで自分に合うドライバーの傾向はある程度見えてきます。それと同時に打ちたい球筋がどうだったかってことが非常に大事になってきますよね。

ロースピンモデルが人気になった時は、「ロースピンだから飛ぶんだ」ということで、みんなが移動しました。今はビックモーメントで安定して飛ばすんだっていう風になっていますが、スウィングとの相性を考えると流行とは違う物語がここには存在しますよね。

長谷部 重心距離と重心深さのこの2点に着目していけば、おそらく球筋とその時の悩みは一致してくるはずです。自分の場合は、目指した球筋がドローからフェードに変えたことで重心に変化が生じて、なるほどなって思いましたね。

GD そこにフェースプログレッションとネックの軸回り慣性モーメントを組み込んでいくと、目指している球筋を中心としたクラブ選びが見えてくるような気がします。

長谷部 あくまでもフェース面を真っすぐ当てられるかどうかです。リズムよく当てられるかどうかは、重心距離と重心深度、その辺で見えてくると思います。

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