シャフトの傾向を絞って、ヘッドを試さないと混乱する
GD 「ピン」は『G430 MAX テンケイ』が加わり4兄弟になり、秋に出た『スリクソン ZXi シリーズ』も4兄弟です。これまでの3兄弟に4男坊が加わりシリーズ構成に変化が出てきています。
長谷部 そうですね。ヘッド体積が440㏄、460㏄の2つに分けて、慣性モーメントを求めていたり、つかまりを求めたり、あとはLSみたいに重心を前にしたり変化をつけながら3兄弟、4兄弟が今後のラインナップの基準になるのかなって気がします。
GD ここまで性能が細かくなってくると、相当クラブに詳しくないとどれがいいのかわからなくなってきます。
長谷部 販売店で試打クラブを試すときに、3つのモデルの比較が店内では推奨されるんですけど、いろんなメーカーを打ちたい人は、「テーラーメイド」なり、「キャロウェイ」なり、「ピン」のマックス同士を比較したりすると思うんです。
ある程度、試打をする前に打つクラブを絞っていかないと混乱しちゃうぐらいバリエーションが増えている状況だと思います。
GD この動きは今後も続いていきそうですか?
長谷部 各社おそらく新製品を出すタイミングでヘッドバリエーションがないとお客様のニーズに応えられないと思っているはずなので、2つでは足りない、最低でも3つラインナップしていないとカバーできない状況になっているんじゃないですかね。
GD ロフトとシャフトの硬さぐらいで選べていた時は、ここまでクラブ選びは難しくなかったと思います。
長谷部 気を付けなければいけないのは、シャフトで迷わないように自分のお好みのシャフトの傾向を把握しておくことです。シャフトの傾向を変えずにヘッドだけ変えていくように選んでいかないと、ここでシャフトを色々変えて打っていたら、もう混乱して終わりなんじゃないかなって気がしますよね。
プロでも新製品のヘッドを試すときは必ず今使っているシャフトでヘッドだけ入れ替えるテストを行います。その上で人によりさらに良くするために違うシャフトなど試すのでアマチュアはなおさらシャフトを固定したい。
GD ヘッドとは逆にシャフトは、落ち着いているように思います。
長谷部 そうですね、各メーカーオリジナルシャフトの開発を諦めて、コラボシャフトをかなり使うようになりました。「ピン」ですら「スピーダー」という名称のものが軽量タイプで採用されたりするので、そういった意味ではシャフトは少し落ち着いているという言い方ができるかもしれませんね。
GD コラボシャフトについてはこの連載で何度か話しましたけど、「スピーダー」ブランドだったらスピーダーの特性がある程度盛り込まれていたりとかするんですか? 「ディアマナ」だったらディアマナの特性が盛り込まれていたりとか。
長谷部 そうあってほしいと思いますね。「テンセイ」と「ディアマナ」が逆転するようなことは多分なくて、位置付けは変えずにシャフトメーカーは出していると思います。
GD 夏に「D-1グランプリ」(月刊のゴルフダイジェストの名物企画。一番飛ぶドライバーを探せ)の現場を2人で行きましたが、『タイトリスト GTシリーズ』の強さを目にしました。『GTシリーズ』が出たことで、なんとなく雰囲気が変わったような気がするんですけど。
長谷部 『GTシリーズ』の飛びを考察した時に、「10K」がすべてではないことに改めて気づいたんだと思うので、今後「10K」や「マックス」ありきの打ち出し方が非常にしづらくなっているんじゃないかなっていう気がしますよね。
GD そうすると2025年以降は、慣性モーメントに向かっていたメーカーはより戻しを考える可能性がある?
長谷部 機能的なところは素材の組み合わせである程度、自由度も目標値も定まってきていると思うので、どういった打ち出し方をするのかはちょっと興味を持って見ておきたいですね。
今後、「マックス」をどのように扱うのか?ラインナップはされるとは思うんですけど、どのように謳っていくのか興味があります。10Kに到達していない、できていないメーカーはそこを目指し、10Kの功罪がわかっているメーカーは細かい微調整をするんだと思います。