
「昨年8試合だけのスタッツですが、平均飛距離は313.1Yで11位相当。FWキープ率は70.48%で5位相当。合わせたトータルドライビングは断トツです。約73㎏と細身ですが、体の捻転や下半身の蹴りをしっかり使ってスピードを出しています」という佐藤プロ(PHOTO/Getty Images)
フロリダ州立大の3年生で、去年の8月から世界アマチュアランク1位の座を守り続けている21歳の若者です。昨年、アマチュアながらPGAツアーに8試合出場して、なんとベスト10フィニッシュが4試合。うち7月のジョンディアクラシック、11月のRSMクラシックでは、もう少しで優勝か、という2位でした。プロ転向していれば、8試合の賞金は約180万ドル。日本円に換算すると、実に2億8000万円になる活躍ぶりです。
昨年1月、ニック・ダンラップがジ・アメリカン・エキスプレスで、フィル・ミケルソン以来、33年ぶりにアマチュア優勝を果たしたことは記憶に新しいところですが、それに続く可能性が高いのがクラントン。PGAツアーユニバーシティは優れた大学生にPGAの門戸を開く制度ですが、3年までの選手は、20ポイントを獲得すればPGAへの出場権が得られます。クラントンは現時点で19ポイントを獲得しており、おそらく3年生が終わったところ(5月末の全米学生後)でプロ転向するのではというのが大方の予想です。
昨年の全米学生で、団体戦のアンカーマッチで敗れ、母校の優勝を逃しています。その雪辱を果たし、5月の同大会で優勝してプロ転向という筋書きでしょうか。クラントンは高校時代から活躍し、ブルックス・ケプカやダニエル・バーガーらを輩出したフロリダ州立大へと進みました。
しかし、アマチュア界をリードするほどの選手ではなく、昨年一気に開花した印象です。ゴルフにはレベルに関係なくそういう時期があり、それがまたこの競技の面白さではないでしょうか。クラントンの存在を知ったのは、個人、団体とも2位となった昨年の全米学生でした。
そこから注目したのですが、昨年の平均スコアは69.33で、これはケプカらを抑えて同大学の記録。学生の試合では14試合中10試合でトップ10フィニッシュし、3連勝も果たしました。プロの試合は昨年の全米オープンが最初ですが、予選会から出場すると本選でも予選通過、その後のPGAでの活躍は前述の通りです。
先日のフェニックスオープンは予選通過すれば20ポイント達成ということで、予選からジャスティン・トーマスとニコラス・ダンラップ(同い年)という注目組に入りました。PGAツアーではアマチュアを注目組に入れることは非常に珍しいです。
そのなかで途中まで思うようなプレーができず、予選通過ラインとは程遠くなってしまったところから2日目の後半11番、13番、15番、17番とバーディを取り、最後は5m半のバーディパットを外して終わりましたが、18番も取れば予選通過というところまで持っていったガッツあるプレーは単なる予選落ちではなかったと思います。
この夏プロ転向すれば、今年中に初優勝が見られるかもしれないし、ルーキー・オブ・ザ・イヤーの有力候補になるといった感じで、今シーズン目を離すことのできない若者です。
※週刊誌掲載後、ルーク・クラントンは先週開催された「コグニザントクラシック」で予選通過を果たし、見事、PGAツアーのツアーカードを手に入れた。
※週刊ゴルフダイジェスト2025年3月11日号「さとうの目」より