国内男子ツアー最終戦、日本シリーズJTカップが開催中だ。3日目、賞金王レースで2位につける金谷拓実に注目した。

金谷拓実はこの大会を並々ならぬ覚悟で臨んでいるはずだ。もちろん、顔にはまったく出さない。

画像: 金谷は世界を見据えてラウンドしている

金谷は世界を見据えてラウンドしている

大会と相性はいい。常に上位で優勝争いをしている。何よりこの大会は、金谷の最大目標の“PGAツアーで戦うこと”とつながっている。

20-21シーズンは難関、18番パー3で、見事なティーショット後のバーディパットをねじ込み順位を7位から3位に上げ、22年のマスターズ出場権をつかみとった。

昨年は優勝争いの末敗れ、結果的に賞金ランクは3位。DPワールドツアー(欧州ツアー)の出場権は限定的となった。今年は賞金ランク2位で挑むが、翌週に開催されるPGAツアーのQスクールのサードにエントリー済みで今大会に参加している。

「3年前は優勝しないと厳しい状況だったので、結果にとらわれてなかなかよいプレーができなかった。今回はリベンジしたいです」

「しっかり自分のゴルフで状況を変えられると思う。昨年も優勝を逃して悔しい思いをしているので」と大会前に語った金谷。2日目、3日目と順位を伸ばし、6アンダーの4位で最終日を迎える。

金谷拓実は、試合前後のインタビューで必ず「今日は自分らしいプレーができました(できませんでした)」「また自分らしいプレーで頑張ります」と語る。

金谷の“自分らしいプレー”とは何だろう。

飛ばし屋と一緒のラウンドでも自分のマネジメントに徹する。構えたらサッと打つパッティングはオーバーしても返しをしっかり入れる。前を真っすぐ向いて淡々とラウンドする。決してあきらめない姿勢。そしてここぞというパットが決まればガッツポーズを見せる気持ちのアツさ……。周囲が考えてみればいろいろなことが思い浮かぶ。

画像: 前を真っすぐ向いて淡々とラウンドする金谷

前を真っすぐ向いて淡々とラウンドする金谷

しかし“自分らしさ”なんて、誰しも自分でわかっているようでわかっていないのかもしれない。それでも金谷は「自分らしいプレー」と言い続ける。まるで、自分自身を鼓舞する魔法の言葉であるかのように。

金谷の応援をしながらスコアを追っていると心臓に悪い。連続ボギーがきたから、不安になって一度、“間”を置くために目を離し、少しおいて確認すると、急に上位に上がってきていたりするのだ。

しかし、そんな“あきらめない”ゴルフこそが金谷の真骨頂なのだと思えるようになると、ますます応援したくなる。

帽子のつばを持ち、静かにうなずいて挨拶してくれた金谷。明日、「自分らしいプレー」を結果で示してくれるはずだ。

なお、3日目の順位で大会が終了したと仮定した場合、獲得賞金は単独4位の金谷は621万1593円を加算し、1億1576万2815円。3人が並ぶ13位タイの平田憲聖は238万926円を加算し、1億1482万1805円となり、金谷が逆転で賞金王に輝くことになる。

撮影/姉崎正

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