
「基本的に、左腕はなるべく伸ばしたまま体の回転でフォローを取る。それで行けるところまで行って、最後に左腕を脱力するような感じにしたいんですよ」(坂詰プロ)
O編 今回は、フィニッシュについて聞きたいんだけど、選手に教えるとき、大事にしていることはある?
坂詰 打った後すぐに左腕をたたんで、縮こまったフィニッシュを取るのはやめよう、って言ってます。それって、体を止めて腕を振っている証拠ですからね。基本的に、左腕はなるべく伸ばしたまま体の回転でフォローを取る。それで行けるところまで行って、最後に左腕を脱力するような感じにしたいんですよ。
O編 最低でもフォローでクラブが腰の高さに来るまでは左腕を伸ばして使いたいって言ってたよね?
坂詰 一般のゴルファーの場合は、 そのあたりが目標になると思います。
O編 そこからは腕をたたんでもいいんだね。
坂詰 ただ、プロの場合は、柔軟性にもよるけれど、胸とか肩の高さまで、できるだけ腕を伸ばしたままフォローを取ってもらいたいんです。わかりやすく言うと、ザック・ジョンソンみたいな感じですね。

左腕はなるべく伸ばしたまま体の回転でフォローを取る例として挙げられたザック・ジョンソンのフォロー(2018年当時、撮影/姉崎正)
O編 そうすることで、クラブヘッドと体との距離が変わらないから正確性、反復性が上がってるってことかな。
坂詰 そういうことです。ただ、これを教えると、みんな「飛距離が落ちそう」って言うんですよ。
O編 腕の振りを抑えるからね。
坂詰 でも、ちゃんと体で打てるようになれば飛距離は落ちないんです。飛距離が落ちるのは、まだまだ脚や体で打てていない証拠なんですよ。とにかく、クラブを首に巻き付けるようなフィニッシュを意識しすぎると、腕のたたみが早くなって、体の回転が止まりやすいので注意したいですね。
O編 クラブが首に巻き付くフィニッシュを取りたいと思ってる人は多いよね。
坂詰 ドライバーなんかはいいと思うんです。長いクラブを振り切ったら、フォローで腕が体から離れるので、クラブが首に巻き付きやすいですからね。でも、目標を狙い打つアイアンやウェッジは、なるべく体と腕を同調させておきたいので、そういうフィニッシュは必要ないんですよ。 ほら、ラインを出すときって、クラブを首に巻き付けたりしないでしょ?
O編 あぁ、狙い撃ちをするときは、腕のたたみを抑えてフィニッシュするよね。
坂詰 馬場(咲希)ちゃんも、アイアンを打つときには、腕を長く使ってますよ。さっさと腕をたたんで、クラブを首に巻き付けたりしたらボクに叱られるから(笑)。とにかく、プロには、手が体から遠いままフォローを取って、フィニッシュを迎えてほしいんです。スコッティ・シェフラーのアイアンショットを見てください。もう、ずーっと手が遠いままでしょ。ホント、最高ですよ。

O編 でも、シェフラーって、打った後、足がアドレスの位置から外れちゃうじゃない? あれはどう考えてるの?
坂詰 彼の場合、足を外すことで体を回りやすくしているだけで、インパクトまでは、体の動きもクラブの動きもキレイですからね。問題はないと思います。どこも固定していないので体の負担も少なそうですし。まぁ、あれを選手に勧めることはしませんけど。
O編 巷のゴルファーは、やっぱり、ローリー・マキロイみたいな、ピタッと止まるフィニッシュに憧れるよね。
坂詰 それはプロでも同じですよ。常にあのフィニッシュが取れるのは、動きにムダがなく、体もクラブも完全にコントロールできている証拠ですからね。タイガー・ウッズも、息子のチャーリーくんには、「マキロイみたいなフィニッシュを目指せ」って言ってるみたいですよ。
O編 我々アマチュアゴルファーも、参考にしたほうがいいの?
坂詰 あそこまでのフィニッシュを取るには、バランスだけじゃなく、パワーも柔軟性も必要なので、普通の人には難しいでしょうね。でも、フィニッシュでちゃんと立つことは大事だと思います。ゴルフは止まっている球を打つスポーツですからね。なるべくアドレスしたときの骨盤の位置を変えずに体を回転させ、バランスよく立てるフィニッシュを目指したいですよね。
PHOTO/Shinji Osawa THANKS/GMG八王子ゴルフ場
※週刊ゴルフダイジェスト2024年12月17日号「ひょっこりわきゅう。」より