
「双子のどちらかが優勝するたび抱き合う姿はお馴染みの光景に。一卵性双生児で見分けがつきにくいが、『ニコライのほうが顔が細い』とラスムス談。スウィングと性格はニコライのほうが少しコンパクトで気性が激しく、ラスムスはトップが深く入りサラッとした性格だとか」と佐藤プロ(PHOTO/Getty Images)
今季、ルーキー・オブ・ザ・イヤーの筆頭候補と勝手に予想しているのが、デンマーク出身の23歳、ラスムス・ホイガードです。23年、双子の兄のニコライは、ひと足先にPGAツアーのシード権を獲得。おそらく史上最強の双子が、今年はPGAで見られそうです。
4歳でそろってゴルフを始めました。以来、ジュニア時代から、仲のいい強い双子として名を馳せます。18年にはトヨタジュニアゴルフW杯で来日。この大会でラスムスが優勝、ニコライが2位となり、2人の活躍で団体戦も制しました。
さらにアイルランドで開催された世界アマでは、2人の活躍で強豪アメリカを抑え、デンマークを初優勝に導いています。メジャーに先に出場したのは、兄のニコライ。18年、KLMオープンでアマチュアながら2位となり、欧州アマにも優勝し、カーヌスティの全英オープンに出場しました。
19年秋、2人は同時にプロ転向します。ここで明暗が……。欧州ツアーのQスクールを通過したのはラスムスで、ニコライは欧州のチャレンジツアーに。早くも同年12月の2戦目で初優勝を果たしたラスムスは、翌年8月にはシーズン2勝目。ランク16位で20年シーズンを終え、世界ランクは87位に。
対するニコライは同500位台。初めて双子に、大きな差が出たようでした。20年、ラスムスは東京五輪に出場するとともに、五輪後にはオメガ欧州マスターズでツアー3勝目を果たします。
しかし、ここが双子の不思議な関係性、および切磋琢磨の相乗効果なのでしょう。翌週のイタリアオープンで今度は兄のニコライが初優勝。2週連続での双子優勝として話題を集めました。世界ランクも兄93位、弟96位と逆転します。
22年はニコライが1勝、ツアー2勝目を挙げましたが予選落ちも多くやや不安定なシーズン。ラスムスは優勝こそなかったものの予選落ちは1回と安定した成績で、世界ランクは134位、102位と再び逆転しました。
23年からひと足先にPGAを主戦場としたのはニコライ。推薦で出場した3月のドミニカで2位に入りスペシャルテンポラリーメンバーに。一方のラスムスは母国デンマークで欧州ツアー4勝目を挙げ、今度は2人して全英オープンにも出場しました。この年、欧州ツアーの最終戦で優勝、欧州ランク2位となり先にライダーカップデビューも果たしたニコライに対しラスムスは18位。PGAへの道は17位までで、ちなみにこのとき最後の切符を獲得したのが久常涼でした。
この年の世界ランクは兄50位、弟85位で再逆転。ニコライは初のマスターズ出場、さらにパリ五輪にも出場します。しかしラスムスのPGAへの夢は途切れません。24年、序盤から飛ばし、アイリッシュオープンで5勝目。マキロイに次ぐランク2位でPGAへ。
ラスムスは24年最終週の世界ランク37位、ニコライは委員会の特別招待で、いよいよ双子でのマスターズ出場も決まりました。今年は、2人そろってのマスターズ、2人そろってのライダーカップ、2人そろっての優勝争いなどを期待しています。
※週刊ゴルフダイジェスト2025年2月18日号「さとうの目」より