ツアー解説でおなじみの佐藤信人プロ。今回AT&Tペブルビーチプロアマで、PGAツアー通算27勝目を挙げたローリー・マキロイについて語ってもらった。※「週刊ゴルフダイジェスト」3月25日号発売後、ザ・プレーヤーズ選手権で優勝し、PGAツアー28勝目を挙げた。
画像: 「メジャーで勝負弱いイメージがありますが、トップ選手のなかでは、2位、3位の回数より優勝のほうが多いマキロイ。攻めすぎない安全な狙い方の“シェフラーのゴルフ”で悲願を達成するでしょうか」と佐藤プロ(PHOTO/Blue Sky Photos)

「メジャーで勝負弱いイメージがありますが、トップ選手のなかでは、2位、3位の回数より優勝のほうが多いマキロイ。攻めすぎない安全な狙い方の“シェフラーのゴルフ”で悲願を達成するでしょうか」と佐藤プロ(PHOTO/Blue Sky Photos)

マスターズに勝つためシェフラーになりたい!

今回はAT&Tペブルビーチプロアマで見せた、マキロイの変化にスポットを当ててみたいと思います。初日、スパイグラスヒルの15番でホールインワンを達成。幸先のいいスタートを切りました。

ペブルビーチに舞台を移した2日目は前半4バーディ。上機嫌が続くかと思いきや、後半は4ボギー。最終ホールでイーグルを奪い、なんとか気持ちをつないだという感じで、この時点まではある意味“これまで通りのマキロイ”でした。

ところが3日目、これまでと違うマキロイを見せます。この日は風速9〜13m/sというとんでもな い悪天候でしたが、そのなかで7バーディ、ノーボギーの65で回ったのです。そしてラウンド後のインタビューの最後には、「今年はとにかくミスを少なくしたい。ボギーフリーのゴルフをしたいんだ。スマートなゴルフをしてミスを最小限にして、少しでもシェフラーのようになりたいね」。

今季、ペブルビーチが初戦となったマキロイ。大会前の会見では、自身のゴルフに関してだけでなく、様々な質問が飛ぶのは人気選手の宿命です。ただ、その答えがすべて「マスターズで勝つために……」と聞こえてくるんです。

いわく、トップでややクロス気味になる癖を、右腕をローテーションさせることで直している、昨年、欧米合わせて出場した27試合を22試合前後に抑え、家にいられる時間も増やす……など。

会見の終盤、世界ランキング1位のシェフラーについてのやりとりで、マキロイは次のように答えています。「タイガー・ウッズも含め歴史上の名選手のなかで、シェフラーほどボギーフリーのラウンドの多い選手はいないのではないか。彼は本当にミスをしない。正しいときに正しい選択をし続ける。このゴルフを続けていたら、今年もまたツアーの中心になるのは必然だ……」。そして前述の通り3日目は悪天候のなか、ノーボギーで回りました。そして、1打差2位タイで出た最終日は8番でボギーを叩くも、1イーグル、5バーディと手堅い“大人のゴルフ”で競り勝ちました。

かつてマキロイはジャック・ニクラスに、マスターズの攻略法を聞きました。そのときの“帝王”の答えは、「攻めすぎないこと、すべてグリーンのセンターを狙っていけばワンパットで入るチャンスもある」といったものだったそうです。

思えばその前も、メジャーに強いケプカへの憧れを口にしたこともありましたし、ブラッド・ファクソンやデーブ・ストックトンに習いにいったこともありますし、オーガスタのメンバーでマスターズで選手と回る役目を果たすジェフ・ノックスさんと回ったこともあります。

23年は著名なメンタルコーチのボブ・ロテラのもとに行きましたし、昨年は出場者のなかで一番遅く会場入りし、初めてパー3コンテスト不参加など少し例年とルーティンを変えてきました。

こうやってマキロイのマスターズへの思いの揺れ動きを見るのもまた面白い。

考えてみれば今まで優勝争いをしたといえる大会は2回だけ。いまいちハマっていないマスターズですが、18回目を迎える今年はシェフラーへの憧れを口にし、手堅いゴルフで臨み、いよいよグランドスラムを達成するのか、とても楽しみですね。

マキロイの技術=遠くの人と握手するイメージで大きく振る!

画像: 「遠くの人と握手する、クラブを渡す、くらいのイメージで大きくバックスウィングし、その流れを利用してノーブレーキでインパクト、フォロー、フィニッシュまでパワーを解放して“遠くに飛ばす”。年齢を重ねて体が硬くなっても、腕を伸ばして振ってみることから何かをつかめるはずです」(佐藤プロ)

「遠くの人と握手する、クラブを渡す、くらいのイメージで大きくバックスウィングし、その流れを利用してノーブレーキでインパクト、フォロー、フィニッシュまでパワーを解放して“遠くに飛ばす”。年齢を重ねて体が硬くなっても、腕を伸ばして振ってみることから何かをつかめるはずです」(佐藤プロ)

さて、マキロイのスウィングについて。誰もが憧れるアークの大きさは、肩関節の柔軟性と可動域の広さによるものでしょうが、「マキロイみたいにはできない」ではなく「マキロイみたいにやってみる」。ゴルフではスウェイはダメとか昨今はコンパクトなスウィングがいいという論調も多く、スウィングが縮こまる傾向があります。でも、子どもたちに言うように、体全体を使って思い切り、打ったり投げたり蹴ったり。

マキロイのスウィングのイメージで、一度すべて解放してみることも大事かもしれません。

※週刊ゴルフダイジェスト2025年3月25日号「うの目たかの目さとうの目」より

マキロイとマスターズ

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