ツアー解説でおなじみの佐藤信人プロ。今回は、「人生最後にラウンドするなら誰と一緒に回りたいか?」について語ってもらった。
画像: AONの豪華メンバー。「僕がこの3人を前にしたら、一言も話せずにラウンドを終えてしまうかも。想像するのも楽しみです」と佐藤プロ(PHOTO/Hiroyuki Okazawa)

AONの豪華メンバー。「僕がこの3人を前にしたら、一言も話せずにラウンドを終えてしまうかも。想像するのも楽しみです」と佐藤プロ(PHOTO/Hiroyuki Okazawa)

今回は編集部から、「人生最後にラウンドするなら誰と一緒に回りたいか?」と質問を受けました。ボクばかりでなく、同世代はAON……青木功さん、ジャンボ(尾崎)さん、中嶋常幸さん、3人の名前を挙げる人も多いのではないでしょうか。

まず青木さんとは、現役時代、何回も前後の組にはなるのですが一度も同組になったことがありませんでした。一度は回りたいと思い続けていましたが、ボクがJGTOの理事となり、会長であった青木さんと回る機会をようやくいただきました。とにかく青木さんは記憶力が抜群。あの試合のあの場面、あのショットの感覚を、感情を交えてこと細かく解説してくれます。

たとえば87年の有馬ロイヤルで開催された日本オープン。この大会は青木さんが優勝するのですが、勝因について、前組で先にホールアウトした中嶋さんが奥のどこからか見ていたようで、最終組の青木さんがラインを読んでいるときに中嶋さんと目が合い、青木さんはそれをにらみつけてきたととらえ、それでカチンと来て火がついたという話でした。

米ツアーでも活躍していましたから、ボクなどには歴史上の人物であるサム・スニードやジーン・サラゼンとのエピソードもいくつも教えていただきました。たとえば毎日、壁に向かってパット練習をするスニードに向かって放った奥さんの粋なアドバイス。「そんなに悩むなら、その半分の距離に乗せたらいいじゃない」。

マスターズのパー3コンテストは、「サラゼンが勝手に俺の名前を書いちゃうもんだからいつも同組だった」。ちなみに青木さんにとってアーノルド・パーマーは憧れの人。パーマーの話をするときは夢見る少年のようですが、ジャック・ニクラスの話になると、最初は「ジャック」だった二人称が「アイツ」になり「あの野郎」となってだんだん怒っていく姿が面白い。もちろん親しみを込めた関係性があるからこそ。青木さんのとにかく面白い話を広くゴルフファンに伝えたいとも思うのです。

ジャンボさんは、生まれたときからの人生の歩みをすべて漏らさず聞いてみたい。甲子園での優勝、西鉄ライオンズのプロ野球時代、そしてゴルフへの転向。ゴルフブームをけん引し、しかし一度はスランプに見舞われ、そこから40代での不死鳥のような復活……。照れ屋のジャンボさんはあまり自分のことを話さないでしょうが、ジャンボさんの歩んだ道は残すべきだと思うし、その伝記があったら読みたいと思うくらいです。それをラウンド中に聞いてみたい。時間が足りませんよね(笑)。

中嶋さんは85年のダンロップフェニックスでの日本人初優勝を鮮烈に覚えています。13番、セカンドを入れたイーグルでセベ・バレステロスを突き放して勝ったのを興奮しながら見ていました。その前週の太平洋マスターズで、デビッド・グラハムとのプレーオフ。18番左のバンカーから打った2番アイアンでのセカンドショットもすごかった。この辺を本人の言葉で聞いてみたいですね。

※週刊ゴルフダイジェスト2025年3月18日号「さとうの目」より

伝説を作った「AON」

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