ツアー解説でおなじみの佐藤信人プロ。今回は、DPワールド(欧州)ツアーでローリー・マキロイと年間王者を争ったスリストン・ロレンスについて語ってもらった。
画像: 南アフリカ期待の星であるスリストン・ロレンス(PHOTO/Getty Images)

南アフリカ期待の星であるスリストン・ロレンス(PHOTO/Getty Images)

DPワールドツアー(欧州ツアー)は、ドバイでの最終戦を制したローリー・マキロイの3年連続、6度目の年間王者で幕を閉じました。今回、紹介するのは、そのマキロイと最終戦まで王者争いを演じ、ポイントランク3位となったスリストン・ロレンス。

トレバー・イメルマン、シャール・シュワーツェル以降、このところ今ひとつ世界的に強い選手が出てこなかった南アフリカで、世界ランキング最上位で期待のかかる28歳です。

130年近い歴史を持つ南アフリカアマチュア選手権で、13 、14 年と連覇。しかしアメリカの大学に進むことなく、14年、17歳でプロ転向し、いろいろなツアーで経験を積んだ叩き上げ。翌年、中東のNENAツアーでプロ初優勝し賞金王に輝き、アーニー・エルスのニックネームを冠した南アの2部ツアー、ビッグイージーツアーに出場。

ここでも勝利し同1部のサンシャインツアーに昇格すると、21-22シーズンに欧州ツアーと共催のヨハネスブルクオープンで初優勝。さらにオメガ欧州マスターズでも勝ちポイントランク14位で、南アフリカ人としては初の欧州ツアーでのルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝きました。

22-23の昨シーズンは2勝を挙げ、ポイントランクは19位。しかしPGAの切符を手にしたのは17位の久常涼まででした。そして今シーズン、優勝こそありませんでしたが2位が5回、4位に終わった全英オープンでも優勝争いを演じ、ポイントランク3位でPGAツアーの切符を勝ち取りました。

ここ3〜4年でメキメキ頭角を現してきており、来シーズンのPGAでは大暴れしてくれるかもしれません。ボクの印象に強く残っているのは、前述の全英オープン。ロイヤルトゥルーンは狭く、ブッシュも多い難コース。

優勝したザンダー・シャウフェレや2位となったジャスティン・ローズら多くの選手がフェアウェイウッドやアイアンで刻むなか、ロレンスは一人ほぼフルでドライバーを振り回していました。

平均飛距離は303ヤード、フェアウェイキープ率とともに平均的ですが、とにかく思い切りがいいのが武器になっている気がします。前回、紹介したビリー・ホーシェルは全英オープンで2位でしたが、試合後、ロレンスのドライバーに驚きつつ絶賛していました。欧州ツアーでは今どき珍しいタイプです。

ちなみに年間王者を争ったマキロイとホーシェルとは、9月のBMW選手権でプレーオフの優勝争いを演じています。PGAは初挑戦となりますが、ともにPGAの年間王者経験者の2人を向こうに回しての今シーズンが大きな経験になったことは確かでしょう。

またドライバーを軸にしたマネジメントは、PGA向きと言えるかもしれません。ドライバーばかりに目を奪われがちですが、昨シーズン89位だったストロークゲインドパッティングが今シーズンは2位。プロ歴10年でバランスよく着実に力をつけていることは間違いありません。

現在、世界ランクは48 位でマスターズ初出場にも手がかかっています。南アフリカから久しぶりに面白い選手が出現してきました。

※週刊ゴルフダイジェスト2024年12年17日号「さとうの目」より

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南アフリカの偉大な選手たち

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