
ABEMAツアー勝ちました!解説/日高将史
ひだか・まさし。1986年生まれ。宮崎県出身。170センチ66キロとツアープロの中では小柄ながら、昨年はチャレンジツアーで9年ぶりの2勝目を挙げ、今季レギュラーツアーに参戦する注目の選手。
良い意味で右手を使う
GD 日高プロはアプローチの名手としてプロ仲間の間では知られていますよね。
日高 そんなことないですよ(笑)。上手いかどうかはわからないですけど、大きなミスをしないからじゃないですかね。
GD プロだからダフリやトップのような、凡ミスはしないと思いますが。
日高 いやいや、プロだってダフったりトップもしますよ(笑)。特に、緊張した場面なんかは強く入り過ぎたりしますからミスします。
GD そんな時でもミスしない方法を教えてもらえますか。
日高 良い意味で右手を積極的に使うことです。

右手の動きに全集中ですよ!
GD 右手を使う?
日高 よく、ボールを投げる感覚で寄せるって言われますが、右手の感覚を利用するとフェースの面がどこを向いているか意識しやすかったり、インパクトでボールを長く押して運ぶゾーンでとらえる感じが出せます。ただ注意点もあって、右手が利き手の場合ですが、器用だから余計な動きも入りやすいんです。それがいわゆる手打ちです。だからこそ、体と同調させることを重視しています。
GD 右手は使うけれど使い過ぎない。難しいですね……。
日高 ボールを打つだけなら手打ちでもできちゃう。だけど、それだと上手く寄るときもあれば、ザックリやトップみたいな大ミスになることもある。だから、右手の余計な動きを抑えることが、結果的に右手の能力を引き出すことになるんです。
ザックリ&トップが消えるアプローチの3カ条
①フェースの向きを強く意識する
スウィング中のフェース面の向きができるだけ変わらないように振ることで、方向性と距離感が良くなる。
②ボールの10センチ前後は真っすぐ動かす
極端に上から打ち込む意識が強いと、インパクトが点になりザックリなどの大ミスの要因に。ヘッドを低く長く動かすことでミスの許容範囲が広くなる。
③カット打ちは厳禁!
できるだけ、アウトサイドインのカット軌道で振らないこと。これもヘッドの入射角が鋭角になるので、ザックリしやすく、さらにフェースにボールが乗りづらいので距離感も合わせづらくなる。
ミスを回避する3つのアドレス
ミスを回避するアドレス①
ボール位置は真ん中より右に置かない!
アプローチが苦手な人は、ダフりたくない意識が強くなるため、極端に右にボールを置きがち。しか
し、逆に上から打ち込む軌道になるため、ザックリの危険が増えてしまうのでボール位置は真ん中よ
り右足側にはセットしないこと。

ボール位置は真ん中より右はNG
ミスを回避するアドレス②
両つま先の方向に必ず肩のラインをそろえる!
少し左足を引いたオープンスタンスで構えることで、体が回転しやすくなり、体とクラブが同調して動きやすく手打ちになりにくい。このとき、肩のラインも両つま先と同じラインにそろえること。

オープンスタンスで構える
ミスを回避するアドレス③
体重配分は左足側に必ず荷重させる
体重配分は左足6に対して右足4の割合にして構え、スウィング中はその配分を変えずに振り切ること。左右5:5のままだと、インパクトで右足に体重が残ってしまうとトップする可能性があるので要注意。

左足に荷重する
右手首の角度をキープし続ける
GD 具体的に右手はどう使えばいいですか?
日高 常にヘッドが胸の前にあり続けることがポイントです。そのために右手首の角度をキープする必要があります。
GD 右手の動きを抑えるわけですね。
日高 はい。その練習法としてやるのが、右手1本での片手打ちです。僕もですが多くのプロがトーナメント中でも取り入れていますよね。それほど右手の動きが重要だという証拠です。
GD アマチュアにとって片手打ちは、上手く打てるときもあれば、上手く当たらないこともあったりとても難しいと感じている人は多いと思います。
日高 まさに手打ちになっているからです。アドレス時の右手首の角度をキープして、胸でクラブを引っ張る感覚で胸を回して打つんです。胸が動かないと手打ちの原因になります。最初は怖いと思いますが、思い切って胸をターゲット方向に向ける感覚で振ってみてください。まずはボールに当てようとする意識を持たないことで、手打ちを防ぐアプローチが習得できるようになります。
手打ちのミスがなくなる
矯正法①
体の回転でボールを運ぶ
体がしっかり回転すると小手先でフェース面を操作しないので、インパクトでクラブが自然とスクエアに戻ってくる。

胸を張って振っていく
矯正法②
胸で上げて胸で下ろす
片手打ちをする際に、手でクラブを上げようとすると体の正面からクラブが外れてしまう。ヘッドに重さがあるウェッジは、手先でなく体の回転でクラブを上げて下ろすのがポイント。

胸を回すと手打ちにならずダフリ&トップが防げる
矯正法③
右手首の角度をロックする
アドレス時の右手首の角度がほどけると、ヘッドが早く地面方向へ落ちてダフリやトップの原因になる。胸を回すことを意識して振れれば、右手首の角度は自然とほどけない。

手首をロックする
ドリル
目標を見ながら素振りする
胸を大きく動かすのが怖いという人は、胸を最初にターゲット方向に向けた状態で素振りを行うのが効果的。そこから徐々に胸を開閉させると胸でクラブを引っ張る感覚が身に付く。

ボールは見ない
(後編へつづく)
THANKS/UMKカントリークラブ
PHOTO/ARAKISHIN
※週刊ゴルフダイジェスト3月18日号「ボールだけきれいに打てるアプローチ」より一部抜粋