構えたときに目に飛び込んでくるコースの景色はアドレスやスウィングに大きな影響を及ぼし、さまざまなミスの原因になり得る。月刊ゴルフダイジェストの4月号では、年間200ラウンドにも及ぶラウンドレッスンを行ている“現場の達人”小野寺誠プロに、「景色の罠」の克服方法を聞いている。みんゴルでもその一端を紹介しよう!
画像: 引っかけ、プッシュ、大ダフリなどのミスの本質は“スウィングが悪いから”ではない?【打ち破れ! 景色の罠】

解説/小野寺誠プロ

1970年生まれ。96年プロ入り。プレーヤーとして自身年間250ラウンドし、コーチとしてもラウドレッスンによる指導が得意な“実戦派”

苦手な状況の多くは“景色”にやられている?
繰り返すミスは「視覚」が原因だった!

ゴルファーなら誰しも、ラウンド中によくミスをする苦手なホール、苦手なシチュエーションというものがあるのではないだろうか。

これは、傾斜や特定の距離など、技術的な不得意が原因である場合もあるが、実はそれ以上に視覚的な要因が引き金になっているケースが多いという。年間200ラウンドにも及ぶラウンドレッスンを行っている“現場の達人”小野寺誠プロは、アマチュアのミスのほとんどに「視覚」が関わっていると話す。

画像: 目の前にある池がプレッシャーを増幅させる(撮影/増田保雄)

目の前にある池がプレッシャーを増幅させる(撮影/増田保雄)

「目から入ってくる情報は、スウィングにとても大きな影響を及ぼします。典型的なのは、目の前のバンカーや池にプレッシャーを感じて力んでミスをするケースや、打ち上げ、打ち下ろしのホールで目線が上下してアドレスがゆがみ、スウィングに悪影響を及ぼすケースですよね。でもそういったわかりやすいパターンだけでなく、いつも特定のホール・状況で同じミスをするような場合やショットやアプローチの距離感を誤る場合も、実は景色から受ける視覚情報に原因があることが多いんです。これらはミスの本当の原因に気付かず無意識だからこそ改善できずに繰り返します。まずは視覚から受ける影響を知り、自覚的になることが予防の第一歩といえます」

小野寺プロが教える“ありがちなミス8選”とその原因!

ありがちなミス①
打ち下ろしで短いスライス 逆球の引っかけ
 
原因:目線で構えがズレてしまう

画像: 打ち下ろしは目線が下がる場合、球の高さを抑えようとして引っ掛けてしまうことも

打ち下ろしは目線が下がる場合、球の高さを抑えようとして引っ掛けてしまうことも

打ち下ろしのホールで出る突然の引っかけは、ボールより低い位置にあるショットの着弾点を見て目線が下がり、アドレスがズレて右肩が出たり上体が突っ込むから。球の高さを抑えたいという心理も同様に働きやすい。

ありがちなミス②
打ち上げでのプッシュ
 
原因:目線で構えがズレてしまう

画像: 右肩が下がると、左肩が過度に上がるため注意が必要

右肩が下がると、左肩が過度に上がるため注意が必要

打ち上げのホールでは、目線が上がるせいで右肩が下がったりあおり打ちになってプッシュアウトや、それを嫌がってのド引っかけが出る。

ありがちなミス③
右ドッグレッグで右の林に入れる
 
原因:左を向くことで右への意識が低下

画像: ミスにルーズになることで大ミスをしてしまうことも

ミスにルーズになることで大ミスをしてしまうことも

スライサーが右ドッグレッグで、左を向いて構えて「持ち球なりでOK」と考えながらも、想定以上に右に大ミスするのは、左を向きすぎて反射的に左を嫌がったり、右の視界を広く取りすぎて右へのミスにルーズになるから。

ありがちなミス④
短いスライス 逆球の引っかけラインをアマラインに外す
 
原因:目に入るカップに意識が行く

画像: カップに意識を取られ、しっかりと打ち出せていないことが挙げられる

カップに意識を取られ、しっかりと打ち出せていないことが挙げられる

スライスラインのショートパットを、情けないほど右に逃がしてアマラインに外すのは、カップよりも左を向いて構えるぶん、視界の真ん中にカップが入ってきて意識が引っ張られ、本来打ち出すべきラインに打ち出せないから。

ありがちなミス⑤
「右OB・左OK」わかっているのに右へのミス
 
原因:見えているハザードに反応

画像: 見えている不快感を優先してしまうと起こってしまうミスもある

見えている不快感を優先してしまうと起こってしまうミスもある

「右はOBなのでNG。狙いは絶対左」とわかっていても、左サイドにバンカーがあったり2打目が狙いにくいのが見えると、本来避けなければならない右のOBよりも、見えている左の不快感を無意識に優先し、右にミスしがち。

ありがちなミス⑥
奥ピンへのアプローチで大ショート
 
原因:ついピンの先を見てしまう

画像: グリーン奥の傾斜が気になり、緩みなどを引き起こす原因に

グリーン奥の傾斜が気になり、緩みなどを引き起こす原因に

グリーン奥のピンに突っ込まなければならない状況であり得ないほど大ショートするのは、ピンの先に見える「グリーン奥のNGゾーン」が気になったり、傾斜が見えて「下りのパットを残したくない」と感じてしまうせい。

ありがちなミス⑦
手前ピンにショートして次にオーバー
 
原因:ついピンの手前ばかり見てしまう

画像: 僅かなオーバーも嫌がるせいでミスを重ねがち

僅かなオーバーも嫌がるせいでミスを重ねがち

手前ピンにショート→オーバーというミスを重ねるのは、最初にピンの手前にしか目が行かず、わずかなオーバーをも嫌がるせい。

ありがちなミス⑧
バンカー越えで大ダフリ
 
原因:見えているハザードに緊張

画像: ハザードが見えると視覚的な圧迫感からミスを引き起こすケースも

ハザードが見えると視覚的な圧迫感からミスを引き起こすケースも

グリーン手前にポッカリと開いたバンカーが見えると、普通に打てば難なくキャリーで越えるはず
なのに必要以上に力んで、驚くような大ダフリが出たりする。実際の距離や数値よりも、視覚的な圧迫感に意識が引っ張られるせいだ。

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後編では実際のゴルフコースでの対策方法を、小野寺誠プロと脳科学者の西剛志先生に解説してもらった。気になる続きは月刊ゴルフダイジェスト4月号、Myゴルフダイジェストにて掲載中!

構成・文/鈴木康介 
写真/岡沢裕行、Getty Images
イラスト/ほししんいち 
協力/ロイヤルCC

※月刊ゴルフダイジェスト4月号「打ち破れ! 景色の罠」より一部抜粋

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