スライスや引っかけ、トップにダフリ……。アマチュアのミスはなかなか直せないもの。週刊ゴルフダイジェスト12月24日号では、そんな悩みを北野正之プロに解説してもらった。ヘッドは加速させるものと多くのアマチュアは考えるはずだが、「加速」より「等速」がいいと言う。「みんなのゴルフダイジェスト」でも2回に分けてお届けする。その真意とは?【2回中1回目】
画像: アマチュアのミスは「速く振る=飛ぶ」という誤った認識が原因だった!?【スウィングは”加速”より”等速”がいい・前編】

解説/北野正之プロ
女子プロやアマチュアの指導経験が豊富。伸び悩むゴルファーへ「気付き」の指導を得意とし、スウィング理論、メンタル、マネジメントに精通。茨城・サザンヤードCCでレッスンを行う

ヘッドを走らせる意識がミスを生む

アマチュアのレッスンを主体に行う北野正之プロはこう語る。

「ヘッドを加速させよう。ヘッドを走らせよう。この言葉がアマチュアを惑わせてしまうんです。インパクトはボールとヘッドの衝突ですから、確かにヘッドスピードが速いほど、ヘッドが加速するほど、インパクトのエネルギーは増します。ですが、加速させようとすれば、体の軸はブレやすくなり、ミスヒットが増えるだけなんです。とくにドライバー、FW、UTなど、長いクラブほど、その傾向は強くなります。簡単に言えば、飛ばしたいときですが、『速く振る=飛ぶ』という認識を捨てない限り、アマチュアの上達は望めないでしょう」

画像: 朝イチショットでいきなりのどスライス。飛ばしたい!ヘッドを走らせる意識がミスを生むんです

朝イチショットでいきなりのどスライス。飛ばしたい!ヘッドを走らせる意識がミスを生むんです

なぜヘッドを加速させるほど、ミスが増えるのか? どうして上達の妨げになるのか?

「ヘッドを加速させようとすると何かを足そうとします。たとえば、腕を速く振るとか、ジャンプするように体を伸ばすとか、リリースを早めるとか、そういった動作が加わるわけです。その結果、体とクラブにズレが生まれます。そうなると芯に当たらないですし、スライスや引っかけ、トップなど、あらゆるミスが出てしまうんです。私のレッスンでは、スピードは出さなくていい。速く振らなくていい。そう教えています。そのほうが上達は早いからです。クルマと同じで、ハンドル操作を覚えなくては、アクセルは踏めないはずです。多くのアマチュアは、(ヘッド)スピードの出し過ぎなんですよ」

アプローチは急加速・急減速厳禁!
「ショットだけでなく、アプローチも要注意。ピンに寄せる精度が求められるアプローチでは加速だけでなく、緩みによる減速もあります。クルマと同様、急加速、急減速は厳禁です!」

画像: アマチュアは「減速」もある!

アマチュアは「減速」もある!

「加速」がダメな4つの理由

ダメな理由①「振り遅れてフェースオープン」

「飛ばしたい気持ちが強いほど、体だけが先行します。振り遅れればフェースは開き、スラ
イスになります」

画像: 力んで振り遅れる

力んで振り遅れる

ダメな理由➁「打ち急ぎによるアーリーリリース」

「加速させると手が動きやすく、アーリーリリースに。ハンドレイトやアウトサイドイン軌道になり、スライスも引っかけも出ます」

画像: アーリーリリースはスライス・引っかけどちらのミスも出る

アーリーリリースはスライス・引っかけどちらのミスも出る

ダメな理由③「手打ちによる引っかけ」

「何かを足そうすると手が動きやすくなります。そうすると体の動きが止まり、手が返る(手打ちになる)ことで引っかけやダフリが出ます」

画像: 引っかけのミスが出る

引っかけのミスが出る

ダメな理由④「伸び上がりによるミスヒット」

「飛ばそうと右足で蹴る動きが、体が伸び上がる主な原因。当然、打点がズレるので、シャン
クなど、あらゆるミスヒットが生まれます」

画像: 体が起き上がってしまう

体が起き上がってしまう

「加速」よりも大事なことは『等速』

ヘッドを加速させようとするからミスが生まれる。そう断言する北野プロは、加速よりもっと大切なことがあると言う。

「スウィングで大事なことは“芯で打つこと”です。より具体的に表現するなら、インパクト効率を上げることです。ただ芯で打つだけならボールは飛びませんが、そこに自分の体重やエネルギーを乗せ、インパクト効率を上げる、それが最重要課題です。そしてそれを実現させるには、何も足さない『等速』の意識がベストなんです」

ボールを強く押せるこれがインパクトです!

「インパクト効率をイメージするならコレ。柱や壁の角にフェース面を当て体全体で強く押し込みます。シャフトがしなるくらい強く押せれば完璧です。自分の重さ、力をボールにしっかり伝えます」

画像: インパクト効率とはボールを強く押すこと

インパクト効率とはボールを強く押すこと

確かに“等速”を意識すると、力んだり、急いだり、暴れたりするイメージはなくなる。では、等速を意識したスウィングのメリットは何なのか?

「たくさんありますよ。まずはミート率が上がることです。芯に当たりやすくなりますから、再現性が上がりますし、当然、ミスヒットも減ります。インパクト効率が上がるわけですからドライバーからウェッジまで平均飛距離も伸びるでしょう。また、体力&気力をセーブできるのも大きいです。これもクルマで考えるとわかりやすいです。急加速や急減速は燃費が悪いですよね。等速で振れば、エネルギーのムダ使いがなくなり、体力も気力も温存できます。最初は『速く振ろうとしない』。それだけでいいんです。加速ではなく、等速を意識するだけで、上達の近道がきっと見えてくるはずですから」

画像: 速く振ろうとしないだけでメリットがこんなに!

速く振ろうとしないだけでメリットがこんなに!

”等速”が良い6つの理由

メリット①「ミート率が上がる」
「等速で振る意識を持つと体はブレなくなります。そうすれば必然的にミート率も上がります。速く振るより、芯に当たることのほうが重要なんです」

メリット②「再現性が上がる」
「いつでも同じように打てる。この再現性はゴルフでは欠かせません。等速スウィングは無理をしないので、いつでも同じ感覚で振れます。素振りに近いんです」

メリット③「ミスヒットが減る」
「ミート率が上がり、再現性も上がれば、ミスヒットは大幅に減らせます。ナイスショットの確率が上がれば、コースマネジメントも変わるでしょう」

メリット④「平均飛距離が伸びる」
「インパクト効率が上がれば、平均飛距離は間違いなく伸びます。ヘッドを加速させれば飛ぶ。その意識が強いほど、スウィングが崩れることを認識しましょう」

メリット⑤「スコアの安定性が高まる」
「スコアにおいても等速の意識が大きく役立ちます。OBやトラブルショットが減れば、大叩きの可能性は少なくなり、スコアメイクもラクになるはずです」

メリット⑥「体力&気力をセーブできる」
「実はこのメリットが大きいです。急加速、減速の繰り返しでは、体力も気力も奪われます。いつでも等速。この意識が体にも心にもいい影響を与えます」

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次回は“等速に振る方法”をご紹介します。12月19日公開予定。

PHOTO/Yasuo Masuda 
THANKS/サザンヤードCC

※週刊ゴルフダイジェスト12月24日号「『加速』より『等速』がいい」より一部抜粋

スピードを変えずに振るアプローチ法はこちらから

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