国内男子ゴルフツアーのカシオワールドオープンゴルフトーナメント最終日が24日、高知県・Kochi黒潮カントリークラブで行われ、首位に2打差の6位から出た43歳の岩田寛が7バーディ、3ボギーの4アンダー68で回り、通算14アンダーで逆転優勝を果たした。BMW日本ゴルフツアー選手権森ビルカップ以来の今季2勝目、通算7勝目。70で回った清水大成が1打差の通算13アンダー2位。石川遼はイーブンパー72と伸ばせず、通算11アンダー4位にとどまった。
画像: カシオワールドオープンゴルフトーナメントで今季2勝目を挙げた岩田寛(撮影/姉崎正)

カシオワールドオープンゴルフトーナメントで今季2勝目を挙げた岩田寛(撮影/姉崎正)

岩田は笑顔で駆け出し、走りながらパターを持っていた左手を高々と突き上げた。

プレーオフに備えて練習グリーン上でボールを転がしていたときだった。2組後の最終組で回ったマイケル・ヘンドリーが第3打でイーグルを獲れなかった瞬間に優勝が決定。喜びに浸る時間もなく、仲間が祝福のウォーターシャワーを準備しているのに感づいて全力疾走で逃走したのだった。

「風邪を引いたら嫌なので……」

男子ゴルフ界ではユニークな言動で知られ、愛される存在。独特の表現で周囲への感謝の気持ちを表した。

優勝インタビューでもそのキャラクターで押した。

「誰も僕のことは応援してくれないと思って試合しているんですよ。でも、いつも応援してくれる人がいるんです。感謝しています。ありがとうございます」

グリーン周りを取り囲んだ大勢のギャラリーから温かい拍手が送られた。

自身初の年間複数回優勝達成

画像: ツアー選手権で今季初優勝を挙げたときに、年間複数回優勝を目標に掲げていた(撮影/姉崎正)

ツアー選手権で今季初優勝を挙げたときに、年間複数回優勝を目標に掲げていた(撮影/姉崎正)

不屈の43歳が国内ビッグ大会の最終日を沸かせた。

首位に2打差6位からスタート。前半はボギーとバーディを繰り返す内容でイーブンパーの36。「もうこれは勝てないなと思った」そうだが、後半のバックナインで見事なバーディラッシュを披露した。

10、11番で連続バーディを奪い、12番はボギーとしたものの13番で残り136ヤードを9番アイアンで1メートルにつけてバウンスバック。勝負どころの15番からさらにギアを上げ、15番で残り141ヤードを9番アイアンで1メートルにつけ、続く16番も残り143ヤードを8番アイアンで2メートルに乗せて、単独トップに浮上した。17番は3メートルのパーパットを残す大ピンチだったが、微妙なフックラインを読み切った。

「ずっとプレーオフだと思っていたので、なんかあまりその境目がわからなかった。決まった瞬間というか、人が来てわかったので、実感がまだないです」

有言実行を果たした優勝だった。

前回優勝は今年6月のBMW日本ゴルフツアー選手権森ビルカップ。そのときの優勝記者会見で当時自身未経験の年間複数回優勝達成を目標に掲げた。

「今日は(複数回優勝を)意識しました。途中から、13番から。ツアー選手権のときに言ったんですよね? 言ったんですけど、もう忘れていました。頭の中から」

ここでもやはり独特の言葉で喜びをかみしめた。

43歳、ドライビングディスタンスは18位

画像: 今季のドライビングディスタンスは全体18位の295.72ヤード。衰えを知らない43歳(撮影/姉崎正)

今季のドライビングディスタンスは全体18位の295.72ヤード。衰えを知らない43歳(撮影/姉崎正)

通算7勝のうち5勝は39歳になった2021年以降に挙げた。若手の躍進が著しい男子ゴルフ界にあってはまさに”中年の星”。今季のドライビングディスタンスは全体18位の295.72ヤード。衰えを知らない飛距離と何より気力、集中力を誇る。

「親父からケガと病気だけは絶対にするなと言われたので。練習ができなくなるから。それをゴルフを始める前に言われたので、何も(準備を)しないで練習したことはほとんどないです」

今大会の優勝賞金4000万円を加えた今季の獲得賞金額は9313万902円となった。トップの平田憲聖は1億1244万879円でその差は1930万9977円。最終戦の日本シリーズJTカップも優勝賞金が4000万円で、岩田が最終戦も制すれば逆転で初の年間獲得賞金1億円超えで初の賞金王戴冠の可能性が出てきた。

「あんまりやることは変わらないんですよ。だからこのままでいきます」

43歳になって初の年間複数回優勝を果たした快男児。その進化はまだ止まらない。

「ずっと自分のゴルフができなかった。悔しい」(石川遼)

画像: 首位と3打差4位に終わり、ホールアウト後、悔し涙を流した石川遼(撮影/姉崎正)

首位と3打差4位に終わり、ホールアウト後、悔し涙を流した石川遼(撮影/姉崎正)

岩田と明暗を分けたのがホストプロとして初優勝を果たせなかった石川だった。イーブンパー72と伸ばせず首位と3打差4位に終わり、ホールアウト後は悔し涙を流した。

「ずっと自分のゴルフができなかったし、自分の責任以外何ものでもないんですけど、ちょっとひどかったなと。朝一からひどかった感じでずっとペースをつかめなかった。悔しいですね」

それでも気力を奮い立たせて前を向いた。

「来週に向けていい課題ができたという終わり方で、めちゃめちゃ悔しい。そのぶん、来週やってやろうという気持ちです」

2024年男子ゴルフツアーは28日開幕の日本シリーズJTカップ(東京よみうりカントリークラブ)が最終戦。佳境の賞金王争いは平田が逃げ切るのか、今週優勝の岩田(賞金ランク4位)、はたまた石川(賞金ランク6位)が逆転するのか。今から開幕が待ち遠しい。

◆男子ゴルフの賞金王争い~トップとの差は?

1位 平田憲聖 1億1244万円

2位 金谷拓実 1億955万円  トップとの差:289万円

3位 今平周吾 9411万円   トップとの差:1833万円

4位 岩田寛  9313万円   トップとの差:1931万円

5位 木下稜介 8837万円   トップとの差:2407万円

6位 石川遼  8596万円    トップとの差:2648万円

ツアー選手権は岩田寛と石川遼の優勝争い

岩田寛、勝者のスウィング

石川遼はVISA太平洋優勝で逆転賞金王へ

賞金王へ、平田聖憲のドライバーショット連続写真

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